ヨム・キプール(GAMERS)プレイ
最近は少しプレイが停滞気味である。それを反映してかアクセス数が落ちてきている。まあ自己満足に近いブログだから地道に続けています。最近のプレイの停滞気味といえば目が覆いたくなるが、仕方ないことだ。
さて、今回は今から4年前にプレイされたゲームを紹介する。今はMMPの傘下に入っているTHE GAMERSが有名な戦いを同じようなシンプルなルールでシリーズ化するというコンセプトで出版しているスタンダード・コンバット・シリーズの中の1作でエジプト軍がシナイ半島に奇襲をかけるヨム・キプール戦争(第四次中東戦争)を扱っている。
今から4年前のプレイですが、当時はTS氏の子供が生まれたりしてそれなりに忙しかったようです。これは今でも変わりませんが月日が経つのは早いことを実感してしまいました。
ヨム・キプール( GAMERS ’00年7月)
早くも7月である。前回ゲームプレイを行ってからずいぶん時が流れたような気がしたが、
最近は1ヶ月に1回あるかないかのペースでゲームプレイが行われているようだ。それもそのはず先月は戦友のTS氏の子供が誕生し、その他の者どもも公私ともに忙しかったようである。
それはさておき、久しぶりのゲームという事で、軽めのゲームをと考えたが、そんなゲームは最近のコマンド誌のゲームに見られるような、古いゲームのリニューアルが一番良いみたいだが、そういうゲームこそテクニカルゲーマーK氏の得意とするところであり、久しぶりならばなおさらテーマに凝ったものを選びたいものだ。
と、いうわけでいろいろ思案した結果が、ジ・ゲーマーズ社のSCS 「ヨム・キプール」と「クルセーダー」のコンビである。
このシリーズ、かの有名な「スターリングラードポケット」と大体同じシステムを持つ。ゲーマーズの常として大胆な補給、機動の処理、ブラッディなCRTがゲームの過激さを表しているといえる。まさしくアメリカ人好み?のおおざっ
ぱな処理に、人によっては閉口してしまう様だが、それはそれで良いのである。個人的な見解では砂漠等の戦力の過疎地での戦いには適しているようである。
箱絵でK氏は「ヨム・キプール」を選んだ。彼と言えば電子戦、ミサイル等の現代戦のエッセンスは邪魔くさいから嫌いだったはずのに意外である。しかし、その後の言葉に愕然としてしまった。「これいつの戦い? あ、スエズって書いてある。2次大戦け? 」
彼の目にはユニットトレイから飛び込んでくるF4ファントムとかMIG21、対空ミサイルの数々が全く見えなかったらしい。中東戦争とあかした後もどことどこの戦争かよくわかっていなかったようである。「イスラエルとドイツの戦争け? 」すっとぼけた発言のやりとりの後、ちゃんとわかってもらうには幾ばくかの時間が必要だったというのは言うまでもない。
過去に「スターリングラードポケット」という名ゲームに触れたことのある我々は、このシステムの習熟には時間はかからないはずであった。が、K氏の記憶の弱さは私の計算に入っていなかった。「スターリングラードポケットってなに? 」「スターリングラードのゲームってしたことあったっけ? 」「え? ぼろ勝ち? そんなことあったっけ? 」
閑話休題。
取り合えず、いつもならサイコロで陣営を決めるはずだったが、何故だか知らないが、K氏はそそくさとイスラエル軍をやると勝手に決めてしまった。多分ルールを読んで対するエジプト軍に制約が多かったからだろう。それともイスラエル軍に空中機動の機会が多いとか、空軍の使い方に幅があるからであろうか? いや絶対エジプト軍の司令部がスエズ運河を越えられないと言うアドバンテージがあるというのに決まっている。
ゲーマーズのゲームをプレイするのは厳密に言えば初めてだが、過去にライセンスものの「スターリングラードポケット」をプレイした時はそうも感じなかったし、日本語版だったので余計に感じなかったのだが、英語版のゲーマーズのゲームはゲーマーズという名前にもあるようにシミュレーションより、ゲーム寄りの簡単そうなイメージを持つ屋号を掲げながら、実はセットアップに軍事知識を要求されるハードなゲーム会社であることが判明した。
と、言うのもユニットの配置でNATO式の兵科・編制略号が標準で出てくるのだ。他のメーカーなら最悪でもユニットの表記にあわせ、第11連隊第2大隊を2/1 1とか表記するところを11R 2Bdnと書くわけだ。しかも兵科までもそんな調子だから第1空挺大隊なら1Abn Bdnとくるわけだから知っている人なら良いが、知らない人は大混乱である。K氏は当然「常識」(世間では非常識)を持ち合わせておらず、あーでも無い、こーでも無いと盛大なパズルが行われていた。
しかも運が悪いことにイスラエル軍の編成は師団・旅団等の大規模な編成では連番ではなくて、個人名がつけられている。たちの悪いことにユダヤ人は世界中に散らばっていたから名前まで多彩で傾向がつかめない。結局、セットアップが終わったのは夕方かなりを過ぎてからであった。
