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2004/02/29

続・趣味の戦史本あさり

 以前なら絶版となった戦史本を入手するためにはそれこそこまめに古書店・古書街・古書市を巡らなければならないわけですが、時としては全くの空振りとなったり、本の状態を見て購入を躊躇していたら数日後にはなくなっていたり、高い値段で購入したら次の週にはそれより安いのを見つけてしまったり....
と、様々なありがちな困難と共にコツコツと集めなければならないわけですが、世の中がインターネットでのショッピングが当たり前となった最近は古書籍もネットで購入できるようになると日本各地の古書店が利用できるようになり購入機会や購入量も増えるようになり、戦史本の集まりが良くなりました。
 さらにネットオークションの興隆は購入への選択肢を大幅に増やしたといえるでしょう。ただ古書店に直接行ったりネットショッピングで購入する方法に比べて購入額の高低差が大きいと言うことでしょう。ネットオークションの欠点はまさしくオークションですから応札される場合がある事です。普通ならば商品を手に入れるにはそれこそ早い者勝ちですが、ネットオークションは入札額が高い奴が一番偉いのです。時には予算がなくて指をくわえて終わるのを見なければなかったり、終了時間を忘れて入札を忘れていたり、出し抜かれたりしたものです。
 ネットオークションで面白いのは予想以上に安く買えたり、応札の応酬でとてつもなく高くなったりしてしまいます。応札者がシミュレーションゲーム愛好者であれば何故かムキになって入札を続けたりしてしまうせいですが、一種独特の雰囲気によるものでしょうか?
 「戦史叢書」に関して言えばほとんどが古書店からの購入ですが、入手しにくいものはネットショッピングやネットオークションです。それに対して陸上自衛隊の編纂した戦史書シリーズの「陸戦史集」は大半がネットオークションです。

 色々な経緯で集めた戦史本ですが思い出深いものもあります。
「捷号陸軍作戦1レイテ決戦」・・・古書店で購入。家に帰り読んでいると同じところを何故か読んだ覚えがある!?よく見ると乱丁!手に入りにくいから涙した。
「満州方面陸軍航空作戦」・・・古書市で購入。家に帰ると同じ名前の本が本棚にささっていた。脱力。
「大本営陸軍部10」・・・古書店で購入。書き込みが多い。書き込みを読むとどうやら前所有者は右ーな人。
「雲南正面の作戦」・・・古書店ネットショッピングで購入。「陸戦史集」。どこでも見つからなかったのに検索すると店じまいするとかでたまたま見つけた。
「THE WAR IN FRANCE AND FLANDERS 1939-1940」・・・ネットオークションで入手。英国の公刊戦史。フランス戦でのBEFの戦いを記したもの。有名ゲームデザイナーから入手。
「CHRONOLOGY 1941-1945」・・・ネットオークションで購入。米陸軍の公刊戦史。戦史叢書で言うところの102巻陸海軍年表に相当する全戦線の陸軍の動きを記した年表・検索。ひょんな事から入手。この本を入手以降米陸軍の公式戦史が立て続けに入手できた。
「明治二十七八年日清戦史第一巻」・・・古書市でたまたま手を置いたところにあった。嘘みたいな話。家にある出版年度が一番古い本。

まだまだありますが本日はここまで。

趣味の戦史本あさり

私ぐちーずはこのウェブログにも書いているようにボード・シミュレーションゲームや戦史が主だった趣味だったりするわけですが、シミュレーションゲームの方は色々ここでも取り上げていますがもう片方の戦史の方は中々取り上げられるような話題がありません。が、このたびネタができたので書いてみます。
 ネタといってもそのものズバリというものではなくその周辺を少し書きます。

 戦史、もっとも身近な戦争でもある第二次世界大戦は多くの犠牲のあった戦いでした。そんな戦争の歴史書、特に戦史と呼ばれるものは豊富にあり本屋や図書館に行けば結構目にすることができます。
 その中でも国や公的な機関が編纂した戦史は公刊戦史といわれ、かなり戦史本の中でも重要な位置を占めます。
 日本では戦前は参謀本部や軍令部が各戦争の詳細な記録を残していましたが、当然のことながら敗戦した今次大戦は残せずに防衛庁が後を引き継ぐような形になり現在に至ります。
 で発行されたのが戦争終結後だいぶ経ってからですが、「戦史叢書」という102巻という長大なシリーズとして発行されました。内容は陸・海・空各方面・大きな作戦ごとに分かれていて各巻は作戦の背景・情勢・計画・実施がかなり専門用語を交えて書かれています。記録や記憶の量の差によって各巻のボリュームは微妙に違いますが詳細に語られています。

