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2005/07/24

ドイッチュラント・ウンター・ゲルト(GJ)プレイ

 筆者は戦略級ゲームが基本的に嫌いだ。もちろん食わず嫌いではなくて戦略級のアブストラクトな点が嫌いなのだ。もちろんゴチャゴチャ細かいのも嫌いだ。そんなせいもあって生産を伴う戦略級というものはあまりいい思い出がない。あまり書きすぎると敵が増えそうなのとボロが出てくるのでやめる。
 さて、筆者の周りには結構お互い相手の好きなものを尊重するという雰囲気があって、多少好みの蚊帳の外であっても誘われれば付き合うという、相手あって成り立つこのホビーで啓蒙的とも言えるプレイスタイルを貫いている。
 筆者は戦略級が嫌いとはいえプレイしないことはない。なんと言っても盟友のK氏は大の戦略級好きなのだ。プレイせざるを得ない。
 そんな中、戦略級嫌いな筆者でも「これ、イケなくない?」な作品が登場した。
 ゲームジャーナル誌13号のドイッチュラント・ウンター・ゲルトだ。「高梨作品に外れ無し」と広告うつくらい伝説化している高梨俊一氏のデザインしたゲームで、戦争経済にスポットを当てた作品はとても21年前の作品とは思えないほど斬新だ。いや21年前だからできたのか。

 さて、事の始まりは筆者が戦術級のゲームプレイを画策したことに始まる。このところ作戦級が続き、大河的な戦略級も数をこなしている。ここいらで大物戦術級でもプレイしてもかまわんだろう、いや、もう1回くらい戦略級のゲームをやっておいて連チャンで戦術級を・・・・
 と、企んだ末にこのゲームをやることにした。なんと言っても「高梨作品に外れ無し」を確認したかったのだ。未だかつて高梨作品は所持すれどもプレイされず、テーマといいそのまま埋もれさすには惜しいものが多いからだ。
 さて、当然のことながら生産を伴うしかもWW2がテーマの戦略級にK氏の食いつきはよかった。大抵のゲームは忘れ去ってくれるのにこのゲームだけはひつこく覚えてくれていた。

D_U_G_FIRST
 「おぅい。あの何やったっけ?ドイチュ何とかとか言う戦略級のゲーム・・・」と興味があっても日本出版でもドイツ語タイトルのものは珍しいので今一ドイツフリークな人以外には伝わりにくいタイトル名で、損をしているような・・・
 プレイはK氏が枢軸軍、筆者が連合軍を担当した。このゲーム全ての軍事行動・活動にポイントが必要で、漫然とした軍事行動は破綻を招く。
 1939年秋。東欧の陸軍大国ポーランドに攻め入ったドイツ軍は後世「電撃戦」と名付けられる革命的な戦術でこれを圧倒し包囲殲滅。ポーランドの首都ワルシャワがドイツ軍の手に落ちたのはわずか1週間足らずであった。
「まーどないがんばってもポーランドが持つわけないからしゃーないしゃーない。」
「あ、ルールの規定によってロシア軍を前進。」
「いやあお金かかるなあ。前進に金、攻撃に金、戦闘後前進に金、金、金、金やなあ。」
「後退に金、動員に金、生産に金、金がなかったらなんもできんなあ。」
 この後世の中はファニーウォーと呼ばれる静かな戦争に突入し、ノルウェーを巡る戦いに突入する。
 いや違った。東部戦線守備規定ギリギリを守ったドイツ軍は返す刀というスピードで独仏国境を越え、ベルギーに侵攻しフランスに攻撃をかけてきた。フランス軍のトリッキーな攻撃により、ドイツ軍の1個軍団が補給切れで壊滅した他はイギリスから大陸派遣軍を投入したのにもかかわらず3ターン終了時にはパリにドイツ2個軍が隣接していた。4ターン終了時にはパリは陥落しフランスは降伏した。

「ノルウェーに行かないドイツ軍なんて何考えてんだか。」

「金がかかるからいかれへん。」
「ま、ドイツ軍1個軍を包囲殲滅して心胆寒からしめたのが俺的勝利だよな。」

 一局面の戦術的勝利に小躍りする筆者。
 次に目指すのはバルカン半島席捲か。アフリカでは史実とは違い静かな地域となっている。イタリアがエジプトを攻めないことをいいことにイギリスも兵力を特に送っていない。
 数ターンかけてドイツ軍は物資の蓄積と移動を完了し、兵力不足のフランスの防備にはイタリア軍を充てている。フランス戦に対して参戦していないイタリア軍がフランス占領政策に大きく関与していることに抗議をしたが、K氏はどこ吹く風だ。
 第8ターン。兵力充分、気力充分、お金もたっぷりのドイツ軍がバルバロッサを開始する。普通、枢軸同盟軍が戦線の一翼を担いそうなものだが、弱小なる同盟軍に信頼を置かないK氏ドイツ軍は北方軍集団から南方軍集団まで全てドイツ軍部隊で編成してきた。
 特別ルールによりバルバロッサは成功するようになっている(時限的にロシア軍は戦力1となる)が、全戦線にわたってドイツ軍の攻撃が成功し、独ソ国境のロシア軍は半壊した。
 ロシアといえば豊富な人的資源が思い浮かべるが、このゲームでは経済ポイントと交換で生産するので、格別ロシアが安いというわけでない。同じポイントを使用する。当然ポイントは多くなく、後の戦闘を考えるとポイントをたくさん使えるわけでもないので再建も思うように進まない。

