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2004/08/11

装甲擲弾兵(EP/国通)リプレイ

 夏である。夏と言えば海戦ものが定番であるが、海戦ものは選ぶのが難しかったりする。海戦ものと言えばTS氏は夏になると海ものがしたいと言い出してくれるが、時間のない状況でさっとできる海戦ゲームはなかった。
 短時間にプレイできると言えば小規模な戦術級ゲームが適当である。特に細密化し過ぎていないものがいい。そういうわけで最近国際通信社よりエポックベストという形で再版された「装甲擲弾兵」をプレイすることにした。これならコマ数、ターン数、ルールの量といい適当である。
 戦術級は我々の間ではあまりプレイされていないが、別に戦術級が趣味に合わないというものではなく、ただ単にプレイする機会が無かっただけである。最近で記憶に残る所ではゲーマーズのGD40などがある。
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装甲擲弾兵

装甲擲弾兵

 装甲擲弾兵はエポック社が放った小隊戦術級ゲームで、一般に戦術級とはスコードリーダ等のようにジオモーフィックマップを組み合わせて「これはなにがしの戦場」と言い張り、兵器と歩兵のユニットをもってこれはなにがしの部隊」といい張らねばならない。戦術級にはプレーヤーにそれ相応の想像力を要求される。ゲーマーズの戦術級TCSシリーズはそういう所が補完されていてプレーヤーを戦野に招いてくれるという数少ない例外だ。
 装甲擲弾兵の素晴らしいところは小隊で30分スケールと言うことで、他の戦術級に比べ一回り大きなサイズを扱っているため、もの凄くテンポ良く進んでいくことにある。もちろんこれは好き嫌いが分かれるところで、精密な射撃戦などを再現するにはスケールがでかすぎる。その辺の精密さをバッサリと切り捨て、兵器群の性格をエッセンスのみ取り出し、小隊の戦術に絞ってテンポ良くしたのが装甲擲弾兵と言えようか。
 システムとしてはイニシアチブを決定し、イニシアチブを取得した側が、先攻となり回復、移動&射撃、突撃ができる。後攻側はストップ射撃と移動のみである。
 装甲擲弾兵の特徴的と言われるストップ射撃であるが、いわゆる一般的に言う臨機射撃のことである。ストップ射撃は先制射撃をしていない先攻側プレーヤとDやDDなどの損害を受けているユニットはできない。このストップ射撃というのは強力で、隠蔽されたユニットの前を横切るユニットに対するストップ射撃は、時として盤上からの消滅にも追いやってしまう。
 今回はTS氏と装甲擲弾兵の入門シナリオ「カーンの逆襲」というシナリオをプレイすることにした。このシナリオはドイツ軍が虎口を脱出するというもので、連合軍はドイツ軍の突破を阻止するのが任務である。
 入門シナリオと言うこともあって盤外砲兵などの間接砲兵や空軍は登場せず、装甲擲弾兵ではおなじみの弾薬切れも発生しない。指揮官も登場しないし、登場する兵器は四号戦車がメインで、シャーマンとクロムウェルのイギリス軍を突破しなくてはならない。能力的にはイーブンといえるかもしれない。
 プレイはドイツ軍は筆者が、イギリス軍をTS氏が担当することにした。なお、この時点での筆者の装甲擲弾兵への理解度はターン構成ぐらいで細かいルールはすっぱり忘れていた。