 そんな「戦史叢書」ですが私が初めて手に取ったのはまだ高校生だった頃で町の大きな本屋さんに売っていたのを買いました。そのころはすでに絶版の本がちらほら出ていて数回の立ち読みの結果選んだのが「イラワジ会戦」。なんでやーという突っ込みはおいといて、その後「捷号陸軍作戦2ルソン決戦」「シッタン・明号作戦」「沖縄方面陸軍作戦」「ビルマ攻略作戦」などを入手しましたが元々そんなに売れる本でもなく気がつけば店頭から消え去ってしまいました。店頭から消え、版元絶版との知らせに時代の流れに一人涙し、大人になったら買えなかったやつ全部そろえてやると決意を新たにしたものです。
 最初にマイナーといえるイラワジやシッタンを買っていたためか陸戦ものに興味を抱き少なくとも陸軍関係のものは全部揃えようと考えていたのですが1冊500ページもある箱入りハードカバーです。陸軍ものだけでも60冊以上あるのです。無理です。

 大人になってから暇を見つけては古書店に行き、インターネットでオークションしてコツコツと買い貯めたら気がつけば陸軍ものはほとんど揃い海軍ものまで手を伸ばしている始末...
 決意を新たにして10数年「こうなったら全巻制覇やー」と開き直っている自分が怖いですが、もっと怖いのはこのシリーズ十年後には改訂版が出始めると言うことと戦前の公式戦史や海外のものまで手を広げているという現状がとてつもなく怖いです。どこまで行く気やろ......

2004/02/25

(GJ)激闘!マンシュタイン軍集団リプレイ

今回遅まきながら今年初めての対人戦をしたので報告する。
今回のプレイはシミュレーションジャーナル社のゲームジャーナル誌4号付録の「激闘!マンシュタイン軍集団」(以降「激マン」)である。この激マンはスターリングラード包囲以降のロシア軍の攻勢とそれに対応したドイツ軍のハリコフでの反撃をあつかったゲームである。最近多いハリコフ戦を扱うゲームであるが、扱う範囲はツクダ「パンツァーカイル」内の「ハリコフ」に似ている。「パンツァーカイル」は過去に対戦したことがあるが、簡潔なルールで中々良かった印象があるが、この「激マン」はそれを上回るほど簡単なルールを用いているが特異なシステムである。
 システムは各軍司令部ごとに活性化チットを与えられており、ランダムに活性化チットを引きチットに記載された司令部の指揮範囲内に存在するユニットを移動・戦闘させる。他のチット引きシステムと決定的に違う点は同一ターン中に複数の司令部の指揮範囲内にいるユニットは複数回活性化する可能性があるということである。また、両軍共に同じ司令部が複数回活性化させるチットが存在しており、組み合わせによっては神業のような華麗なる前進や瞬時の崩壊が演出されることにもなる。
 ZOCはかなり強いが移動力をペイすれば出入り自由で、ZOCtoZOCも可能である。補給は各ユニットごとに補給源まで無制限の連絡線が設定できればよいとする緩いものであるが、補給切れのペナルティは攻撃力半減のみである。なお、補給切れでも友軍ユニットが至近にないユニットは孤立状態となり、もう一段厳しいペナルティが課せられる。
 ざっとルールを読むと特異なシステムを持つがルール量は少ない。不安になるぐらい少ない。筆者は少なすぎるルールにはいつも不安を覚えるが、これは簡単すぎるのが故に重要なルールの記載漏れがあるかもしれないからだ。
 
 ゲームはTS氏、K氏、筆者の3人で行われた。分担はTS氏と筆者が独軍、K氏が露軍である。独軍の担当は北部と南部で分けられたが、ホリト軍支隊を境として北が筆者、南がTS氏とした。なお、このゲームの前にSS版ハリコフが対戦されていたが、これはまた別項であらためたい。しかし新年から3つもハリコフとかスターリノとかの地名を見ようとは近年まれに見るゲームの偏りである。
 
 ユニットは地図に指定された位置に配置する。少し見にくかったりルール中にエラッタがあったりとするが大きな混乱もなく配置した。露軍プレーヤーは秘密裏に活性化チットを取捨選択しなければならないが、これは戦略的な攻勢方向や活性化密度を選択させている。

