旅順港強襲(GJ)プレイ
気が付けばもうあっという間に12月。今年は活発かつ積極的な活動で、例年に無く充実した1年になりそうです。事実今年のプレイ回数は、ここ5年から10年の間で最もプレイ回数が多く戦術級のプレイが多かったのも印象的です。
さて今回は、K氏とのプレイが予定されていたので日露戦争ものが優先的にセレクトする事になった。彼は日本史ゲームなどが好きで、ゲ-ム性が高い作品を好む傾向がある。この日は色々ゲームを持ち込んで選んだ結果、選ばれたのはゲームジャーナル誌の付録ゲーム、「旅順港強襲」だ。
このゲームは旅順攻略をめぐる攻防戦をエリア式のいわゆるアルンヘムシステムで表現している。筆者は恥ずかしながらアルンヘムシステムをプレイする事は初めてで、アルンヘムの評判を聞くにつれプレイする意欲が高まりつつあったので、このゲームはアルンヘム強襲が入手難の昨今、最も入手が手頃なゲームかもしれない。
さて、プレイの方は相変わらずの虚々実々の駆け引きをもって担当を決める事になった。それマップの向いている方向だの、今見ているユニットがどこの軍だとか色々である。
結局、筆者が日本軍、K氏がロシア軍を担当する事となった。
このゲームはたった5ターンしかない。最初の2ターンは日本軍には増援がないが、4ターン5ターンには大規模な増援が予定されている。旅順といえば203高地と28糎砲が有名だが、203高地はマップ最西端に位置し、28糎砲は3ターンから順次増援として1ユニットずつやって来る。
勝敗は5カ所ある制高点といわれる勝利条件エリアを日本軍が1つでも支配できれば日本軍が勝利するというもので、一見すると容易そうに見えるがそのほとんどが当時日本軍が屍山血河を築いたロシア軍の永久堡累だ。映画二百三高地でも明らかなように、支援無き歩兵の突撃は出血を強いられ、急速な戦力の消耗となり攻略は失敗する。
ゲームでも堡塁にこもるロシア軍は地形修正に助けられ、砲撃/射撃類から大半が生き残る。日本軍が進入して来ようものなら防御射撃で撃退可能である。
日本軍としては歩兵の無用な消耗を押さえる意味でも砲撃を集中し、堡塁に籠もるロシア軍を沈黙させ防御射撃を黙らせてから歩兵部隊を突入させ、そのエリアを奪うという方法が最も合理的と言えるだろう。
プレイは始まった。
日本軍は固定配置だが、ロシア軍はエリア内で自由配置だ。K氏は大胆とも言える堡塁を第一線とし、引き気味の配置をしている。どちらかといえば縦深を捨てているようにも見える。二〇三高地や椅子山堡塁、松樹山堡塁の前などはがら空きである。
各制高点を擁する堡塁の後方は予備のロシア兵で満載だ。おそらく制高点の後方に控える部隊を予備となし、堡塁を守る守備隊とローテーションさせるのだろう。
我が日本軍の作戦は最も日本軍側にエリアを接する二龍山堡塁に第9、第11師団の主力をもって攻撃を集中させ、二龍山堡塁の攻略を意識させ、助攻として第1師団主力で椅子山堡塁、松樹山堡塁に攻撃をかけ、予備兵力を吸引する。後備第1旅団は進撃路の啓開が任務だ。
3ターンから来る28糎砲、4ターンに来援する第7師団主力で突如として二〇三高地に攻撃を集中し、これを奪取するという腹案であった。
軍砲兵の射撃は二龍山堡塁に集中し、続いて第9、第11各師団の師団砲兵が火を噴いた。集中する砲火に堡塁のロシア軍は半壊する。驚愕するロシア軍。
ロシア軍に近接していない日本軍は前進を開始する。第9師団の半部と第1師団、後備第1旅団が前進する。第1ターンは砲撃と射撃と前進で終わった。5ターンしかないこのゲームは時間が勝負だ。
