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2005/09/10

Battle of Ancient World(DG)マラソンの戦いプレイ

 S&T誌の付録にはシリーズもののゲームがあり、有望なものはボックスゲームとして発売されるが、その後も追加シナリオとして雑誌に付録となるゲームがある。このゲームもご多分に漏れずそんな作品の1つだ。
 さて、このゲームは古代の会戦を同一のルールでプレイするBattle ofAncient Worldシリーズの1作として発表された。
 さて今回は前日に映画「アレクサンダー」を見て古代戦の会戦模様に興奮した筆者が手頃な会戦級の古代戦を探したところ、ルール量、マップの大きさ、プレイ時間と共に214号のMARATHON&GRANICUSが適当に思われた。
 さて、今回選択したマラトン(マラソン)は有名な戦いで、かの陸上競技マラソンの語源になったとも言われている。もちろん筆者とて知っているのはそれぐらいで、細かい話は専門書に譲る。
 古代のギリシアの会戦でウォーゲーマー向きなのが新紀元社から出版されている「古代ギリシア人の戦争会戦辞典」が時系列的にまとめられているので前後関係など参考になり重宝する。

古代ギリシア人の戦争 古代ギリシア人の戦争

 さて、マラソンのプレイに話を移そう。プレイは筆者がペルシア側、K氏がギリシア側選択した。先日アレクサンダーを観てその内容を熱く語っている筆者がグラニコスの方を選択せずマラソンの方を選択したので拍子抜けしたK氏はペルシア軍の圧倒的な戦力に杞憂を訴えていた。
 もちろん盤上を見ると川(カラドラ河というらしい)を越え、両翼に弓兵、中央部は歩兵・重装歩兵が3列にもわたって配置されている。布陣の後方には騎兵が蜷局を巻いている。
 対するギリシア軍(アテナイ・プラタイア連合軍)は山に陣取って防備を固めているように見える。ペルシア側に比べると数も少ない。能力は重装歩兵の多いギリシア側が有利と行ったところだが、古代戦というか会戦級は数が多い方が割と勝ちやすい。
 何か罠がある。何か。
 K氏はペルシア軍に押し込められて、その攻撃にどう耐えて反撃するかを考えているようだったが、その答えはシナリオの特別ルールにあった。

  1. ターンはペルシア側から動くが、第1ターンは移動できない。
  2. 第1ターンはギリシア軍は9移動力持つ(普通の3倍)。
  3. 第1ターンのペルシア軍弓兵は後退できない。
  4. ペルシア軍騎兵は4ターンまで動けない。
  5. ペルシア軍騎兵は1から3ターンまで攻撃を受けると防御力半分で後退できない。
  6. 両軍再配置(連鎖後退のようなもの)できない。

 シナリオの解説では野営地からあわてて集結したと書かれている。ともかく兵力優位なペルシア軍が初動でギリシア軍にイニシアチブを奪われたと言うことだろう。この効果は大きい。まずギリシア側が優位に移動・戦闘をしてからペルシア軍が動く。しかも後退に足かせがあるので下がれずに壊滅する部隊が出てくると言うことだ。
 システム的には移動、射撃、戦闘、再編というシンプルな構成で、強ZOC、マストアタックというおなじみの構成になっている。
 K氏それを聞いて思わずにんまりとしている。
MARATHON1

  どどどどー!ギリシア軍重装歩兵が駆け抜ける。前掲の本によるとこの戦いは重装歩兵が初めて駆け足で突撃した戦いらしい。もちろんまさしく重装備な人々が走ると息切れしてしまって戦いにならないのでごく短距離ではないかとのことだが、このゲームでは赤い彗星のシ○ァの様に高速に連邦もといペルシア軍に襲いかかってくる。

 攻撃は弓兵・騎兵のいるペルシア軍左翼、重畳して後退できない中央部に指向された。CRTは5:1まであるが、マストアタックである故に中々大きな戦力比にはならない。もちろん後退させれば連鎖後退できないペルシア軍は蒸発していくが、3:1までは味方側が損害が出るので気が抜けない。
 予想されたとおり退却できない歩兵、弓兵に損害が集中する。このゲームでは戦力=勝利得点であり、かつシナリオ毎に設定された士気喪失と士気崩壊のラインがある。あまり気軽に飛ばせられない。
 
