三十年戦史(国通)プレイ
珍しく昔の友人とゲームとかに関係なく食事をしていた時に、休日の都合が合う事がわかったので次の日にプレイする事になった。
最近は割と小さめのゲームをたくさんプレイし、たまに大きめのゲームをプレイする事が多くなった。今回も相手のK氏が細かいのをたくさんしたいというオーダーだったので色々持っていった。
その中で特別小さなゲームをプレイした。その名も「三十年戦史」。国際通信社のもう一つのシミュレーションゲーム専門雑誌「ダブルチャージ」誌の付録ゲームでオリジナルゲームだ。三十年戦争を太平記システムでプレイすると言えば大体の感じが掴めると思うが、太平記より小振りだ。それもそのはずこの雑誌の付録ゲームは「60シリーズ」と名付けられており、60個のカウンターと60分でプレイできるというのが売りのスモールゲームだ。
太平記システムと言えば、大抵のプレーヤー諸氏には説明の必要もないほど有名だが、日本史ゲームが嫌いゆえ知らないプレーヤーもいるかもしれないので簡単に説明する。
プレーヤーは新教側と旧教側に分かれ1ターンは3年で10ターンをプレイする。毎ターン主導権と行軍数を決定し、交互に移動する。移動は地形により移動できる武将の数が変わり、移動できるエリア数も変わる。戦闘はダイスパワーシステムで、率いている戦力か指揮能力値のどちらか小さい方の数分ダイスが振れ、敵味方の武勇能力値の差分ダイス修正される。
外交は主にユニットの陣営や状態等に作用し、諸国王・傭兵隊長と選帝侯の2種類のチャートがあり、ダイスを振り対象を決め去就を決める。ユニットの状態は盤上にいる状態と城市ボックスという陣営は明らかだが活性化されていない状態のものを置く所があり、外交の結果、盤上と城市ボックス(と外国ボックス)を行き来する。普通の外国軍(スウェーデンやフランスなど)は敵陣営から外交を受けると出陣か帰国しかないが、帝国選帝侯(プファルツやブランデンブルグ)は敵陣営から外交を受けると味方城市→敵城市という順番で陣営が変わる事もある。傭兵隊長に至っては盤上で裏切る事もある。
地域の支配はユニットの身分を表す星印の数以下のサイの目を出せば支配が確立する。サイの目は地元出身か否か、その地域の宗教と同じか否かなどの修正があり、支配の確立により兵隊の徴集や、勝利得点が獲得できる。
大まかにシステムをあげると以上だが、太平記と違うところも大いにあり、決定的に違うところは外交や同じ武将がターン中何度でも(獲得行軍数以内)移動できる点だろう。
ダブルチャージ第4号付録ゲームは60シリーズ『三十年戦史』
さて60シリーズでありながらさらっと流しても良さそうな所に力を入れすぎた。プレイの話に戻ろう。
今回のゲームは両方の思惑が一致して旧教側を筆者が、グスタフ・アドルフをプレイしたいK氏は新教側をプレイする事になった。
システムの説明は太平記システムという事もあって相違点の説明ですんだ。K氏と言えば対戦ゲームに困れば「太平記」の名前がすぐ出てくるという太平記フリークと言っても差し支えないほど「太平記」システムに魅せられていて、前回プレイした「英仏百年戦争」は見知らぬ時代だが、好意的に受けられていたので、この三十年戦史も受け入れられる事は確信していた。
さて、太平記システムの優れた点は見知らぬ時代、深く知らない国であってもキャラクターが際だっていて、かつ混沌とした戦場を描くのが得意だ。太平記などはさほど思い入れのない時代を扱っていたが、大河とゲームのおかげで一躍日本史ゲームのメジャーになったような気がする。今回の三十年戦史は前回の百年戦争に続いて西洋史シリーズ第2弾ということもあり非常に興味があった。
K氏は自分のユニットを並べながら前回英仏百年戦争で果たした完全勝利を夢想していたに違いない。筆者にとっては雪辱戦と言えるかもしれない。イングランドの敵をドイツで討つのだ!
