オペレーション・ソレイス(国通)プレイ
ベトナム戦争は筆者にとって現代戦の象徴的な戦争だったが、近年行われた湾岸戦争、イラク戦争で全く覆ってしまった。当事者のアメリカ人にとって見れば未だ過去の戦争でないのかも知れないが、筆者にとって見れば物心付いた頃には戦争は終わり、青春時代には映画の舞台として扱われていたのでもはや過去のものとして捉えていた。
ベトナムと言えば生春巻き!ではなくてイメージとしてヘリとジャングルが強く、戦術的なイメージが先行していた。ゲームでも戦術レベルにシフトしたゲームが多く、前回プレイしたプラトーンは記憶に新しい。
このオペレーションソレイスは実際には実施されなかったハノイ周辺の捕虜奪還作戦を扱ったゲームで、史実では攻め込みたくても攻め込めなかったハノイ周辺がマップ化されてる。敵国の首都に乗り込んで暴れて帰ってくるとはなんて痛快なテーマなんだろうかと、発売当初は思ったものだが、暴れられる方はたまったものではないとハタと気がついた。
そんなゲームがコマンドマガジン47号の付録のおまけとして付いていて、他の付録ゲームと違い自作が必要である。テーマと言いめんどくさい向きには永遠にプレイされないゲームだが、ヘリ作戦と言うことで俄然興味がわいた。
捕虜奪還作戦はいわば特殊部隊の特殊作戦で、近年とみに見られるようになった。捕虜奪還と言えば難しい作戦の一つだ。そういう捕虜奪還とか人質奪還というオペレーションを熱心にしているのがアメリカだ。
こういう特殊作戦は成功すれば大きな政治的なポイントを得るし、失敗すれば威信は地に落ちるという両刃の刃である。そんな一か八かの作戦をアメリカはベトナム戦争中に考え、実施しようと企んでいたが中止された。それを仮想戦としてシミュレートしたのが本作で、大戦中にはなかった様々な兵種のユニットが登場する。
マップにはハノイを中心にベトナム北部が描かれていて、捕虜収容所はあちこちに散在している。8カ所に散在しているが、そのほとんどがハノイ周辺で一見すると北ベトナム側は守りやすいように見える。
さて、米軍は8カ所の捕虜収容所とハノイおよび周辺の5ヘックスの都市・町を強襲し、米軍捕虜と北ベトナム政府要人を捕らえ、脱出しなければならないが、米軍は第1ターンから空から海からやってきて、最終ターンまでにハイフォン、海岸、飛行場から脱出しなければならない。
対する北ベトナム軍は米軍の脱出を阻むべく行動すればよい。また、コラテラル・ダメージという爆撃によって民間人の犠牲が増え、政治的にまずい状況を表す勝利ポイントのマイナスがあり、北ベトナム軍があちこちから戦火を拡大させることに成功すれば自ずから得られるもので簡単に敗れることはないだろうと夢想した。
対戦はK氏が米軍、筆者が北ベトナム軍を選択した。
第1ターン。初期配置に従って北ベトナム軍を配置。襲われることが判っているせいかもしれないが、襲ってくださいと言わんばかりの配置だ。米軍はすべて増援でやって来る。空挺部隊は平地に降下し、特殊部隊は捕虜収容所・政府要人のいる都市町に配置される。
いきなり襲撃のお膳立てがされているわけだ。最初は何のことかと思ったが、奇襲のため潜伏していると言うことで納得した。
特殊部隊は4:1の戦闘比で施設(捕虜収容所等)を攻撃し、EX以外の結果が出れば襲撃に成功し、捕虜や政府要人を確保できる。
結果から書くとほとんどの捕虜収容所で成功し、ハノイより南の捕虜は解放された。しかも空挺部隊は空挺効果チェックに難なく成功し、移動でハノイに隣接するところに接触している。
押っ取り刀で駆けつける北ベトナム軍。一気呵成に制圧し脱出のための飛行場確保に余念のない米軍。おまけに海兵隊と機甲歩兵大隊が上陸し、海岸堡どころか内陸に侵攻している。