 以降は筆者つまりドイツ軍プレーヤーから見た視点である。

ドイツ軍は戦場に増援という形で侵入する。盤上には敵らしきものがいるらしく特に侵入する地点を見下ろす高地に何かがいるとの報告

が上がっている。先頭は装甲偵察車中隊、高地上にいる敵らしきものを確認するために前進する。
「対戦車砲!」
高地上から閃光が光ったと同時に近隣の地面に弾着である。
「2時の方向!距離750!撃てっ!」
火を噴く対戦車砲。前進を続ける中隊に対して英軍対戦車砲は更に射撃を開始した。
正確とは言えない射撃は四号戦車に命中しながら装甲を貫くことはできなかった。
 後続の四号戦車にも射撃が繰り返されたが、大部分は無傷である。一部の小隊では混乱しているようだ。ともかく対戦車砲にはあまりかまっていられない。ややこしい敵は迂回して前進である。警戒移動で有利な修正を得ながら前進という方法もあるが、今は時間を優先させたい。
 全部隊、高地を迂回し、ヴォカージュの点在する平地に進出である。連合軍の戦車部隊が待ち伏せをしているが、これを各個に撃破し、突破するというものである。撃破と前進に戸惑っていると、数に優勢な連合軍が逆にドイツ軍部隊を撃破してしまうであろう。
 うまい具合に連合軍の部隊は町の陰、ヴォカージュの陰に潜んでいる。真ん中の道を選択すれば集中砲火となるので、必然的にヴォカージュ側を迂回することになる。
 ヴォカージュ側は視線が通りにくいことを利用して、極力二方向から撃たれないように接近し、ストップ射撃の反撃で敵戦力を漸減し、機会を見て射撃し圧倒することを夢想した。
 「パンツァー・フォー!」
ドイツ軍戦車部隊は前進した。順番は四号→四号→偵察→三突の順番である。
 撃たれることを前提に前進を開始した四号戦車は当然イギリス軍のM4シャーマン戦車に攻撃されるが、元々同格の戦車、決定打を浴びせられない。生き残った四号戦車は確実にイギリス軍に痛打を浴びせる。
 敵射線を最初に横切った四号戦車は次のヴォカージュに取り付く。敵シャーマン戦車がもはやドイツ軍戦車に痛打を浴びせ得ないとわかると後続の四号戦車以降はとどめを刺さずに前進をした。先を急ぐのだ。
 第2のヴォカージュにも敵戦車が潜んでいるが、更に兵力を増している。町に伏せていた部隊が到着できたのだ。兵力は多いがここも先ほどと同じ手法で抜け出すはずであった。

 次のイギリス軍は前進するドイツ軍に2つのスタックから射撃を受けるように配置をしている。非常に拙いがここを突破しなくては作戦の成功はおぼつかない。第1の4号戦車のスタックは複数方向から来る射撃に被害は出るものの脱出に成功した。第2の偵察装甲車も被害が出たものの突破に成功。第3の4号戦車のスタックと第4の3号突撃砲が被害を喰らっている。しかもその後のイギリス軍の攻撃で4号、3突と共に1両ずつが撃破される始末である。
イニシアチブが取れないと攻撃すらままならないのでイニシアチブの奪取は突破側にとっては必須事項といえる。しかし取れない場合は...
 攻撃力はないが移動力の長い装甲偵察車3小隊は早々に突破した。あと4小隊分のユニットだが、四号戦車を中心に損害が累積している。イギリス軍の戦車部隊は突破口近くにチャーチル戦車を中心とした阻止部隊が進出し、M4シャーマンとクロムウェル戦車の2コ中隊はドイツ軍突破部隊を火線下におさめている。ギリギリ突破可能か?と思われた瞬間もう1コ中隊がこの戦いに参加したことで突破への望みは絶たれた。序盤にとどめを刺さずに放置した戦車中隊が回復して戦列に復帰してきたのだ。悔やんでも悔やみきれないが後悔してももう遅い。時間を惜しんだ結果、見逃した1コ中隊が最後の引導を渡すことになったのは皮肉である。
 突破点を目指すドイツ軍は奮闘もむなしくその鋼鉄の姿を戦野に晒すことになってしまった。

 このプレイでは2回プレイされ、2回ともドイツ軍の突破が不成立であった。久しぶりの戦術級とはいえ強引に一本調子で攻撃し続けたのはさすがに拙かった。なにしろ四号戦車ですからね。五号戦車を思わせるような扱いをしたのは拙かった。
 それはさておきこのゲームの移動と戦闘の順番が自由にできるフリーシークエンス制と小隊で1ターン30分は、似たり寄ったりになりがちな戦術級で異質な地位を築いている。またフリーシークエンス制というゲームとしての楽しさと再現性を目指した取り組みは最近のゲームに見られるので先進的とも言えるかもしれない。
 個人的にはテンポの良くなるスケールで兵器の特徴等も表現できるので好感が持てる。また戦術作戦級にも似た風合いは筆者にとってストライクゾーンである事に間違いがない。
 付け加えると筆者がエポック社のウォーゲームシリーズで一番最初にプレイしたのがこの「装甲擲弾兵」の続編である「東部戦線」であり、プレイ時にはその時の記憶が走馬燈のように横切ったのは言うまでもない。

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