序盤の初期配置は固定で、多くの武将は兵力を持って配置される。旧教側はバイエルン、オーストリア、ネーデルランドに配置され、新教はオランダ、プファルツ、ベーメン、ハンガリーに配置される。パッと見は新教側が旧教を圧迫しているように見える。
序盤の外交フェイズでは旧教側はプファルツのフリードリヒ5世を引っ込めさせ、新教側はフランス軍の参戦を得た。プファルツのフリードリヒが無力化された事でネーデルランドのスピノラと連携が取れるようになり、バイエルンに配置されるティリーやマクシミリアンがロートリンゲンに進出する機会を得た事はフランス参戦の押さえとして有効に機能した。またベーメンやハンガリーより新教側傭兵を叩き出せた事は防衛ラインを山地側に推し進められた。ネーデルランドからチロル、ロートリンゲンからオーストリアまでの広大な地域を占拠する事に成功した。
新教側はプファルツを失った事は戦力を失う事よりも帝国の出入り口という重要な地勢的なエリアを失った事が大きいと思う。代わりに外国のデンマーク軍を出陣させたが主戦場は遠い。他のオランダのマウリッツやフランス軍は旧教軍に押さえられて身動きが取れない。肝心の新教側選帝侯はザクセンのみで孤立していると言って等しい。
新教側には大きな苦難の船出と言えるが、3ターン目には主戦力とも言えるスウェーデン軍が登場するのが待ち遠しい。スウェーデンのグスタフ・アドルフはゲーム中最高の武勇を持ち、最強の君主として存在している。スウェーデンの強みは他の国と違い、部下の武将がいる事だ。扱える兵力がハプスブルグ家に次いで大きい。ちょっとした帝国選帝侯など一撃で撃砕できる。
3ターンになるとスウェーデンが投入される。強力だが実際の力を発揮するには次のターン以降になる。その間までに旧教側は不安因子を取り除く。オランダのマウリッツを攻め、ザクセン、ハンガリーに兵を進める。新教のドイツ側の占領地はポンメルン、ブランデンブルグのみだ。新教側は態勢を少しでも挽回するためにフランス軍で突っかけたが逆に西側の新教側部隊が一掃されてしまった。地団駄を踏むK氏。外交はダイスで決められるため無意味なものも多い。
5ターンになると兵力充実したスウェーデン軍が前進を開始した。ヴェストファーレンとザクセンが前線となり、帝国選帝侯が防備を固めるが心許ない。さすがに兵力一杯の皇帝を前に出すわけにも行かず、消耗を強いるためにそのままに。
ザクセンはあっけなく陥落し、新教側の傭兵隊長『ワレンシュタイン』が牽制のためシュレージェンに前進。スウェーデン軍はプファルツの皇帝を狙わずワレンシュタインのシュレージェンに突入し撃破。ハンガリーに突入する勢いだ。それをみて次の移動で旧教側はレオポルトなどをザクセンに進出させ他の新教側部隊を牽制。
第7ターンまでにスウェーデン軍は全軍を持ってザクセンに進攻。筆者のお茶目なポカのため旧教側が撃破される。しかし潮が満ち引きするようにハンガリーの部隊がシュレージェンに進出し、更に牽制。いたちごっこである。
K氏はイニシアチブや外交、戦闘、諸々のダイスチェックで不満がたまりまくってる。ダイスで気持ちよく旧教側を翻弄したいが逆に翻弄されている。
旧教側は残りターンが少ない事を良い事に、さらにイニシアチブ数が適切な数であったのが幸いしてポンメルンとホルシュタインに進攻。新教側の得点を減らす作戦だ。当然スウェーデン以外のユニットはビックリするほど強いものはなく、数さえ当てれば相手を破れる。また今日はすこぶるダイスが調子が良い。相手が外交で新教側選帝侯を出陣させてもすぐに引っ込めさせたりしているので内部攪乱のない盤石の態勢を築いている。
新教側は反撃が奏功せず結局ザクセンとブランデンブルグと消耗したスウェーデン軍が残ったのみだった。旧教側はスウェーデンとの戦いで大きく消耗したが、失った戦力は土地を守り勝利得点を稼いだ。珍しく筆者がこの手のゲームで圧勝したが、それもクリティカルなダイスの目に助けられただけでなく、新教側のミスも多かった。ともかくミスの少なく運の良い旧教側が勝てたようだ。
太平記システムならではのイニシアチブ数によって機動が活発になったり、出陣をどこにするか悩んだり、外交の結果により当初のもくろみが消えさえしまったり小粒ながら考えさせられた。あまりコマ数の少ないゲームは気がのらない方だが、このゲームが結構感触が良かったので他の60シリーズも試してみたくなった。太平記、百年戦争に続きプレイする事によってテーマに興味のわくゲームであり、プレイによって周辺がふくらむので非常に面白い。プレイタイムも短いのでちょっとした合間にプレイできるので重宝する。
しかし兵力ユニットもカウンター化して欲しかったなぁー
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コメント
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inaさま
コメントありがとうございます。
この手のゲームは大都会のボードゲームを扱う専門店以外ではあまり店頭で見かけることはありませんが、通販であれば以下のサイトを利用できます。
http://www.rakuten.ne.jp/gold/a-game/
http://www.fujistamp.com/chrono/index.htm
http://www.boardwalk.co.jp/iogm/
なお、本ゲームはダブルチャージ第4号の付録ゲームですが、打ち抜き駒が付属していないので自作するか、コマンドマガジン第59号あるいは63号を入手するしか方法がありません。そういう意味では垣根が高いホビーですね。
一番手っ取り早いのは持っている人とプレイすることでして、都市圏なら概ねサークルがあります。なお私はどこにも所属していません。プロフにもあるように我々は京都でプレイしています。
投稿: ぐちーず | 2005/06/05 18:52
(*゚∇゚)y-~~面白そうなゲームですね~是非一度やってみたいなぁ
(*゚∇゚)y-~~こういうゲームって普通に売ってるんですかね。ボードゲームって余りみたことないですが。
投稿: ina | 2005/06/03 09:56