第2ターン。北ベトナム軍の増援は全てサイ振りで決定される。0から2個師団というもので、盤上に部隊が少ない北ベトナム軍にとっては死命を制するものと言えるかもしれない。
ターンシークエンスは米軍プレイヤーターンと北ベトナム軍プレイヤーターンがあり、各々増援、移動、戦闘というありがちなターン構成だが、米軍だけは機械化移動フェイズがあり、米軍は空挺と海兵隊以外は全て機械化扱いのため機械化移動フェイズにもう1度移動できる。さらに特殊部隊、各種ヘリ、空中機動大隊はヘリ移動であるため地形コストがかなりお得になっている。
第2ターンから3ターンの焦点は米軍の捕虜脱出とハノイ攻略と言えよう。ハノイ攻略戦は空挺と空中機動と機甲歩兵が中心となって攻略をしたが、北ベトナム軍の勇戦によって挙止に成功した。しかし、空中機動歩兵などの浸透によりハノイは孤立を余儀なくされてしまう。ハイフォン~ハノイ間は米軍によって打通されるのも時間の問題だ。鬱陶しいのは特殊部隊。部隊規模が小さく、2回移動ができ、さらに戦闘前退却ができるなど戦闘力以上の働きをしている。
「なんかお前向きの部隊やなあ。」
鬱陶しい米特殊部隊に毒気尽く筆者。こういう訳のわからん小粒でピリリなユニットをよく活用するK氏に讃辞ともとれる事を皮肉めいて言わねばならないほど鬱陶しい。
第4ターンには米軍の猛攻でハノイは陥落し、政府要人は退路を断たれているため米軍の手に落ちた。奪回するための部隊はない。数少ない北側の北ベトナム師団は特殊部隊の遅滞戦術で前進は遅々として進まない。増援は順調に来ているが、大半が南部からの進入である上に米航空ユニットの移動妨害で足止めされている状況だ。北ベトナム軍師団は部隊規模が大きく強力だが移動力に乏しい。このターンまでに何とか特殊部隊の一部を壊滅させ、先頭部隊はハノイから2ヘックス先に到達し、ハイフォン~ハノイの連絡を寸断するところまで来たが、捕虜および政府要人は既に飛び去った後だった。
第5ターンには米軍戦闘部隊の脱出も始まった。ハノイで防備を固めていた空中機動歩兵や機甲歩兵は後退を始め、特殊部隊を殿に後退を始めた。機械化部隊は逃げ足が速い。飛行場からの脱出は北ベトナム軍が隣接している場合不可能だが、ハイフォンや海岸地帯は関係なしに脱出できる。ハノイに固めていた部隊は遠く離れた北ベトナム軍が到達できないところを目指し、ハイフォンや海岸に近い部隊は海岸から脱出を計るようだ。
これを少しでも妨害を試みたが、ハイフォンや海岸近くは防備が堅く、また部隊によっては到達できなかったりして失敗した。
第6ターンは米軍ターンで終わった。なぜならば盤上から米軍部隊がいなくなったからだ。全く見事な退却を見せられてしまった。
ニクソンがこのゲーム結果を見たら間違いなくこの作戦を実行しただろう。しかし本当にこんなにうまくいくかどうか判らない。なんと言っても作戦規模が結構大規模だからだ。
またB52による爆撃があり、コブラ作戦時の絨毯爆撃みたいに敵スタックごと除去するということもできる。ゲーム中にも行われたが、どのタイミングのどのケースだったか忘れたのでリプレイから割愛した。
ゲームが終わった後、北ベトナム軍はどないしようもないなあと言うようなことを言っていたら、ルールの最後にこんなことが書いてあった。
『オペレーション・ソレイス』は米軍有利のゲームであり(必勝といっていいでしょう)、ゲームバランスに難ありとされてきました。
「ああ、ホーチミン。負け戦は僕のせいじゃなかったよ。」と心の中で呟いたのは言うまでもない。
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