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2006/01/08

幸村外伝(TU)プレイ

 新年最初の更新です。休み期間中はもっと更新できるかと思ったけど、せいぜい今回の記事を書けたぐらいでした。年始の恒例マルチもやっていないし新年早々低調モードで開始です。

 幸村外伝はツクダホビーがウォーシミュレーションゲーム業界に活発に参入している時代に発売されたゲームで、そのツクダホビーこそが当時数少ない日本史ゲームジャンルを拡充してくれた数少ないメーカーだった。
 戦国合戦シリーズの1作として発売された。続編として武田盛衰記、激闘関ヶ原など数作がリリースされた。このシステムは現在は同人出版のEEGで大坂戦役のシリーズものとして命脈を保っている。
 月日が流れた現在においても個人的には日本史ゲームでは1,2を争う好みのゲームで、合戦級といえばこのゲームを思い出すぐらいだ。

 戦国合戦シリーズと言うだけあって作戦級の群雄伝シリーズとは違い、武将の率いる部隊の機動などの作戦的余地はあまり無い、ガチンコ勝負の部隊のドツキ合いとなる。ユニットはそれを反映して武将・槍・鉄砲などと大まかな兵種に分かれている。シークエンスは動いて撃たれて撃って戦うというどこかで聞いたことのあるシークエンスだ。

IMGP2166  大まかな目標は大坂方は徳川家康の首を狙い、関東方は大阪方の殲滅を狙う。戦いの勝敗はポイントであり部隊の壊滅、武将の討ち取り、地域の占領、行動の違反、突破などがあり、両軍の得点を比べて勝敗を決する。もちろん家康が討ち取られればサドンデスだが、大坂方は幸村を失ってもゲームは終了しない。
 というわけでK氏が関東方、筆者がたっての願いで大坂方を担当した。ゲームのCRTは射撃・白兵戦共に士気チェックないしは壊滅を要求され、失敗すると後退・壊滅となる。もちろん会戦級のゲームにありがちな連鎖後退のルールもあり、前線が後退するのにつられて後段の部隊も下がってしまい、美しい隊形が台無しという悩ましい事態も起こりえる。
 配置は右翼から茶臼山に最強最精鋭の真田隊、大谷隊、中央四天王寺に毛利隊、その他諸隊が陣している。前線の後方には江原隊やその他諸々の部隊が配置している。精鋭の真田隊は士気7以上を持ち、他の部隊は武将は6、部隊は5と6となっていて、関東方の部隊の士気3に比べると遥かに高い。
 対する関東方は第1線に秋田、浅野、本多隊、少し離れて真田信吉隊が並び、第2線には松平越前(忠直)隊、諏訪、榊原、保科、小笠原隊が並んでいる。松平越前隊は家康本隊より多い最大戦力を有し、T字に陣をはっている。第3線にはT字陣の忠直隊の最後尾を避けるように内藤、松平康長隊、酒井隊、松平忠良隊、仙石隊と並んでいる。その後方に家康本隊が陣しているというイメージだ。

第1ターン
IMGP2167    関東方は5ターンまで移動制限があり徳川隊の全ユニットは毎ターン2ヘックス北側へ移動(大坂方に近づく)させなければならない。さらに家康は1ターン最低1ヘックス移動しなければならないというルールがあり、大坂方の突破と関東方の強制前進によって否応なしに距離は縮まる。第1ターンからの接敵はないが、もう目前にお互いの軍勢が迫っているという緊迫した状況だ。
 大坂方は関東方に比べて移動力でも凌駕しており、馬→槍→鉄砲と言う具合に足が遅くなる。従って関東方の武将によっては馬に乗っているのにかかわらず大坂方の真田隊の鉄砲隊の兵よりも足が遅いなんてトンマな状況があったりする。ともかく大坂方は重畳たる関東方の陣を突破し徳川家康を目指す。史実では真田隊の奮戦と毛利隊の奮戦が名高いが、盤上ではどのように展開されるのだろうか。もちろん筆者としても真田隊と毛利隊を軸に史実のような突撃を敢行する予定だ。

