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2005/08/21

ゼーロフ&キュストリン1945(6A)「キュストリン救出作戦」プレイ

 最近、シミュレーション・ウォーゲーム界では日本人デザイナーの海外進出が激しい。その中でも山崎雅弘氏は草分け的存在で、数多くの作品を発表している。
 山崎氏の作品の中でも筆者にとっては作戦級でありながら戦車戦の要素を取り入れた「ツィタデレ作戦」が印象に残る作品で、特に北戦区と南戦区を分割マップに収める、非対称シークエンス、南部マップはプロホロフカ辺りまでというところがお気に入りだった。
 そのデザイナー氏が自費出版という形で世に出しているゲーム付き雑誌が「シックスアングルズ」で、毎号オリジナルの付録ゲームがついており、初期の頃はコンポーネントや価格上の制約からか同人誌らしかった初期作品として4号まではシールユニットだったが、5号からは打ち抜きカウンター、9号からはフルマップ以上となり、もはや同人誌とは呼べないクオリティまでになっている。
 ゲームの総合的な出来については全てをプレイしていないので、断言は避けるが最近の作品はかなりクオリティが高いらしい。デザイナー氏は8,9号あたりからかなり意識して作業しているらしいが、筆者は7号のゼーロフ&キュストリンが質的向上の一つのターニングポイントではなかったのかと考えている。
 そんなご託はまあ横に置いといて、ともかく「ツィタデレ作戦」チックなミニゲームを久しぶりにやりたかったので久しぶりにやってみることにした。

 ゼーロフ&キュストリン1945はWW2末期も末期の4月に戦われたソ連軍のオーデル河畔からのベルリンに向けての攻勢でゼーロフ高地に防衛線を張るドイツ軍との戦闘を扱う。
 スケールは
1ターン:3時間(昼間)4時間(夜間)
1ユニット:大隊・中隊(独)/連隊・旅団(ソ)
1ヘクス:960メートル
マップ:A3マップ1枚
カウンター:264個
ルール:12P(シナリオ・CRT含む)

 
 いわゆる戦術作戦級のミニゲームのスケールだ。ユニットには兵科記号あるいは戦車の側面図シルエットが描かれており、戦車等へのこだわりが感じられる。戦車戦へのこだわりはターン攻勢にも表れており、ターン構成は以下のとおりとなっている。

第1プレーヤー砲撃フェイズ
第1プレーヤー移動フェイズ
第2プレーヤー対戦車射撃フェイズ
第1プレーヤー対戦車射撃フェイズ
第1プレーヤー戦闘フェイズ
第2プレーヤー砲撃フェイズ
第2プレーヤー移動フェイズ
第1プレーヤー対戦車射撃フェイズ
第2プレーヤー対戦車射撃フェイズ
第2プレーヤー戦闘フェイズ
管理フェイズ
ターンマーカー進行フェイズ
 
 第1プレーヤーがどちらになるかはシナリオに記載されている。
このゲームでは2つのシナリオがあり、1つは「キュストリン救出作戦」、もうひとつは「ゼーロフ高地への強襲」で、「ゼーロフ高地への強襲」がメインシナリオとなっている。
 今回プレイした「キュストリン救出作戦」は練習シナリオのようなものだ。シチュエーションはキュストリン市付近に包囲されているミュンヘベルグ装甲師団の一部とデーベリッツ歩兵師団一部を救出するため第20、第25装甲擲弾兵師団が中心となって攻撃する。
 戦車ユニットもとい、戦車部隊はドイツ軍にのみ存在し、砲兵部隊はソ連軍のみに存在する。シナリオの目的は戦車部隊と砲兵部隊の使用方法にあるのだろう。
 それはさておき、過去にこのゲームをプレイしたことがあるが、かなり前の話だ。いきなりメインシナリオはつらい(こつを忘れた・時間的に厳しいというのもあった)ので本キュストリン救出作戦シナリオを選択した。
 ドイツ軍はK氏、筆者はソ連軍を担当することになった。