1ターン:
 特別ルールにより、ターン開始前に1GAによる攻撃を解決しなければならない。1GAはハンガリー軍を攻撃したが、大河等地形効果により失敗した。K氏は多少なりとも結果を出したかったようだが、全くないことに失望していた。 
 活性化チットは露軍は1~3 GAを選択。独軍はターン毎に選択できる数が違うが、今回は4PZ、ハンガリー第2、ホリト軍支隊を選択した。1ターンの特別ルールによる1GAの攻撃を見て同盟軍戦線が少しは持つかもしれないとの淡い観測から露軍の攻勢正面のイタリア軍とルーマニア軍を選択することは見送られた。ハンガリー第2軍が選択されたのはハンガリー第2軍の戦線後方に置かれた独軍師団2個をイタリア第8軍戦線の後方に送るために活用するために選ばれたのだ。
 ところが独軍側の思惑とは裏腹に露軍3GAの攻撃はルーマニア第3軍の突出部から攻撃を開始し、最終的にはルーマニア軍とイタリア軍の戦線に穴を開けてしまう。最悪なことに同盟軍戦線の背後に増援でくるケンプ軍支隊、フレッター・ピコ軍支隊等の独軍部隊が展開しやすいように、また戦線整理のためにホリト軍支隊が事後の戦線のために展開途中に全露軍が活性化する「スタフカ」チットが引かれてしまったために効果的に穴を開けられてしまった上に対応できなくなってしまった。

第2ターン:
 露軍は前ターンと同じ、独軍は4PZ、ホリト、ルーマニア、ケンプ軍支隊を選択。チットの選択順によっては戦線が崩壊する。
 スターリングラード側は第4装甲軍が露軍第2親衛軍の追撃を受けながら暫時戦線を下げている。この戦線はカフカスから撤退してくる第1装甲軍を受け入れるまで遅滞戦を実行中である。
 最悪なのは同盟軍戦線のドン河北方の戦線である。穴を開けられているので、首尾良く撤退できて救援の増援部隊が間に合うかその前に露軍が突破をさらに戦火を拡大し、同盟軍戦線を崩壊させるかである。
 チットはいきなり「スタフカ」チットがやってきた。引いたのは筆者である。銃殺隊の軍靴の踏みならす音が背後から迫ったのはいうまでもない。
 全司令部活性化の「スタフカ」チットは暴風雨のように同盟軍戦線を切り裂いた。ハンガリー第2軍、イタリア第8軍、ルーマニア第3軍全てに塞ぎようのない突破口が開いた。南の第4装甲軍側でも装甲師団が1個殲滅されたとかTS氏が言っていた。
 その後のチット巡りも最悪だった。ルーマニア第3軍の前にロシア軍が活性化したため突破口から包囲される部隊が続出。その中にはホリト軍支隊との軍境界沿いの独軍装甲師団も含まれた。
 ルーマニア第3軍と後詰めとも言うべきケンプ軍支隊はその後にやってきた。包囲された独装甲師団の救出とケンプ軍支隊の展開で終わった。

第3ターン:
 TS氏と協議の結果、「スタフカ」チットがでない限り包囲下の救出作戦後遅まきながら総撤退することになった。瀕死のル3軍は言うに及ばず崩壊していない伊8軍やハン2軍も時間の問題だろうと。
 が、引かれたチットは「スタフカ」......
その後も3連続でロシア軍チットが続いた。
結果はル3軍は包囲された部隊が反撃するも失敗。その他の部隊も消滅し、ケンプ支隊の一部まで包囲される始末。伊8軍は完全に殲滅され、ハン2軍は押され始めた。フレッター・ピコ支隊は収容するランツ支隊も中途で下がる羽目になった。
 このターンは露軍チットのスーパーコンボで独軍北戦線は崩壊した。勿論露軍チットを引き当ててしまった筆者の責任が追及されたのは言うまでもない。

第4ターン:
 崩壊してからは遅いが独軍は総撤退の道を選んだ。ドネツ河の向こうまで退却である。増援のSS軍団と第1装甲軍が来るまで我慢の子である。
 それでも戦場の女神は非情である。フレッター・ピコ軍支隊の活性化の後に「スタフカ」「1GA」とダブルパンチでハンガリー第2軍は半減、ケンプ軍支隊は四散した。
 ドネツ河には西からフレッターピコ、ケンプ軍支隊残余とホリト軍支隊の順番に戦線を張った。ホリト軍支隊の裏では第4装甲軍が露軍の追撃を振り払ってロストフ防衛についた。