 これはあまりに危ないのでレンドリースを送るが、送ったポイントの1/2しか使えず、次のターンにしか使えないので思ったより多く送れない。
 ロシア戦線では攻撃反撃の繰り返しの一進一退で、よもやこのまま膠着?と思われた第12ターンに南方大旋回を果たし、運命のスターリングラードを占領し、リガ~スターリングラードという戦線ができあがる。

D_U_G_RIGA
 ロシアは工場疎開の影響で、生産力がターンが進むごとに大きくなるが、タイミングよくスターリングラードが陥落してしまったので、ずーっと防御の態勢のままだ。サターン作戦はできそうにもない。
 スターリングラードが陥落するとロシア軍は降伏チェックを行うが、ダイスへたれのK氏は大きく期待をはずし、ロシア軍徹底抗戦の道を開いた。さらにドイツ軍の攻撃はタイフーン作戦を発動し、難なくモスクワが陥落してしまう。ここでいい加減ロシア降伏の目が出そうだがここでもロシア政府は徹底抗戦へと舵を切る。
 こうもずーっと叩かれっぱなしは精神衛生上悪い。スターリン政府は指揮鼓舞のためなけなしのポイントを使ってレニングラードからの反撃作戦を計画し、実施するが失敗しさらにドイツ軍の反撃に遭いレニングラードまで陥落してしまった。
 すんでの所で、ドイツ軍がロシアの征服規定を守っていなかったので降伏しなかったが、ドイツ軍プレーヤK氏から「卑怯だ!はよ言え!」と罵詈雑言を浴びせられる。しかし、相手プレーヤーの小ミスに喜んでいるようではいけない。気がつけば所在なさげにマップに散らばっていた枢軸軍同盟軍は各地に送られ、17ターンには南はアフリカ、東はキエフに送られ、占領政策を確実にしている。

 第18ターンにはロシア征服規定を満たしたドイツ軍は満面の笑みを浮かべてロシアユニットを除去しだした。南に目を向けるとエジプトのイギリス軍はリビア国境でイタリア軍と対峠しており、トーチ作戦に成功したアメリカ軍はアルジェリアでイタリア軍と戦闘中だ。
 チュニジアにはアルニム率いるドイツ軍部隊が到着し、攻勢の準備をしているし、さらにフランスで守備しているドイツ軍部隊と交代でハンガリー軍部隊が到着している。注意しなければハンガリー軍がアフリカに上陸しようとしていたのでヒストリカル的にあまりにもあまりなので止めてもらった。
「お前なー。ハンガリー・アフリカ・コーアなんて聞いたことがないぞ。なんでDAKがHAKになるんや。彼らは反共のために参戦しているのに関係ないアフリカに持ってきてどうするんや。」 
 K氏の辞書にはヒストリカルの文字はない。ただ合理的にその時余っていた軍がハンガリー軍だったわけだ。
 ともかく、ハンガリー軍はアフリカに送られることなくフランスに送られた。それを機にというか継戦して残りのターンでドイツ軍の得たポイントを取り返せるかというと、絶望的に不可能であるので連合軍の投了と言うことで終わった。

 D_U_G_LAST
 めちゃくちゃな敗北で終わったが、これも筆者の過早な反撃とドイツ軍の絞り込まれた戦略と合理性によるものだろう。何度かドイツ軍の攻撃をしのいだり、反撃で心胆寒からしめたが、それも1エピソードにしかすぎない。レンドリースが今一使えなかったこととポイント消費と生産がうまくかみ合わなかった場合坂道を転げ落ちるように敗北への道をひた走るのだろう。
 しかし、このゲームはよくできている。簡単であるがこの戦争の本質を掴んでいるような気がする。しかも面白い。銭勘定しながらする戦略級はどうかとも思ったが、これが無茶なことをできなくするし、お金持ちは絶対勝利するし、スパイスが効いて面白い。これは対戦したK氏も同じようなことを言っていて、もう一度プレイしたくなる戦略級にようやく出会えたような気がする。
 

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コメント

 信長様。コメントありがとうございます。戦略級はあんまり好きでないとか言いながら結構プレイしている「ぐちーず」です。
 この記事をアップした後、またプレイしました。それも展開が面白かったので今度の記事として鋭意執筆中です。
 信長様のブログも時を同じくして見つけたので読んでいます。いつコメントしようかと躊躇しているうちに日が経ってしまいました。
 ゲームがかぶったりしたらどんどんコメントやトラバしてくださっていいですよ。

私も戦略級は敬遠派なので、プレイしたこともありませんでした。
買いですか?
買っちゃいますよ。
(クロノに注文しました。ASLSK#2と一緒に来る予定)

ブログを始めました。
見てやってください。

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