第2ターンは基本的に第1ターンと同じだ。砲撃に射撃。後方から来る援軍を遮断するためにも堡塁に突入し、一角を占める。ほとんどの部隊が機関銃を中心としたロシア軍の防御射撃にやられる。
「なんかこっちの射撃は当たらないなあ」
「防御力+防御レベルやからなあ。ここで11やから9以上ださな被害無しやねん。」
日本軍の攻撃側は射撃の場合最高3火力でしか撃てないので相手にダメージを当てるには相当の高い目を出さねばならないが、ロシア軍の射撃は機関銃を伴う場合が多いので結構3火力が立つ。
しかも隣接エリアに射撃してしまったエリアや、敵エリアに入った部隊は防御力に防御レベルが足せないため結構射撃が当たる。
それでも日本軍砲兵と第9師団の面々はまさに二龍山堡塁を追いつめている。ロシア軍プレーヤーのK氏はゲームエンドまでもたないと弱気になっている。
第3ターンは第1師団の松樹山堡塁の攻撃も始まった。二龍山堡塁は第9師団が次々と地歩を拡大し、第11師団は手薄となった東鶏冠山堡塁を攻撃した。
この攻撃はちょっと徹底を欠いてしまったため後で後悔する事になるが、二龍山に集中しすぎたロシア軍が隙を見せてしまって防備が少なかったので急遽第11師団を差し向けた。
ちょっとした色気から始まった錯誤が第11師団に悲劇をもたらした。堡塁に取り付く日本軍に対する射撃・防御射撃は壮絶なクリティカルヒットを連発し、第11師団を半壊させてしまった。そのため順調だった二龍山の攻撃が鈍ってしまったのだ。
第4ターンは勝負のターンだ。当初の予定通り二〇三高地を第7師団を主力とする攻略隊と28糎砲の大部をもって総攻撃だ。ロシア軍の予備部隊を吸引するために二龍山堡塁、椅子山堡塁、松樹山堡塁にも攻撃である。特に椅子山堡塁などを攻撃する第1師団には無理をして攻撃をしている。
脳内の予想図では、椅子山堡塁や松樹山堡塁は出血多量で、二龍山堡塁は堡塁に取り付いた部隊が意外に活躍し、最後の最後に良いところまで行くのではないかと考えていた。もちろん28糎を投入した二〇三高地はロシア軍を絶望に陥れる予定だった。
しかし、現実は28糎砲は一瞬だけロシア軍を恐怖に陥れ、二龍山からは逆に叩き出されてしまっている。意外にも第1師団は当初の期待以上の大活躍をして、椅子山堡塁に取り付いてロシア軍を圧迫している。
まあ少し躓いたが、次ターンは28糎砲の暴風でギタギタにしてメタメタにして踏みにじって吠え面かかせてやる予定である。
だがだが!
そうは問屋が卸さなかった!
28糎砲の射撃。
「てー!!」
スカッ!
28糎砲の射撃。
「てー!!」
スカッ!
もうここまで書いてきてどこかで同じフレーズがあったので書くのは止めるが、皆さんのご想像がつく通り満を持して放たれた砲列はどこまでも外してしまった。その後の勝敗は言うまでもないが、制高点は1つも奪えなかったばかりか第1師団の椅子山堡塁までも叩き出されてしまい、どこの堡塁も取れずにゲームを終了するハメになった。
確かに児玉参謀長の砲兵の移動ルールや、白襷隊を活かせなかったのは残念である。もう少し砲兵の射撃が当たっていれば勝てたのかもしれなかった。事実ロシア軍を担当したK氏は常に砲撃により堡塁の陥落を意識したという。特に28糎砲には恐怖を感じて、第4ターン第5ターンは保たないと思ったという。
日本軍の私から見ればここぞというところで会心の一撃を放ったロシア軍の砲撃と機関銃の射撃は圧巻であった。あのツキの少しでも我が軍にあればとの思いが強い。
ゲームとしてはあまり動きがないが、要塞を攻めているので仕方がない。少し砲兵の運の要素があると思うが、それでも乃木将軍の苦悩を垣間見たような気がする。
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