第5ターン:
 ドネツ河を固めだした独軍を見て露軍は西へスライドを開始した。ハンガリー第2軍の掃討である。露軍が西への伸長著しいのでケンプ軍支隊のみスターリノへ後退である。スターリノも危ない。

第6ターン:
 第1装甲軍など装甲兵力がやってきた! TS氏は窮乏する筆者にSS軍団の譲渡を申し出たがこれを拒否した。理由は強力なSS装甲軍団を各個に使用していたずらに損耗を招くより、装甲兵力は1個に集め鉄の暴力で露軍を撃滅すべきであると。TS氏はこの案を採用し快諾した。
 露軍はハリコフを占領後、ロストフ、スターリノ方面へ圧力をかけてきた。ドネツ河を超えて、独軍北戦線を包囲する魂胆だろう。機動軍指揮官TS氏はロストフ全面に割拠する露軍の軍勢を数度の会戦にて撃滅し、ロストフには固守部隊を置いて北上を開始した。
 ケンプ軍支隊はスターリノ並みに危うくなってきたザポロジェやドニエプロペトロフスクに兵力を派遣し北方から南下する露軍に備えた。

第7ターン:
 第7ターンになってくると選択できるチットは増え、露軍よりも多くなる。しかも任意の1個司令部を活性化する「マンシュタイン」チットが2個もあるので機動性と柔軟性が増している。
 ケンプ軍支隊はGD師団を中心に最西端のドニエプロペトロフスクとザポロジェを防衛。第1装甲軍は歩兵ばかりでスターリノ防衛。ホリト軍支隊はロストフ~ドネツ河間を防衛、第4装甲軍を中心に機動打撃を与えるという風になった。
 ホリト軍支隊の固めるロストフは先般の撃滅戦のため戦力低下した露軍では攻略不可となりロストフ攻略の夢は断たれた。また第4装甲軍はドネツ河畔の会戦にて次々と歩兵師団等を屠り、ホリト軍支隊~第1装甲軍間の圧力は皆無となった。あまりの打撃に露軍は戦線を下げ出す始末であった。
 露軍は先遣部隊でザポロジェを攻撃したが攻略かなわなかった。


 

 時間が来たのでお開きにしたが、あと2ターンを残し露軍優勢のまま終了したかもしれない。初期の独軍の被害が甚大でサドンデス寸前であった。あと2ターンの間にザポロジェとドニエプロペトロフスクを守り切り、かつハリコフを奪回するのは難しいだろう。
 ゲームはチット引きのためとんでもないスーパーコンボが出てしまうと目も当てられないが、その辺の振り幅をどう感じるかがチット引きゲームの宿命といえよう。ゲームの展開は面白いが細かいルールで言及されていない項目があったりする。なお、あまりに怪しいのであとで確認すると膨大なQ&Aとエラッタがあった。やはり少ないルールは事前に確認すべきであろう。プレイの爽快感を台無しにもしかねない意味でも注意が必要である。

2004/02/14

(国通)スパルタクス_リプレイ

 過日国際通信社のコマンドマガジン付録ゲーム「スパルタクス」をプレイしたので報告する。
 「スパルタクス」とはBC73年の共和制ローマに起こった剣奴の反乱である。剣奴と言えば主人公が剣奴に身を落とし復讐を果たすという「グラディエイター」という映画が最近あったが、大半描かれる剣闘士生活そのものである。なお、スパルタクスは剣闘士の反乱の首謀者であり、反乱も「スパルタクスの反乱」とか呼ばれ、スタンリー・キューブリック監督、カーク・ダグラス主演で映画化されている。
 さてそんな歴史の香りぷんぷんするゲームを我々がプレイするわけだが、今回のプレイには思考実験的というか歴史再演というかそういう陰謀的な狙いがあって願ってスパルタクス側のプレーヤーにはK氏にお願いし筆者がローマ軍をプレイすることにした。
 K氏はリプレイには度々登場している人で、ボードシミュレーションゲームにおいては史実にこだわらずそのゲーム性に重きを置いて勝利を目指してプレイしてくれるので前知識のない場合、自分で歴史(物語)を作るべく奮闘する。
 さて筆者の狙いは歴史の後知恵の無いスパルタクスはどういう行動に出るか?強力なローマ軍の前にどう鎮圧されるかと言うことである。