ZANDK1945_1
 このシナリオはドイツ軍が主役というかイニシアチブを握っているのでドイツ軍が第1プレーヤーだ。第502SS重戦車大隊を擁していることからも、結構本気度満点だ。たった2個師団の攻勢とはいえ、古のドイツ軍の栄光を再現するべく独軍は進撃する。目標はキュストリン。
 対するソ連軍の筆者は悩んだ。本気度満点の装甲師団が無く、装甲擲弾兵2個からなる反撃とはいえドイツ軍には重戦車大隊という巨獣がいる。アニマルと形容しているがそんな可愛いものではない。むしろ恐竜か怪獣。しかも黒塗りあり。1個中隊の分際で歩兵連隊以上のパワーを持つ。とりあえず装甲部隊が攻撃をかけてくる前面は遅滞作戦をし、包囲しているミュンヘベルグ師団等を抹殺して、その余剰戦力を前線にあてがうことを考えた。
 第1ターン、装甲擲弾兵と突撃砲大隊と重戦車および戦車大隊は手を携えてソ連軍前線に殺到した。一応各ユニットには対戦車射撃力があり、前進してくる敵戦車部隊に対し機先を制して射撃ができるが、概ね対戦車射撃力の大きさから戦車は戦車で、と言う構図になる。
 今回はソ連軍は歩兵部隊の集団で、戦車部隊がないため、前線の歩兵部隊がまとめて撃つが、歩兵部隊の平均的な対戦車射撃力は1であるためたいした戦火は望めない。まあ良くてモラルチェック。しかしモラルチェックで失敗すれば2ヘックス後退の混乱状態となり、そのターンの攻撃には参加できない。一縷の望みをかけて射撃する。
 失敗失敗またまた失敗。
 ドイツ軍の対戦車射撃フェイズはソ連軍の戦車ユニットがいないため省かれ、いきなり戦闘フェイズ。戦闘フェイズは任意の攻撃側ユニットと目標ヘックスの防御側非戦車ユニットとの間で行われる。今回は普通に攻撃側と防御側の単純な戦闘比となった。CRTは退却型と言うべきか士気値と比較するタイプ。士気値以上の結果だと後退し混乱する。また結果によっては強制的にステップロスをするものがある。
 混乱の効果は大変なもので、射撃ができず移動は半分、士気は額面より低くなる、戦闘ではペナルティありといいところがない。幸いなことに士気回復は管理フェイズで行われるが、敵ZOCは士気回復に影響しないと言うことだろうか。
 さて、ドイツ軍の第1撃は予想されたというか、前線が後退してゆき混乱マークがはためいている。スタック制限でロシア軍は積めず、後退時に踏まれるとスタックオーバーとして自動的に混乱する。したがってちょっとユニットの置き方を間違うと混乱マークがたくさんはためくので要注意。
 こっちのターンではやることと言えば、足の重くなった混乱部隊とフレッシュな部隊を入れ替えたり、戦線の整理をしたりとやることは淡々としたものだ。ミュンヘベルグ師団を攻撃中の部隊は効果が上がっていない。
 ソ連軍左翼マンシュノフ、ゴルガストで時間を稼げるかと言ったところだが、ソ連軍右翼は平地が多くここから回り込まれる可能性もある。適時反撃し相手を後退させることに成功したので2線防御となっているが、混乱部隊と後退時のスペース開けで突破されるのは時間の問題だろう。このシナリオではドイツ軍の燃料不足が特別ルールにあり、士気回復が困難になっている。
 マンシュノフ、ゴルガスト方面はSS502重戦車大隊が主力となってごり押しで押してきている。その何個かの戦闘はよもやの攻撃側失敗で、なかなか押し切れずに苛立っている。
キュストリン方面は相変わらず進展無し。
 4ターン目に全面的に攻勢に出たドイツ軍はソ連軍右翼で第20装甲擲弾兵師団第8戦車台隊基幹のカンプグルッペが前線のソ連軍を駆逐し、ソ連軍の砲兵部隊まで手の届く範囲に進出し、包囲されるミュンヘベルグ師団まであと3.6キロの所までたどり着いた。ソ連軍左翼は第25装甲擲弾兵師団の2個大隊を混乱させるという善戦をしながらもゴルカストから叩き出され、マンシュノフには1個歩兵連隊がかじり付いているだけという悲惨な状況で、かろうじて戦線が引かれているがマンシュノフ・ゴルカスト回廊にSS502重戦車大隊が前進してきており、もはや突破は時間の問題だと言えるだろう。
ZANDK1945_2

 時間が来たのでここでお開きとなった。このシナリオは包囲される部隊がどれだけ脱出できるかと言うところにあるが、残念ながらこのままでは全てが脱出に成功するだろう。砲兵の目標がミュンヘベルグ師団というのは拙かった。やはり進攻している擲弾兵師団に向けられるべきだった。
 それにしても戦車戦が惹起しないシナリオとはいえ戦車戦があればさらに盛り上がったに違いない。ミニゲームにはスパイスが必要だが、この作品の場合対戦車戦というスパイスがある。機会があれば戦車戦ができる「ゼーロフ高地への強襲」をプレイしたいものだ。

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