第2ターン

IMGP2168  大坂方の前進は重畳している初期配置からここのユニットの能力を発揮するために広く展開し、各隊まんべんなく攻撃し、寡兵ながら側面に回り込み効率的に関東兵を倒してゆく。そのような思想の元に行動しているのだがさて。
 第1戦は中央の吉田隊・大谷隊・毛利隊が中心になって関東方第1線と衝突する。真田隊は一部のみ接敵したが松平越前隊との戦いに向けて迂回行動に廻る。後方の江原隊は真田隊の側面援護だ。左翼は延翼運動を開始し、関東方真田隊と火花を散らせている。延翼運動が成功すれば関東方は下がることが出来なくなってかなりの確立で部隊が崩壊する。関東方の増援はランダムにやってくるので大方ゲーム中盤に出てくるであろうからそれまでが勝負の時間と言えるだろう。

 関東方の増援で怖いのは前進しきったところで、後方に湧き出てくる強力な部隊によって裏を取られることで、右翼は江原隊が後詰めとして使えるが、左翼では有効な部隊が存在しない。しかも左翼側には増援部隊が山のように出てくる。

第3ターン
IMGP2170  関東方の増援は増援表による到着チェックで各隊の到着を判定する。判定に成功するとどこに出現するか再チェックし、マップに記された箇所にランダムに出現する。1から2はは関東方後方になり、3~5は自軍初期配置第1線近く、6は大坂方初期配置の第一線近くに出現する。出てくる時間的なタイミングはもちろん大事だが、出てくる場所もランダム性があるので、一喜一憂できる。
 なお、今回は第2ターンの時点で本多忠政隊がチェックに成功し、しかもジャスト・イン・タイムな事に真田信吉隊の側面に回り込まれる寸前に、到着できる箇所に出現し、さらに第3ターンには続々と増援が同じようなところからやってきたので大坂方としてはやるせないものがあった。
 第3ターンの攻撃で関東方第一線は吹き飛び、第2線の関東方もかなり押し込まれている。さすがに松平越前の隊のみは数に任せて大坂方の精鋭に圧力をかけ、戦闘後前進で吸引される大坂方をコツコツ倒している。
 真田隊は松平越前の防御に半ば鬱陶しさを感じながら、江原隊の追従をまだかまだかと待ちわびる。江原隊は側面の防御を考えながら機動させているので思うように前線に持って行けない。

第4ターン
IMGP2171  関東方に幸いだったのは弱点である両翼にタイムリーに増援がやってきたことで、大坂方の両翼包囲(奉天会戦みたいな)を阻止できたことだろう。左翼の豊臣諸隊の攻撃が頓挫することは想定の範囲内だが、まさか有力な右翼の真田隊の前面にもタイムリーに藤堂隊が出現し、当初目論んだ松平越前隊を包囲するという策は頓挫した。鉄砲と吸引されて撃破された真田隊の損害もまた大きい。

 大坂方は真田隊と並び賞される毛利隊が鬼神の如くの活躍をし、十重二十重となった関東方の第1線、第2線共に撃破し、第3線の部隊ももう少しで接触できそうだ。毛利隊の損耗は思ったより低い。さらにやって来る増援のことを考えると両翼からの攻勢は諦め、突破の醍醐味ともいえる中央突破を目指す事を考えた。今の勢いなら第3線も突破できることだろう。

第5ターン
IMGP2172       大阪方は最後の中央突破を計るべく各隊は目前の敵を拘束し、毛利隊などの中央隊は第3線の関東方諸隊を攻撃するが、K氏はここが凌ぎどころと見極めたか抽出した兵力を中央に集めてくる。

 そのせいもあって自ターンの敵鉄砲による損害、敵ターンの時の攻撃による損耗にかなり消耗しながらの攻勢となる。というかもはや止まることは許されず、ただひたすら敵ユニットを撃滅しなければならない。真田隊はかなり敵を道連れにしながらもなんだかんだ言って1/3の兵力となっているし、他の隊も残っていても半分の兵力だ。

 もはや大坂方の隊列は薄い隙間のある線となってしまっているが、ここで攻勢を諦めるわけにはならない。ともかく遮二無二攻撃をかけ、最大兵力を誇った関東方松平越前隊までもを半減以下という状態に追い込んでいる。