 さて壮大な実験はいかなる結末を見るのか。

 プレイ開始。
 K氏はルールの説明を聞き終わり、相も変わらず自軍のユニットを強いもの順に並べはじめ閲兵活動を開始している。なお、このゲームに限らずどのゲームでもそうだと言うことを付け加えておく。なお、このゲームはスパルタクスの蜂起から開始し、各エリアの支配を巡って争う。スパルタクス側は土地の支配、ローマ軍団の撃破、ローマ軍リーダーの殺害、剣奴が生き残る等が得点の対象となっている。もちろんゲームの展開が冗長なものとならないようにサドンデスとしてローマを占領すればローマの敗北であるし、スパルタクスが殺害されればスパルタクス側の敗北となる。
閲兵活動を終えたK氏は戦略目標を与えられ、野に解き放たれた猛獣のように血を求めた。果たして大地は朱に染まるのか?

第1ターン:
 このターンは剣奴がカンパニアで蜂起したターンである。もちろんそれに備えているわけではないのでローマ軍は遙か彼方にいる。サドンデス目標のローマは無防備に等しい状態で彼ら剣奴の前に晒されている。第1ターンは特別ルールにより、スパルタクスはこのターンを蜂起とカンパニアの占領に当てられているためローマ軍の反応から始まることになる。地理的な状況からいうとカンパニアの隣がラティウムという属州でラティウムの中にあるサブエリアがサドンデス対象の要塞都市のロ-マである。カンパニア内にもサブエリアがあり、ネアポリスという要塞都市がある。両要塞都市にはローマ軍の守備隊が存在している。ローマの存在する属州の隣で反乱が発生するということはローマプレーヤーには大いに脅威である。
 ローマプレーヤーには2線クラスの正規軍団とは見劣りのする守備隊がローマに存在し、他はネアポリスに予備軍団とメッシナに小兵力があるくらいで、正規軍団は北イタリアに展開している。他の正規軍団は増援として登場する。
 取りあえずワンクッションでローマには来られないので北イタリアに展開する正規軍団を急遽呼び戻さなければならない。ムティナの正規軍団は南下した。「いざ鎌倉へ」である。

第2ターン:
 スパルタクスは補充とアップグレード後、地歩拡大のためにカンパニアからルカニア(カンパニアの南)とヒルビニア山岳地(カンパニア東)に展開させた。剣奴が新たな属州に進入すると反乱チェックにて反乱軍ユニットや反乱軍リーダーが新たに受け取れるようになる。反乱状態となった属州は反乱軍ユニットの補充やアップグレードが可能となる山岳地は反乱軍ユニットが受け取りにくいが、投石兵という兵種が得られる。今回あえてK氏がヒルビニアに進入したのは投石兵欲しさのようであった。
 ローマ軍は取りあえず北イタリアの軍団を円滑に移動させるためにローマ市で暇そうにしているリーダーを選抜し、アキレニアに派遣し収容した。

第3ターン:
 スパルタクスは南下政策を推し進めるようだ。ローマ軍が集結する前に奴隷兵の頭数を増やしたいらしい。もしかすると何か別の策を思いついたのかもしれないが、意外と南方王国だけかもしれない。
 ローマ軍は戦力を集中しないことには意味がないのでローマ/ラティウムに戦力を集中する。戦力が集中し再編後仕掛けることにしよう。

第4ターン:
 スパルタクスはさらに南下を続ける。が、ラティウムにローマ軍が集結し、ネアポリスにはローマ予備軍団が籠城しているので兵力が釘付けとなってしまっている。
 ローマ軍はサムニウム山岳地に2個軍団を前進させ、反乱軍が分割されたローマ軍を各個撃破できる機会と捉えこれを攻撃した場合はこれを捕捉撃滅し、依然ラティウム-カンパニア間で対陣が続く場合にはラティウムの軍団と併せカンパニアを攻撃する構想を練った。
 
第5ターン:
 スパルタクスは一大決断を迫られた。カンパニアを保持するか失うか。攻勢か防御か。南ではさらに勢力を伸ばすためにシシリー島への上陸を開始した。メッシナ海峡は特別ルールで渡海に制限が加えられている。海峡の両側を支配下に置かない場合、いかだで渡海せねばならないが、すさまじい損耗を覚悟せねばならない。その代わりシシリー島での反乱チェックは2ダイスでチェックするのでそれはそれで魅力である。
 シシリー島でのいかだ渡海は絶望的な結果に終わった。リーダーこそ生き残ったものの渡海失敗。部隊は海没するもの、上陸に成功しながらローマ守備隊に撃滅されるもの多数あり、とても1900年以上後にドイツ軍のフーベが成功したとは思えないほど非惨劇であった。
 さて北のスパルタクスは分散している今が好機と考えたかやはり攻撃をかけてきた。この辺はプレーヤーの個性が出るところだろう。結果は南と同じくさんさんたる結果でローマ軍団兵の精強ぶりをとくと知ったに違いない。

