シチリア撤退作戦(国通)プレイ
新年初めてのゲーム会だ。今回は前記事「装甲擲弾兵」で書いたように急遽プレイが決まった。筆者が会場に到着時にはTS氏が中座していたので、プレイはツクダ群雄伝シリーズの信長風雲録の金ヶ崎撤退シナリオをプレイしようかと企んでいたところ、TS氏が舞い戻ってきたので3人でプレイするためにゲームを選び直した。その結果3人でプレイできるシチリア撤退作戦が選ばれた。もちろん前準備はしていなかったが、過去にルールを素読してプレイを画策した事もあるのでプレイはすんなり進んだ。
さて、シチリア撤退作戦とは国際通信社から別冊として発売されたゲ-ムで、その名の通り連合軍のシシリー島の攻略戦「オペレーション・ハスキー」が再現されている。コマンドマガジンの別冊といえばかなり大規模なものを予想しがちだが、そんな事はなく割と小規模でありながらユニットが少し多いというイメージだ。
ユニットは中隊から連隊/旅団クラス、1ヘックスは8マイル、1ターン3日というスケールで、マップはA3サイズのマップで、ヘックスサイズが大きい。具体的に書くとパレルモからメッシーナまで17へクスという具合だ。ユニットは300個以上あるので駒密度は高く、スタックは枢軸軍は戦闘ユニット6、砲兵ユニット3とスタックできるので、重要拠点にはハイスタックが予想される。
大まかなシステムは4インパルス中3インパルスは、各陣営20イニシアチブ・ポイント(以下IP)の範囲内でユニットを活性化させ移動する。活性化したユニットと表の状態のユニットは戦闘を実施できる。最後のインパルスは表の状態のユニットのみ移動・戦闘が実施できる。
IPポイントの消費は活性化されるユニットの陣営や状態によって可変し、孤立状態や混乱状態のユニットはペナルティが課せられている。
IPポイントは枢軸軍が単独で20IP使用できるのに対し、連合軍は英軍、米軍に20IPを分けなければならない。このIPのシェアが絶妙で、効率よく機動できる枢軸軍、まだるっこく鈍重に機動する連合軍と言ったように再現されている。どちらかが一方的に大胆に機動したくとももう一方の状態によってはそうも行かず、中々考えさせられる。
枢軸軍は20IP与えられるからと言って、連合軍を翻弄する事はあっても最終的には物量に押しつぶされる上に撤退しなければならないので、翻弄できてる間に下がる準備もしなければならない。
さてプレイの話に戻る。
プレイは枢軸軍をK氏が、米軍をTS氏が英軍を筆者が担当する事になった。米軍のTS氏は枢軸軍を担当して英米軍を地中海に叩き落とす事を夢想していたが、陣営決めで米軍になってしまった。
このゲームでは着上陸の過程は省かれていて、すでに英米軍が橋頭堡を築いた状態で始まる。英軍はアヴォラを中心に展開し、米軍はゲラ~リカタ~スコグリッティに展開している。英軍は橋頭堡の縦深が深いが米軍は広く浅い。
英米軍は事前協議で、史実と同じように英軍はシラクサを早急に奪取し、枢軸軍に圧力を加えながらジェルビーニを目指す。その間に米軍は攻撃左1シフトルールを解除するためにパレルモをまず第一優先に攻略する。限定解除を受けてからパレルモからメッシーナとカタニアからメッシナまでの区間は交通渋滞と枢軸軍の抵抗が予想されるので力攻する。その為にIPは米軍優先で運用する、艦砲射撃は英軍が航空支援は米軍が優先権を得る等々だ。
第1ターンよりIPポイントを背景に米軍は猛進撃を開始する。英軍はシラクサを攻略する最低限の支援で攻略を開始する。1ターンより5ターンまでは連合軍は増援が山のように来る。その為にも展開する箇所は必要だ。
序盤よりドイツ軍が反撃をかけてくる。ヘルマンゲ-リング師団を中心に強力な反撃だ。史実と同様に海岸際まで追いつめられる米軍、英軍と目と鼻の先で繰り広げられる死闘を英軍は指をくわえて見ているだけしかない。
すわ突破後橋頭堡蹂躙かと思われたが、艦砲射撃を恐れてかそれ以上の進攻はなかった。ここは英軍と挟撃をかけたいが、現状では挟撃をかける態勢を築く前に察知されて対策をうたれてしまう可能性が高い。
米軍はヘルマンゲーリング師団の反撃をきっかけにしてというか広範囲に渡り反撃を受けている。配置されている橋頭堡から縦深を得るため突出させるのは仕方ないとはいえ、ここまで反撃を喰らうと下がらざるを得ない。
英軍としては直接救援に赴くのではなく、間接的に支援するのがベターだ。それは支援ポイントの譲渡だけでなく、英軍戦線で積極的に攻撃をし、枢軸軍兵力を吸収する事などだ。しかしIPの振り分け上大々的に起動できない。IP消費の必要のない第4インパルスがメインとなる。