 しかし、撃破するユニット数以上に関東方の増援は山のようにやってくる。盤上は大坂方の部隊数より多いのは言うまでもなく、増援の部隊が初期配置の部隊より多くなっている。このゲームは色で大体のグループがわかるので特定の色が増減することで消耗度合い・部隊の比率なども何となくわかる。

 関東方は犠牲にかまわず適時包囲・適時反撃という積極的な行動でこの難局を乗り切ろうとしている。実際大坂方の損害はその積極的な反撃が奏功したもので、侮りがたいものがある。ただ、K氏は自分の率いる戦力が大坂方に対して大きな能力差があるのを忘れて、同じような成果を求めるため自分で自分の心理状態を閉塞してしまうという悪循環に陥りがちである。

 今思い起こせばこの瞬間が最も徳川隊に近づいた瞬間だが、家康は牛歩戦術ならぬ牛歩機動で遙か彼方に位置している。

 写真は薄い戦列となりながらも激闘を続ける大坂方。

第6ターン
IMGP2173  弦から離れた矢は元に戻ることはならない。同じように攻撃に出でた部隊は下がることは出来ない。このゲームは敵ZOCに入ってしまったら戦闘結果以外では移動することは出来ない。消耗の曲線は加速度的に増加してゆき、隊という隊はほとんどが実態が無くなった。この狂乱の混乱状態の中で精鋭真田隊は幾度にわたる包囲攻撃を跳ね返し続けていたが、雲霞の如くの敵陣の前にさすがに姿を消し、右翼は江原隊の残余がかろうじて井伊・細川・藤堂各隊の攻撃を防いでいる。左翼に至っては関東方最強の伊達隊がこの期に及んで出現し、断末魔の叫び声が左翼を支配した。もちろん関東方のK氏は満面喜色である。遅く登場した英雄に活躍の場は残されているのか?

 写真は壊滅に瀕する真田隊とついに来た伊達隊。

第7ターン
IMGP2174  必至の抵抗もむなしく左翼は壊滅した。伊達隊などの関東軍右翼隊がが残党狩りのように無人の荒野を前進する。関東方右翼ではまとまって、かつ同じようなところに出現しているので交通渋滞が発生している。

 大坂方は捕捉を逃れた部隊を中心に初めて防衛のためにユニットを後退させ、遅滞戦闘という無駄な努力をしなければならない。右翼では江原隊と毛利隊の残余が機動防御よろしく津波のような攻撃を何とか凌いでいる。この努力も数を頼りにした関東方の攻勢の前には消滅も時間の問題だろう。数少なくなった大坂方ユニットに対し、もはや残敵掃討状態となっているにもかかわらずダイスが冴えない(と思いこんでいる)K氏は進捗しない状況にイライラしている。

 写真は崩壊への道をひた走る大坂方戦列。

第8ターン
IMGP2175  関東方は消滅していく大坂方の惨状を見て満足そうだった。こういうのを溜飲を下げるというのだろうが、点数計算をしてみるとまったくもって関東方が負けていることが判明した。関東方の得点源は茶臼山占領だが、最も近い左翼隊は大坂方残余に阻まれ、ゲーム終了時までに間に合うかも不明だ。中央も消耗してしまって部隊はない。というわけで遠いところに位置しているが、最もフリーハンドで騎馬隊の多い伊達隊がこれらの地点の攻略に向かった。

 大坂方は最後の最後の予備である。残余部隊を茶臼山に配置し最後の抵抗を試みる。他の部隊も茶臼山周辺に終結しつつあった。合い言葉は一人十殺。

 盤上の状況は大坂方殲滅に間違いないが、最後の最後まで大坂方の意地を見せなければならない。しかし数ユニットで何が出来ようというのだろうか?1つでも多くの関東方の部隊を道連れにしたいが、残っているのは序盤と比べ質的には劣る武将と部隊のみだ。最後まで冷静さと情熱は忘れたくないものだ。

 写真は点で守るというか点で存在する大坂方。もはやすべ無し。

 

第9ターン
IMGP2176  ところが関東方を翻弄し奮戦していた大坂方右翼隊が奮戦の末壊滅し、やっぱり一番近い関東方左翼隊が茶臼山攻略に向かうことになった。茶臼山の攻略は得点源だけでなく大坂方の士気を低下させるので、早期に狙うのは一つの手だが、今となっては得点だけが問題である。