第6ターン:
 スパルタクス軍は四散した。誤算はローマ軍のパワーである。真正面からぶつかった場合第1線は崩壊し、打撃を与えられない場合同じく第2線も崩れる。戦闘のシステムは歩兵が戦列を引き射撃部隊が間接攻撃をし、歩兵部隊の先頭列のみが近接戦闘を繰り返すといったもので、基本は自分の攻撃力以下の目を出せば攻撃に成功するというものである。なお、リーダーを前線に配置し有利な修正を得たり、攻撃の結果突破や側面攻撃が発生したり、ガリア・ゲルマニア兵が凶暴化する可能性があったりと古代戦らしい戦術テイストを味わえるようになっている。
 このターンは前ターンの打撃を補充したり配置変更などをしたため大きな動きはなかった。ローマ軍にはさらに軍団が増えた。

第7ターン:
 スパルタクスは復活を果たすため敵中に孤立し戦略的自由度を奪うネアポリス攻略に乗り出した。もちろんローマ軍はその企図を粉砕すべく救援軍を送り出した。会戦は当然のことながらローマ軍の勝利。スパルタクスがいたことで早い時点で敗走することなく退却に成功。どうやら遅まきながらスパルタクスの能力に気がついたらしい。スパルタクスは剣奴の中でも戦術面、カリスマ面等でずば抜けており、それをうまい具合に利用しないと反乱軍は勝利できない。もちろん戦術面の能力をもってローマ軍を撃破するのも一興だが、それは表面上の勝利にすぎない。さてK氏スパルタクスはどこまで気がついたのか。

第8ターン・第9ターン:
 スパルタクスはサドンデスを狙うローマ軍団兵に追われローマに近いサムニウム山岳地に展開をした。反乱軍もサドンデスを狙うのかとも思われたが第10ターンまでにローマを占拠できないとあきらめ南に反転した。第10ターンにはローマ軍には選択増援としてクラッススをはじめとするローマ軍6個正規軍団がやってくる。ただし、この増援は選択といっても自軍の勝利得点をマイナスすることで選択する。クラッススの増援を希望すると13ターンのポンペイウスのローマ軍団4個正規軍団ももれなくついてくるクラッススは大軍をポンペイウスは精鋭を引き連れてくる。

第10ターン:
 スパルタクスは南方を重視し生き残り戦略をとるようだ。カラブリアに触手を伸ばした。アップグレードも順調である。
 ローマ軍はクラッススが来たことで勝利得点がマイナスされようがお構いなしに喜んだ。あの三頭政治のクラッススである。戦術能力のあるリーダーは手放しでうれしい。

第11ターン:
 スパルタクスの能力でずば抜けているのは戦闘回避である。2/3の確率で戦闘を回避できるということは強力なローマ軍相手には有力な能力である。この能力をほとんど生かせなかったスパルタクスは史実より悲惨な道をたどるに違いない。
 クラッスス率いる大軍はカンパニア経由でルカニアに到着。その他大勢のローマ・リーダーは先行してアプリア(ルカニアの東)のスパルタクス率いる反乱軍主力の滞在するを侵入させた。スパルタクスは戦闘回避をはかるがこの期に及んで失敗。クラッスス以外のリーダーで構成されるローマ軍先遣隊はスパルタクス率いる反乱軍主力と交戦、深刻な被害を被るもスパルタクス軍は殲滅され潰走。反乱軍は戦闘でも退却でも失敗し再起不能までに殲滅された。

第12ターン:
 スパルタクスはカラブリアで絶望的な防衛戦をするか別の新天地で活路を見いだすかのどちらかだったが、新天地を目指しルカニアへ移動した。もしかするとシシリーに向かいたかったのかもしれないが、この地にはクラッススが大軍で待ちかまえている。この地でもスパルタクスは戦闘回避を選択したがまたしても失敗。後はいうまでもない。史実で伝えられるようになますのように切り刻まれたのだろうか。K氏は惨状に戦意を喪失して投了を申し出てきたので受け入れた。たぶん囚われの将兵間では「俺がスパルタクスだ」ではなく「あいつがスパルタクスだ」「あいつだあいつだ」と囁かれたことであろう。


