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2005/09/30

カディシュ(XTR)プレイ

 日本版でない本家コマンドマガジンの初期作品は出版当初人気が高かった。コマンドマガジンが発刊された時、ちょうど日本ではタクティクスが季刊化され低迷の時期に入っていた。当時今の様にインターネットが普及していなかったため、1シーズンに1回発行されるタクティクスの新刊レビューで知るしかなかった。その時筆者の目を引いたのが、ゲーマーズ社のタクティカルコンバットシリーズとコマンドマガジンの存在で、姿の見えぬ新作に心躍らせたものだ。何でも人気があるのであっという間に売れ切れたのとか、プレミアがついているとかすごいことになっていた。
 時を経て日本でもコマンドマガジンを発売することになり、時を過ぎるごとに過去の作品が次々と再版されていく中、初期10作品の内発売されていないのはクリム、ジュットランド、そしてカディシュだ。

 カディシュはコマンドマガジン7号の付録として発売された。エジプトとヒッタイトの戦いで、戦車(今日の戦車とは違う)と戦車の戦いだ。
 なお、この戦いは以前学研の歴史群像で紹介されたが、新紀元社から出版されている「古代ギリシア人の戦争会戦辞典」でもアウトラインを十分に知ることができる。

 マラソンの次がカディシュとは今までの対戦履歴にはない古代戦の連続だが、これも過去であれば考えられないことで、今更ながらプレイの幅が広がったなあと実感する。
 今回のカディシュにしても入手からプレイまで数年の歳月を必要としており、今回の対戦は一応会戦級と言うことで最近会戦や、戦術級を待望していた筆者にはたまらないことだ。
 さて筆者はヒッタイト側を選択しK氏はエジプト側を受け持つことになった。
 エジプト軍、ヒッタイト軍共に師団や守備隊などの大まかな部隊ごとに色分けされているので配置等でまごつくことはあまりない。
 配置と言えば一般的に、色分けでルール中に色指定がしてあるゲームで、指定している色と実際の色が噛み合わないことが往々にしてあるので、色分けプラスIDがベストなのかなあと思う。このゲームの場合、指定では敵味方似たような色を使っているが、よくよく分類するとエジプト軍が青系統、ヒッタイト軍が赤系統となっている。師団の違いはアイコンの兵士の武装などで色分けされている。ユニットは白兵戦力、射撃力、モラル、移動力と書かれている。
 概ねターンの進行は指揮官のモードを変えるリーダーシップフェイズ、移動、突撃、蹂躙攻撃ができる移動フェイズ、射程戦闘、白兵戦戦闘ができる戦闘フェイズ、回復フェイズに分かれ、これらのフェイズをヒッタイト軍ターン、エジプト軍ターンと繰り返す。

 指揮官は部隊のモードを変更するとき必要であるだけでなく、移動および戦闘に不可欠なものになっている。部隊を指揮下に置くことで通常のパフォーマンスを発揮できるが、非指揮下の場合移動力が減少し、突撃・蹂躙攻撃が不可能となり、その他戦闘に不利になるだけでなく回復において不利になる。
 モードは戦闘モード、行軍モード、非機動モード、混乱モードとあり、戦闘モードはユニット記載通りの能力を発揮して移動戦闘が実施できるが、指揮下を離れるような行動はできない。
 行軍モードはユニット記載の移動力の倍移動できるようになるが、敵に隣接や戦闘ができなく、敵からの攻撃に対しては不利となる。 
 非機動モードはモード変更チェックに失敗したとき、あるいはモード変更チェックでモード変更を選択しない場合にあるモードで、指揮官が非機動面であらわす。移動は指揮官の指揮範囲以内であればできるが、敵に隣接できない。敵に最初から隣接しているユニットのみ攻撃ができる。
 混乱モードは戦闘の結果、指揮官が混乱しているときに混乱マーカーを載せてあらわされる。部隊を指揮下に収めることができなくなるので非指揮下となる。
 戦闘は簡単に説明すると移動時に戦闘できる突撃・蹂躙攻撃があり、一般的なオーバーランのようなもので実行できる兵種が限定される。戦闘フェイズの戦闘はマストアタックで、射撃戦と白兵戦がありどちらでも選択できるようになっている。
 と、こういう感じでざっくり説明したが、まあプレイしてみればそんなに難しいルールではない。
 序盤のシチュエーションはカディシュの戦いを再現するために特別な設定となっている。まずエジプト軍は野営地に駐屯する軍があり、これは野営地ボックスなるものに配置され、警報ルールに従って順次盤上に配置されるようになっている。野営地は南端に近い野営地と北端に近い野営地の2つがあり、ランダムにどっちを使用するか選択する。
 盤上には南端から行軍モードで進入するP'RE師団のみであり、ヒッタイト軍の奇襲を演出している。
 ヒッタイト軍はカディシュ要塞を中心に戦車師団、近衛師団、エリート重歩兵師団、連合軍師団が配置し、ほぼ全軍が展開しているが、ヒッタイト王のみが到着しておらず第2ターンよりランダムに登場する。