 しかもよくよく計算すると茶臼山を攻略して、盤上の大坂方全てを撃破しても点数差はまだ関東方勝利にならないことが発覚。あまりのあまりな結末に悩む関東方だが、突破得点というものががあることを忘れていてすんでの所で間に合わないところだったが、茶臼山攻略に向かっていた伊達隊を分離し踵を変えて突破に向かわせることになった。一応これで茶臼山攻略を完遂すれば関東方の勝ちが決まったと言える。

写真は嗚呼茶臼山

第10ターン
IMGP2177  関東方の攻撃により茶臼山の大坂方は盤上から消え去った。しかし敵に与えた打撃は深刻で、初期配置の徳川隊以外の戦力は第1線は全滅、第2線は9ユニット、第3線は8ユニットという惨状で、増援の部隊も藤堂隊を中心にかなりの打撃を与えていた。茶臼山占領の得点だけでは足りず、突破による得点が必要だった。たまたま近くにいた伊達騎馬隊が突破を果たしたが、それによる得点を加えて関東方の勝利が確定した。
 しかし点差は微妙で、わずがの点差で関東方の勝利となったが、対戦相手のK氏の表情は序盤にダイス運に祟られたせいもあって苦虫を噛み潰したような冴えない顔をしていた。筆者は目標の徳川家康に近接させることは出来ず、点差で負けたけど爽快感溢れるこのゲームはやっぱり好きだ。

 このゲームは単純に合戦ゲームとしては関東方増援がランダム性があり、かつ大坂方有利となるような選択ルールも用意されているので大坂方ファンは是非試して欲しい。

 なお、選択ルールには戦死した武将が生きていてこの合戦に参戦するものと、合戦に参加しなかった武将が参戦するもの、天王寺で決戦を企図した場合のシナリオと真田十勇士と忍者の暗闘を再現するものなどがあるが、最後の講談の世界は別にして機会があれば試してみたいものだ。

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コメント

ツクダのゲームは、バランスはともかく、なかなか味のあるアイテムが多く、よくソロをしています。・・・そう、バランスがよくないとか、テーマが玄人狙いすぎるとか、全てがひっくり返るエラッタがあるとかで、あんまり、対戦をお願いできないんです(笑い)。が、もし、対戦の機会に恵まれたなら、あやしいルール(と理不尽なルール)は、事前に紳士協定で確認しておくと、楽しめます。

ちはら会でも、盟友がやはり日本史好きなので、今後、合戦シリーズや群雄伝シリーズなどを、多くプレイしようと思っています。対戦できたら、ブログにも載せますので、よろしければ、また、お立ち寄りください。こちらからも、リンクをお願いします。

mitsuさま。
コメントありがとうございます。
あーやっぱりそうですか!そういうエラッタがあったのですか。
 実は購入当初から史実と違う増援に不思議だったのですが、少なくとも右翼左翼が反対って事はないだろうと思っていました。ゲームバランス上あるいはそういう軍記物や講談でもあるのかなと特に邪推せずそのままでプレイしていました。
 オペレーション誌ですか。これは盲点ですね。残念ながら所持していませんので、他のルールやゲームまで気になってしまいますが、目の覚めるようなビッグなエラッタですね。ありがとうございます。
 次回(っていつか)そのエラッタを適用して「大坂方の夢」を実現したいものです。
 「ちはら会」のブログもよく拝見しています!これをご縁にリンクを張らせていただきたいと思います。重ねてありがとうございました。

はじめして、千葉で「ちはら会」の幹事をしている、mitsuと申します。いつも、楽しく拝見してます。

今回のAARも、ターンごとの細やかな展開がわかり、参考になります。精強を誇る大坂方が、攻勢限界点を越えた途端に、一気に崩壊する様子が、史実にもマッチしていてよかったです。「秀頼公の出馬さえあれば!」とほぞをかむ幸村の姿が、浮かぶよう・・・。

で、1点だけ、気になる点を。
AARを見ると、関東方は右翼から伊達隊・忠輝隊が、左翼から藤堂隊・井伊隊が登場しているようです。が、これは、史実とは逆です。以前、オペレーション誌に載っていたエラッタ(右翼と左翼の増援兵力を逆にする)を適用すると、よいかと思われます。いかがでしょうか。

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