 プレイを顧みると史実より反乱が小規模であったのは南方に固執しすぎたためであろう。反乱軍が主導権を握るためには史実同様に大胆に北イタリアまで強行軍や戦闘回避を駆使して戦域を南部に限らずイタリア半島全土に広げローマ軍団を右往左往させるべきであっただろう。K氏が南部に固執したのはシシリー島に何かを見いだしたのだろう。しかし勝利の女神はそれを許さなかった。彼は普通の戦略級ゲームとは大幅に感覚が違うので戸惑っていたようだ。

結局大地は剣奴の血でに染まった。

2004/02/08

(国通)DOUBLE CHARGE VOL3

(国通)DOUBLE CHARGE VOL3(以降ダブルチャージ誌)が届いたのでファーストインプレッションを報告する。
 ゲームを扱う雑誌と言えば、ゲーム付き雑誌の(国際通信社)コマンドマガジン(シミュレーションジャーナル社)ゲームジャーナルの2誌は定期購読しているので紹介すべきだが、雑誌内容より添付の付録ゲームの方が重要であるので付録ゲームをプレイした時等に紹介する予定であるので今まで触れなかったが、今回のダブルチャージ誌は不定期刊行であることと作戦研究やリプレイ専門の雑誌であるので特別に紹介したい。
 筆者は元々作戦研究の類が嫌いであり、それ専門の雑誌は取捨選択して購入するのが本分だが今回は購入した。ではダブルチャージ誌とはいったいどんな雑誌なのか明らかにしたい。
 
DOUBLE CHARGE VOL3(ダブルチャージ)
シミュレーション・ゲーム作戦研究&リプレイ専門マガジン
体裁:B5版平綴じ66ページ
価格:1690円
内容:
北海道戦争リプレイ
ミシシッピバンザイリプレイ
ブラックゴールドリプレイ&作戦研究
HEGEMON和訳ルール
付録ゲーム:信長公記
クルスク大戦車戦作戦研究
HEGEMONプレイの指針
装甲擲弾兵リプレイ
新作ゲーム紹介

 リプレイと作戦研究が専門とあってほとんどの記事がリプレイと作戦研究である。ダブルチャージ誌が圧倒的に他誌(といっても国内ではライバルはない)と違う点はその看板に載せているリプレイと作戦研究が中心であるという事である。
リプレイはそのゲームがどのようなものかカタログスペックや紹介ではわかりづらい細かいところや雰囲気などがわかるので重要である。特に雑誌付録ゲームなどは死蔵されてしまう可能性があるのでこのような方法で振り返ってもらうとプレイ意欲を刺激される。リプレイ記事は基本的に淡々と語るものや、お笑い路線のものもあり一概にどれが良いとは言えない。リプレイのおかげでゲームの魅力を再発見したり興味を持つことも大いにあり得る。
 また海外ゲームの翻訳ルールが添付していることも特徴的だ。
今回はAGAINST THE ODDS誌のHEGEMONというマケドニア王国フィリッポス2世のカイロネイア戦役を扱ったゲーム。個人的には興味はあるが一般的に好き嫌いが分かれる古代戦である。既にATO誌を所持するものあるいは同時に購入したものには大いなる特典であるが、興味無しのものにはたまったものではないだろうけど、実はこれ目的の人が多いのではないかと邪推する。
 何にせよ1600円以上という価格は一般的な雑誌金額でないのでリプレイだけでは高いと感じるが和訳ルールが掲載されているから買う。あるいはその逆というのが一番多い購買層で無かろうか。現状としては他メーカーのゲームも記事になっており「完全な」コマンドマガジンのサポート雑誌というわけではなさそうであるので今後も期待である。ただ本誌との棲み分けは新作ゲーム紹介や付録ゲームが付いたりしているために不透明である。それを覗けば唯一のリプレイ&作戦研究マガジンとして期待したい。
 で、なぜ作戦研究が嫌いな筆者が今号も買っているかというとリプレイ好きなことと今号は特にHEGEMONの和訳が掲載されているからに他ならない。
 