その頃には子育てに忙しいTS氏が到着し、ゲーマーズ特有のカラフルなハッキリしたマップを堪能し、
開口一番「クルセーダー」も面白そうだとか、フィッシュベットを等を見て現代戦のゲームにしてはシンプルだとかTS氏らしいコメントを発した。その後従軍記者を名乗りあげ、珍しく(最近では多いが)観戦武官として参加した。
ゲームはヒストリカルシナリオで、エジプト軍怒濤の侵攻からイスラエル軍のバックハンドブロウという、別の意味でも興味深いテーマである。国の性格から見ても、イスラエル軍はアメリカ軍+ ドイツ軍のような雰囲気であるし、エジプト軍はロシア軍+ ドイツ軍と言うような雰囲気を漂わせている。そう考えると明るいサンド色の砂漠が何故かロシアの大平原に錯覚し、スエズ運河が何故かドニエプル川やドン川、ドネツ川に思えてしまうのだ。不思議だ。
序盤はエジプト軍の大攻勢である。事前の2度にわたる大砲撃の後、持てる兵力の大半がスエズ運河を越えるべく渡河準備となる。歩兵の大分は全移動力を消費し、渡河に成功している。
前線にはイスラエル軍の前哨陣地たるパーレブ陣地帯と張り付け兵力しか存在しない。まさしく一蹴である。とは言え、イスラエルの前哨兵力は小隊規模である。そこへ数個連隊のエジプト軍が殺到するわけだから圧倒して当然である。
北部では順調に渡河に成功している。南部では渡河ポイントが少ないため小兵力の渡河ではあるが、虎の子水陸両用機械化部隊が渡河している。
空中機動部隊は北部の予備兵力を吸引するため大胆にも2個旅団規模の特殊部隊、空中機動部隊が侵攻している。
序盤の出来としてはまあまあか? 難点としては敵司令部及び、機械化部隊がSAM や地形に守られながら兵力を保持されていて捕捉できない点だ。
突破移動フェイズで渡河し得なかった機械化部隊が上陸し、橋頭堡の拡大につとめた。勝利条件は機械化部隊のスエズ運河以西の存在であり、そのためには機械化部隊の迅速な西進と敵部隊の撃滅が必要である。
序盤の奇襲攻撃に驚いたKS氏は、司令部周辺を固め、後日の反撃につとめている。沿岸部に展開する兵力で機動の余地があるものはエジプト軍に反撃をかけてきた。が、現状としては得るものが少ない。
頭を悩ませるのが、エジプト軍の司令部制限である。電撃戦よろしく補給切れ覚悟で西進したいのだが、この制限のために中途半端となってしまう。橋頭堡や沿岸部がクリーンでない現状では斬進的に進まねばならない。
イスラエル軍は砂漠でありながら効果的な地形を利用して防御についている。しかも2ターンより続々と援軍が到着しているようである。また、イスラエル軍の空中機動による柔軟な兵力展開は効果的にエジプト軍の守らねばならない所を増やしてくれている。
とりあえず、戦略的な攻勢としてみればエジプト軍の攻勢は手抜きとしか見られない兵力である。攻勢に使われる兵力と同等の兵力が総司令部予備などで使用制限されている。そのうち半分が、イスラエル軍がスエズを渡った際に予備解除となり、残り半分は攻勢から時間をおいて派遣される予備である。前者は現状が続けば日の目を見ることがない部隊だが、後者はランダムにサイ振りで決定され、必ずしも攻勢のモーメンタムに合致するとは言い難い。うまく行けば攻勢の後続部隊として戦果拡大が期待されるが、下手をすれば戦線の穴埋めや、逐次投入各個撃破の典型ともなりうるだろう。
イスラエル軍の援軍に気を払いながら、戦果を拡大しなければならない。しかし、各地で反撃が始まっている。
第4ターンにはついに南部と北部において反撃が始まり、北部では撃退に成功したが、南部では4個機械化部隊が包囲され撃破の憂き目になっている。エジプト側の援軍はようやく解除されたばかりで、シナイ半島の制空権はイス
ラエル側に移っている。イスラエルの援軍はハイペースで、戦力比はイスラエル側に傾きつつある。もし、先ほどの包囲戦が戦力比を押さえた数カ所での同時攻撃であったなら目も当てられないほどの破綻になるところだったが、K氏
の戦術思想に助けられた。とりあえず戦線は保持できそうである。
イスラエル軍ターンが終わった時点で時間が押し迫ってきたのでここでお開きとなったが、イスラエルのハイペースの援軍と展開力は考えねばならない問題で、エジプト軍のリスクを背負った攻勢は難しいといえる。
攻められていたK氏も序盤の大差ある情勢はつらいが、それなりに楽しめたらしい。彼曰くエジプト軍は前線のパーレブ陣地のイスラエル軍は無視して突進すべきでは? との意見で、補給上の不安点がある点などについて実践してみないとよくわからないところもあり、巷ではエジプト軍必敗との噂もあり、ルール的には簡単だが、ゲーム的なテクニックもかなり要求されるだろう。少々考えさせられるゲームであった。
了
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