徐々には戦果は拡張する。シラクサを攻略した英軍は、シラクサ北の川を越え3個旅団がアウグスタ攻略に向けて
前進し、西に向けては米軍橋頭堡との間に存在するイタリア軍を掃討し、ゲラ付近の米軍とはヘルマンゲーリング師団で遮断されている。独軍の視点から見ると延翼運動をしている様に見えるのか、以降は警戒して活発性を失う。
3ターンには枢軸軍は第1降下猟兵師団を英軍方面に派遣し、怒濤の攻撃を押しとどめる様に配置されている。このゲームではハイスタック気味になるので師団マーカーをハイスタックと交換しマップ上に配置する。該当する師団ボックスにそのハイスタックを配置する。非常に見やすくプレイしやすくなるのでおすすめだが、対するドイツ軍はハイスタックのままなのでどっちが押しているのかわからない。
英軍の猛攻はドイツ軍の兵力を吸収するのに十分で、シラクサ~アウグスタ間の荒れ地には枢軸軍が終結してきている。荒れ地・山地の機動はドイツ軍は問題ないが、イタリア軍は浸入にも全力でかつ足手まといだ。
連合軍は砲兵が強力な上、ターンを追って増強されるため前線のパンチ力が強力になってくる。2,3スタックで独軍スタックを叩き続けると次第に枢軸軍のダメージが蓄積される。さすがの降下猟兵も下がり出す。多少低比率でも損害を与え続ける事が重要だ。
先般のドイツ軍の反撃で米軍は大打撃を受けていて申し訳なさそうにしていたが、損害を恐れていてはならない事と、相手にダメージを与え続ける事が重要で、デザイナーズノートにも常に20~30ユニットぐらいはデッドパイル行きと書いてあったので気にする事はないと鼓舞した。
米軍は兵力の大半をリカタ方面に傾注し、代わりにゲラ方面は英軍がヘルマンゲーリングと対峙する事になった。米軍も苦戦しながら前進中だ。さすがに航空支援と砲兵の支援を得た攻撃はゴージャスだ。しかしいかんせんサイの目が悪すぎる。
4ターンが終わる頃にはデッドパイルには連合軍のユニットが一杯だが、枢軸軍も徐々に増えつつある。枢軸軍のK氏はさがり時を思案するが、思うように動けない。しかも取り付いた英軍がじわじわと打撃を与えつつある。K氏はデッドパイルの連合軍の多さにビックリするが補充が多い事に更に閉口。
アウグスタからゲラ付近までのラインは英軍が主力となって攻撃を仕掛け、第1線の後ろには予備部隊が拘置され、消耗した旅団と後退できるように配置されて、どの局面でも新しい旅団が枢軸軍と対峙できるようになった。英軍の攻撃に吹き飛ぶ枢軸軍、ずっと同じ場所に鎮座していたヘルマンゲーリングもさがり始めた。英軍の先頭旅団はカタニアを望む海岸沿いの平地に進出したため、枢軸軍の足並みが乱れ始めた。
枢軸軍のK氏は崩れつつある自軍左翼と、カタニア~ジェルビーニを守りきれるか不安に駆られている。下がれない(下がりきれない)、前で守りすぎたとも言っているが、タイムスケジュール的には健闘しているので良いのではないだろうか?確かに何個かの部隊は連合軍という大波に飲み込まれそうでもある。
TS氏の米軍はサイの目にたたられながら序盤に失った領域を奪回しつつある。さらにゲラ付近を英軍に肩代わりしてもらっているので戦力の集中が顕著である。先頭部隊は連合軍中最も北に位置する。ゲラ方面の英軍との隣接区域はその先頭部隊がいるところだが、戦力の集中と前進の具合から見て野心的な事を考えているのかもしれない。
時間と枢軸軍の戦意が潰えたのでここまででお開きにしたが、5ターン終了時にパレルモを奪取していないので連合軍が完全に優勢というわけではないし、次のターンにも果たせそうにないが、現状の均衡は英軍の攻撃によって破壊され、今までにない打撃を枢軸軍は受ける可能性があった。カタニア~ジェルビーノ付近で戦闘が起こるのも時間はかからないだろう。
このゲームはポイントを自由に割り振れるので非常に自由度がある。枢軸軍はうまい具合に活用し、小技の効いた反撃や防衛を繰り広げてきた。4インパルス目に無償で移動攻撃が可能なため、それに合わせ活性化状態をどう持ってくるのかが腕の見せ所と言えるかもしれない。
機動の余地がないハイスタックゲームともいえるが、CRTは修整の嵐に見舞われるので事前に整理しておく事が望ましい。また4インパルスもあるので、1ターンのボリュームがかなり大きい。総じて言うとなりは小さいがハードなゲームだ。
このゲームをプレイして他のシシリーもプレイしてみたくなった。シシリー入門編にしては重たいなあ。
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