2004/02/04

もう一つの陸軍兵器史

前回投稿の「日本の機関銃」とほぼ同時に興味深い本を入手したので報告する。

もう一つの陸軍兵器史
藤田昌雄著

出版社 光人社
発売日 2004.02
価格   ¥ 2,310(¥ 2,200)
ISBN   4769811683
鹵獲、接収された敵国兵器はいかに調査・研究され、運用されたのか? また、現地で編成された原住民軍隊とはいかなる組織だったのか? 日本陸軍の視点でとらえた「もう一つの戦場」。未発表資料で綴る決定版。 [bk1の内容紹介]

bk1で詳しく見る  オンライン書店bk1

 本邦初といえる鹵獲兵器(戦場で捕獲された敵兵器)と同盟軍の研究である。前者後者共に初めての分野といえるほど珍しい(マニアックと言うべきか)題材である。
 鹵獲兵器といえども開発研究に供されたものから前線の部隊で員数外として使用されるものなど多数であり、その紹介と日本軍が得ていた敵側の兵器情報などが紹介されている。

もう一つのテーマ同盟軍の実態ではあまりに弱体あるいは小組織のために戦史の片隅に追いやられている同盟軍は本項により編成と簡単な歴史が語られている。同盟軍といえば国際的にも完全に認められた独立国家タイや日本の傀儡国家と目されている満州国、中国の南京政府軍、占領地の原住民軍隊である現ミャンマーのビルマ防衛軍、現インドネシアのジャワ、スマトラ、ボルネオ義勇軍や現マレーシアのマラヤ義勇軍、現ベトナムの越南青年先鋒隊、現フィリピンの比国愛国同志会、インドの独立派亡命政府インド国民軍等々である。

ざっと読んだところ鹵獲兵器の方は敵軍情報と多数の写真等中に鹵獲兵器が説明されているため日本軍の把握していた敵軍兵器+鹵獲したものというような感じであるが、同盟軍の実態はこれも多数の写真とともに編成や歴史が今まで語られなかった分平易に語られ理解を容易にしている。
 全体的には「もう一つの陸軍兵器史」という題名に「忘れられた同盟軍」を付け足しても良いのでは?とも思った。未発表情報、秘蔵写真満載で視覚的には大変満足できる。先駆者の記念碑的作品として本作を活かした今後の研究が出てくることを期待したい。
  

2004/02/01

日本の機関銃

 タイトルにある書籍を入手したので紹介したい。
去年の夏に発売された日本軍の小火器の解説・研究書である。何かと批判の的になりがちな日本製陸戦兵器だが、前作「日本の軍用銃と装具」を合わせ読めば開発と運用の歴史がうかがい知れるだろう。

日本の機関銃
須川薫雄著
SUGAWAWEAPONS社
全470ページ
7000円

 題名にあるとおり日本の機関銃を詳細に解説した書籍である。本書は同著者が数年前に出版した「日本の軍用銃と装具」の予告にあった続編である。前編の「日本の軍用銃と装具」が国書刊行会より発行されていたのに対し今回は著者の自費出版のようにも思われる。
 「日本の軍用銃と装具」との違いはそれだけではなく版形や活字の大きさ、ページ数まで大きく変わっているので一見したところ続編には見えない。全く別の本のような印象を受ける。「日本の軍用銃・・・」が小銃、拳銃等を扱っているのに比べ今回の「日本の機関銃」は重機関銃、軽機関銃、短機関銃、半自動銃、航空機用機関銃・機関砲、車載機銃、対空機銃など多岐にわたっている。もちろん前作がなければ話が通じないと言うことはなく単独で充分独立した内容である。
 内容は前作と同様、海外での研究及び著者の体験等により詳細を究め、特徴、歴史、開発、機構、バリエーション、生産、運用、比較などとこれまでにない銃そのものからバックグラウンドまで踏み込んだ内容となっている。研究の少ない陸海を問わない日本軍の小火器の研究では最新の内容であり、短機関銃や半自動銃のあたりでは前進が見られる。また軽機関銃の再評価などは面白く読める。
 前作同様に銃そのものの著述にとどまらずその周辺の装具や使用銃弾まで及んでいる。生産及び輸出やその戦後と影響なども目新しいのではないだろうか。
 ともかく日本軍銃火器の研究・解説では素晴らしい内容であり、小火器の研究やマニア等にとって必読のものと言えるだろう。
 なお、前作とは210→470ページ、11000→7000円とページ増に対し値段が下がっているが、これは前作がほぼ全写真がカラーであったのに対し、今作はほとんどがモノクロであり活字も大きくなっているのでどっちがお得で情報量が多いかは微妙な所。
 また、この本が一般の書店等で販売しているかどうかはISBNコードがないので不明です。ネット書店では見つかりませんでした。私の入手経路はネットオークションで入手しました。

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