アクロス5エイプリルズ(VG)プレイ
チャンセラーズヴィルで奇跡の逆転劇を演じた我々は、フルゲームにしては少ない残り時間で次にするゲームを考えあぐねていた。
筆者が持ってきているゲーム群は概ねS&T誌とコマンド誌の2つに分かれ、スパッとできるほど簡単なゲームや、要点だけ教わればプレイできるようなクイックラーン・クイックプレイなゲーム略してQLQPなゲームは持ち合わせていなかった。
もちろん、K氏(おおよそゲーム会合はK氏宅で行われる)も似たような状況で、QLQP的なゲームがあったとしても、ヤリ飽きたというか、このシチュエーション的には無いやろうというものばかりだ。
文句ばかり言っても仕方がない、少ない手駒で選ばねばならないと思い始めた時、M氏が口を開いた。
「これなんかどうですか。」
持参のリュックサックからスラリと一箱のゲームを差し出した。
アクロス5エイプリルズだ。
アクロス5エイプリルズは今は無きビクトリーゲームズから発売された南北戦争QLQPゲームの一つだ。ブルラン、シャイロー、ゲティスバーグなどの複数の会戦が同梱され、チットを引いて部隊を活性化し、チットを引いて戦闘が開始時期が決まるというもので、必ずしも同じような展開にならない。移動の順番・戦闘の順番が常に可変であることは流動的な状況変化が生まれ、その状況変化を楽しむのがチット引きゲームの醍醐味だろう。
今回はM氏の薦めもあってシャイローシナリオをプレイすることにした。陣営分けは筆者とK氏が南軍を、M氏が北軍をプレイすることにした。チャンセラーズヴィルに引き続き展開に不明点があるので、ルール説明と共にM氏のインストが始まる。
攻める南軍、その攻撃位置は南軍が機動により決定でき、特定のターンまでに勝利条件となっているポイント数カ所を攻め取らねばならない。対する北軍は南軍の奇襲を受け、体勢を立て直し、大挙としてやって来る増援と共に反攻をかける。この方面の行く末を決めた重要な戦いだ。
余談ながら近年になってようやく南北戦争の諸会戦について見聞きすることが多くなったが、シャイローはゲームタイトルの1つとしてしか認識していなく深く追求したこともないので、それまでは恥ずかしながらシローと読んで勘違いしていた!だってそのまま読んだら四郎だもん。四郎といえば筆者にとってのベストシローは伊東四朗。インパクト強すぎ。一度そう考えると頭から離れない。筆者の脳内ではSHILOH=伊東四朗のイメージが勝手に結びついている。固有名詞は難しい。
さてそんなどうでもいい話は横に置いておいて、筆者は南軍の2部隊を預かった。ポークの第1軍団とブレッキンリッジの予備軍団だ。友軍となったK氏はブラッグとハーディの軍団を指揮している。
我らミシシッピ流域軍は規定のターンまでに規定数の勝利ポイントを奪い、勝利を目指さなければならない。序盤には北軍は動けず南軍の奇襲を待って移動が開始される。したがって南軍は有利な地点まで部隊を進め、有利な地点と体勢を持って北軍に攻撃をかける。その攻撃は奇襲となり有利な判定が付くが、時限的なものであり位置を取るか戦闘修正の有利さの期間を取るかとの選択に頭を悩ませる。
南軍はK氏の部隊が先攻して移動し、増援として我ら2軍団が進入する。協議の結果K氏の軍団はテネシー河まで進軍し、河に沿うような形で進軍し勝利地点を奪って行き、筆者は北軍シャーマンの司令部付近を襲うため、囲い込むように進軍し事後は西側をトレースするというもので、戦闘修正の有利さより戦闘開始地点の位置的有利を取ることにした。
序盤の数ターンは南軍の移動のみが続く。マストアタック故に位置取りは重要だ。その間にもK氏からM氏に対し南北戦争のミニ質問が繰り返され、それに答えるM氏という光景が繰り返された。西側を進軍する筆者の部隊は地形修正に悩みながらも進軍する。接敵していないので敵スタックの中は見ることができないが、必ずしも攻勢にさらされるおあつらえ向けの部隊ではない。
南軍指揮官同士の協議で体勢が整いつつあったので、かなり遅くなったが戦端が開かれた。と、言ってもこちら側ないしは北軍側の戦闘チットが出なければ戦闘は始まらない。
接敵する南軍諸部隊。本来なら包囲をしたいところだが移動力が大きくない上に移動修正が大きいので回り込む術はほとんど無い。しかし騎兵部隊だけは別物で移動力が大きい。かといって戦車部隊のように攻撃力があるかといえば無いに等しく、その存在意義を問いただしたK氏にM氏は当時の騎兵の用法が確立していなく云々と説明をし、例外が本会戦で活躍したネイサン・ベドフォード・フォレストの騎兵部隊だと説明していた。
強い部隊・活躍した部隊に異様に注目するK氏はその部隊を探し始める。しかし彼の部隊には存在しない。
「フォレストの騎兵隊はぐちーずさんの所にいます。」