 史実では行軍隊形のP'RE師団にヒッタイト戦車師団が突っ込み蹴散らし、その余勢をかってエジプト軍野営地に攻撃をかけるというのが筋で、そのようにしなければならない。
 幸いヒッタイト戦車師団は行軍隊形で通過するであろう道路に近く布陣し、さらにレーティングは高くかなりの確率で蹴散らせるであろう。

 「ところでぐちーず。どうゆう展開になったのかな。」
「いやよう知らんからコマンド誌の戦況図を見ているんや。」
「ふむふむ戦車師団はレイティングが高いなあ。他の部隊は今一やなあ。」
「エジプト軍野営地のルールどうするよ?」
野営地のルールは2つあって初心者向けのビギナーズルールと普通のルールがあるがビギナーズルールは攻撃されるか3ターンまで動けないが、普通のルールでは警報ルールが適用され1ターンからダイス判定し順次動員されるようになっている。
「警報ルール使う。」
 珍しいことである。おおよそ初めての時には選択ルールの類は極力易しい方に選択する方が多いが、この日ばかりは何故か初心者向けのこのルールは適用されなかった。
 「よっしゃ!ヒッタイト軍モード選択行くでー!」
 戦車師団を使用して敵エジプト軍のP'RE師団を蹴散らす。目の前に転がる好機を活かさないで野戦指揮官と言えようか。

KADESH1
 戦車師団のレイティングは5。ぐちーず的レイティングから言うと5/6の確率は100%に限りなく近い。失敗のことは寝てから言えの世界だ。敵のエジプト軍プレーヤーK氏も観念したようで野営地の部隊をどのようにやりくりしてとか事後のことを考えているようだ。
 「まずは戦車師団。次にヒッタイト守備隊、次に連合軍師団、次に重歩兵師団のチェックだ。」
 高らかに宣言し振られた戦車師団のダイスは6!!いきなり非機動モード。どうでもいいヒッタイト守備隊と配置ミスで前面にのさばらしてしまった連合軍師団が活性化となった。
 行軍隊形のP'RE師団が攻撃されないとわかり乱舞するK氏。
 動かせる連合軍師団を行軍モードに変更し、前進させる。目的は野営地の付近にできるだけ近づき布陣を完成させ、順次動員されるエジプト軍を有利な体勢で待ち受けるのだ。
 しかも不運は続き、エジプト軍ターンで警報ルールのチェックでチェックに成功し、野営地のボックスにいる部隊の大部が次ターンには野営地に配置されるという驚愕の事実が発覚した。
 「なんやねんそれ!初心者ルールよりお得じゃねえか。」大挙して動員するエジプト軍に文句をたれる筆者。