 さすがに左翼を抜かれて騎兵が倒されるわけにもいかないので、折り重なる軽歩兵を左翼に展開する。弱い弓兵がいる両翼を攻め、包囲に持って行こうという配分だったために右翼にも展開する。マストアタックで戦闘結果でなければ抜けられないので時として犠牲となるユニットも出てくる。

 左翼右翼の両翼の押し合いへし合いは消耗しながらも何とか持っている。とはいえギリシア軍に比べペルシア軍の方がユニット毎の戦力が小さいので消耗も速い。一応再編フェイズでユニットの復活もあるが、減る方が速い。拙いな。

 ギリシア軍も思い通りに攻撃が奏功しなかったり、しながらもなんとかカラドラ河沿いまでジリジリと進んでいる。初期の内目論んだ両翼への延翼と突破は失敗したが、イニシアチブは握ったままだ。
 ペルシア軍の移動制限が解除されたことを受けて騎兵も戦線の穴埋めに使われた。歩兵の消耗が激しい中央部や弓兵しかいない右翼などに投入された。しかし消耗が激しい。6ターンとはいえ密かに士気喪失まであとわずかだ。それでもペルシア軍は反撃に転じる。綻んできたギリシア軍右翼を攻撃し、ユニットを屠るのだ。
 ペルシア軍がヤバいとはいえ、ギリシア軍も苦しい。2個吹き飛べば一気に10点も加算される。味方が苦しい時は敵も苦しいのだ。とはいえペルシア軍は1ユニット飛べば喪失するか否かという瀬戸際だ。
MARATHON2 攻撃後のギリシア軍の攻撃でついに士気喪失状態!ああ万事休す!が、次の再編フェイズで重歩兵の回復に成功!まさしく瀬戸際!
 それでも遮二無二攻撃(強制されるから)と反撃の結果またしても士気喪失状態となる。ギリシア軍側ペルシア軍側共に指揮官を前面に押し出して講談の川中島合戦の様に隣接して戦火を交えている。ペルシア軍としてはリーダーごと屠れれば相手も士気喪失状態になる。
 攻撃はリーダーのいるヘックスに集中される。しかしペルシア軍のリーダーをも投入した攻撃は失敗。逆に反撃でリーダーが戦死するという士気喪失状態維持はおろか士気崩壊まで目前に迫ってしまった。

  「なんのなんのまだまだ。」あくまで士気旺盛な筆者は継戦を選択。いやもうこの時点でペルシア軍の勝ちはないのだが、一ランクでもいいから勝利条件を下げてやろうと企んでいた。

 ペルシア軍左翼から敵の右翼端を狙った騎兵を主体にした攻撃はそこそこ成功する。が、攻撃は1列左シフトのペナルティで全ては成功しない。もどかしいが仕方ない。
 「いや我が軍に秘策あり!」と高らかに宣言し再編チェックを成功させ重歩兵を配置しようとしたところ。
「これどこ置いたらええねん。」

「さあ」
「ルールではリーダーがいないまたはリーダーのZOCが敵ZOCやったら回復はせず」って書いてあるなぁ。」
「ちゅーことは!」
「回復せじ・・・」

 次のギリシア軍ターンにキッチリと士気崩壊ラインまでペルシア軍を壊滅させることに成功したギリシア軍は史実の展開とは大幅に異なるが勝利を手にすることになる。

 シンプルなゲームで古代戦のダイナミズムをクワドリサイズで味わえるエイシェントバトルズシリーズは、さすがにボックスで3作も発売されているので、それなりに楽しめる。特に巨大になりがちな会戦級としては入門編として、あるいは息抜きとして充分楽しめる。個人的にはもう少し兵種の違いなどが際だっていればいいかもしれないが、まあこの1作だけのプレイで決めつけるのは酷だろう。
 ちょっと気になったのは和訳の方で、言い回しで今一判らないところがあったりするので原文にあたるという事がままあったので気になった。まあ、シンプルなそして、ルール量の少ないゲームのためその場でも何とかなるのでプレイが止まることはなかった。

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