といって指さしてくれた。
そこには微弱戦力ながら+2の修正が付いたギャロップしている騎馬の絵が描かれたユニットがいた。思ったより大したことがないので「なんや」という声が聞こえた。
M氏の説明は続く「彼はですね後にKKKの創始者となって...」と「フォレストガンプはご存じですか?」と映画の話まで広がった。M氏の南北戦争への想いは深い。
さて、そんな歴史の一コマを熱く語ってくれたのにも関わらず。筆者の扱いは醜かった。背後を閉じるための迂回部隊として気楽に使っている。ポークの軍団が直接シャーマンの部隊に襲いかかり、ブレッキンリッジはポークの背後をすり抜け、背後に回ろうと超越前進を企図する。ブレッキンリッジの行く手を阻む北軍部隊の討滅に駆り出されたのだ。
このゲームではどんなに上手く機動してもチットの順番によっては相手に逃げられることが発生する。もちろん体勢が整わないうちに敵に攻撃させ、仕上げに自軍の攻撃でヌッ殺すことも可能だ。戦闘は攻撃側CRTと防御側CRTとでも言うべきか両者にCRTがあり、両者ダイスロールする。攻防の打撃はお互い決めることができるので白熱する。
初回の戦闘ではK氏の方面では首尾良く成功し、抵抗を粉砕している。それに反して筆者の方面はオーククリーク沿いの攻撃と言うこともあって攻撃は甚大な損害を受けている。ブレッキンリッジの前面に立ちふさがった北軍部隊を殲滅したのと引き替えにフォレストを早くも失っている。
「あれフォレストは?」
「死にました。」
あんなに盛り上がったヒーローをあっけなく死地に追いやり冷酷無情に返答する。表面上涼しい顔をしているが、それも含めた損害に「これは戦争でない。殺人だ。」という名文句が頭をよぎる。
ポーク軍団の損害を顧みない攻撃とブレッキンリッジの超越前進に恐れをなしたかシャーマンは後退を始める。1つの勝利地点を奪えたが何だか釈然としない。
K氏の部隊は1つの勝利地点を奪えたが、2つ目は北軍の移動チットがタッチの差で出たため間に合わなかった。しかも捕捉しきれなかった北軍部隊を残して前進しているので奪った地点を再奪取される恐れもある。取りこぼした部隊が結構強力なため1個軍団のほとんどが今来た道を引き返している。嗚呼何と言うことだろう。
筆者の部隊はシャーマンの部隊を追いかけてポークの軍団が移動する。ブレッキンリッジはポークの左翼に展開しようと懸命に動いて、先頭はジョーンズさんちの農園までたどり着いた。華々しい戦果ではないが着実に前進していることに満足を覚えたが、テネシー河沿いではどえらいことになっていた。どうやら北軍チットが戦慄を覚えるほど絶妙で、目標としていた勝利地点はこれでもかと言うほどに固められ、テネシー河から順番にと言っても過言でないほど反撃を喰らっている。どうやら東で崩れてしまったようだ。
このゲーム規定のターンまでに勝利を達成できなければ敗北をする。残念ながら敗北となったのでゲームは終了となった。
我がミシシッピ流域軍は西部ではそこそこ前進したが東部テネシー河沿いでは逆撃にあった。チットの悪戯といえばそうかもしれないが、もう少し効率の良い方法があったのではと悔やまれる。
もう一度プレイしたくなる本作は高難度を誇るビクトリーゲームズの中では異色の簡単なゲームで、南北戦争のゲームでも必ず名前の出てくる作品と言っても過言ではないと思う。かくいう筆者も過去に何度か購入を試みたが、人気の作品であるためか入手ができずプレイできなかった。今回プレイできたことは望外の喜びであり、今度は大きめのゲティスバーグでもプレイしたいものだ。
« チャンセラーズヴィル(DG)プレイ | トップページ | 3月の会合 »
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
OVERRUN様
コメントありがとうございます。少し古い記事でも読んでコメント付けてくださるとありがたく思います。
シャイローは持ちゲームでないので何とも言えませんが、チットのおかげでドラマティックな展開にもう一度プレイしたくなる不思議なゲームですね。
ところで知人の勧めでお越しになったとのこと、今後とも拙ブログをよろしくお願いいたします。
投稿: ぐちーず | 2007/08/30 23:53
初めまして、OVERRUNといいます。
知人の勧めで覗きました。
「シャイロー」で翌日に傾れ込むのは中々に難しいので、もう少し南軍で押せる様な補正が必要に思えます。
試案として、「初日の南軍の攻撃チットは、ターンの好きな時点でカップに入れる」としてはどうかと思うのですが、これで衝撃力を維持できるかは微妙な気もします。
テーマ的に難しいのかも知れません。
投稿: OVERRUN | 2007/08/30 03:58