 第2ターンからヒッタイト王が登場するかもしれないのでチェックをする。予想通りこれに失敗し。続くモード変更については戦車師団は成功、その他の師団は失敗。とてもヒッタイト軍の攻勢とは思えないスローモーな展開。
 戦車師団は前面を行軍するといっても行軍隊形で不用意に近づいて裏のターンでボコられるのも悔しいので戦闘モードで前進。P'RE師団との間合いを詰める。当然エジプトターンではモード変更に成功し、戦闘モードに切り替え戦車師団との戦闘に備え陣をはる。奇襲するはずが待ち受けられるってあまり気分のいいもんじゃない。それよりも戦車師団以外動けないという体たらくは何だろう。誰のせいだ。
 第3ターンのチェックは国王の登場は失敗、戦車師団、連合軍師団のチェックは成功。肝心の重歩兵師団が静観モードに入っている(そんなモードはありません)。戦車師団はエジプト軍P'RE師団を蹴散らす為にも南翼から旋回しつつ攻撃し、車掛かりの陣じゃーとか喚きながら攻撃するもプレーヤーの勢いに反して控えめな戦果に終わる。連合軍師団は本当は重歩兵師団と並列で野営地に強襲するつもりが配置で精一杯になりそうな予感。
 第4ターン。相変わらず引き籠もりな国王は現れない。戦車師団はチェックに成功したが、連合軍師団、重歩兵師団は失敗しなんだか怪しい展開になりつつある。幸い行軍モードでなく非機動モードで陣形を整えることぐらいしかできない。
 戦車師団は車掛かりの陣第2弾で攻撃をかけるがこれも控えめな戦果。むしろ後退でエジプト軍有利な情勢。

KADESH2
 エジプト軍ターンには体制を整えたエジプト軍が野営地から続々と出現してきている。P'RE師団はヒッタイト戦車師団の攻撃をかいくぐり北上し野営地の本軍と合流するようだ。何か想像されたとはいえヤバい状況だ。野営地の前面に流れる河にエジプト軍が布陣し始め、まだ続々と野営地からは湧き出てきている。敵前で孤立し始める連合軍師団。
 5ターン目。さらにチェックが狂ったように失敗するヒッタイト軍。非機動モードなんて陣形を整えるぐらいしかできない。その時を待ってましたと言わんばかりに突撃・蹂躙攻撃に転じるエジプト軍。ラムセス王をはじめ師団長を投入し戦車部隊の攻撃はジリジリと連合軍師団の各部隊を後退させる。白兵戦でも一進一退の攻防が繰り広げられるが戦力、部隊数共にエジプト軍の方がヒッタイト軍を上回っている。
 時間が来たのでお開きとなったが、このまま行くと何ターン後にかは連合軍師団は壊滅の危機に瀕しただろう。その間に戦車師団、重歩兵師団が戦場に到達した頃には各個撃破あるいはその他の増援エジプト軍に足止めを食らわせられ、エジプト軍のいいように戦いは推移するだろう。今回はちょっとあり得ないほどヒッタイト軍のモード変換チェックの出目が悪かったので、エジプト軍の目の前に餌をばらまいてしまった感はあるが、もう少し出目が良ければどうなったか判らない。史実のように野営地を遅うヒッタイト軍が再現され野営地での略奪から増援エジプト軍の反撃などが再現されたかもしれない。まあ古代戦の会戦と言うことで手堅いサイズでプレイできるのでずいぶん楽しめた。 
 

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コメント

M永さん
どうもです。ちょっと古代戦が続いています。ブログにアップしていないだけで大戦略白村江の戦いや壬申の乱もプレイしています。ちょっと異常状態です(笑)。古代戦はちょっと一段落ですがM永さんの推すS&T218号のチャンセラーズヴィルもプレイする候補に挙がっています!次回はぜひお越しください。

楽しそう!
忙しさにかまけて不義理している間に、『マラトン』と『カデシュ』とは!
マラトンとか、どう処理されるのかな? と思って眺めてはいましたが、非常に興味深く読めました。ぐちーずさんの集まりは会戦級率が高いのが特徴的ですが、最近のゲームで遊びやすさならGMTの『Men of Iron』が出色ではと考えています(問題は、どの会戦もバランスに難ありな予感がすることですが)。また、プレイアビリティでは、Empire at Warシリーズで、S&T218号のチャンセラーズヴィルとかもプレイしたいところですね。今度お伺いする時には、そんなのがプレイできれば嬉しいですね。

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