東部戦線(EP/CMJ)シニャウィノ高地プレイ
ATSの息吹を感じた我々はさらに戦術級をプレイすべく、次のゲームに移った。
このブログでも何回か触れている装甲擲弾兵は戦術級ゲームの中でも最もプレイしている方で、気軽に始めることができる戦術級ゲームの一つだ。
その装甲擲弾兵の続編として東部戦線バージョンとなったのが「東部戦線」だ。
東部戦線は思い起こすこと20数年前にこのホビーを始めたころに一番最初に買った本格的ウォーシミュレーションゲームで、様々な種類の戦車が入っているのに評価など一喜一憂した覚えがある。
戦術級の意味すらも知らずに買って、このゲームを理解するまでの苦闘は今回のテーマではないが、一番最初のゲームがこれだったということはこの後のゲーム人生を大きく変えたような気がする。
そんな思い出一杯のゲームがコマンド誌の別冊として発売されたわけだが、前作の装甲擲弾兵のコンポーネントの美麗さに東部戦線への期待は深まるばかりだったが、実際に発売されるとそんな情熱はどこに行ってしまったのか中々封を開けることはなかった。
そんな枯れ果てたような情熱も装甲擲弾兵のプレイを通じて装甲擲弾兵システムのスピード感に魅せられ徐々にその情熱を取り戻す。
「嗚呼東部戦線で戦いたい。」
1943年1月12日。レニングラードとその郊外からの攻撃はドイツ軍の戦線を食い破り、南下してシニャウィノに迫りつつあった。
そういう状況下で独軍は反撃をかけるが、ロシア軍にはT34を主力とする援軍がやって来る。独軍もティーガーを中心とした戦車部隊が増援としてやって来るが、本命のティーがーは1ユニットに過ぎない。
勝利条件はマップ上に3つある町の内2つを占領することだ。3つともロシア軍の支配下にあり、それを奪わねばならない。最も近い町はLで、これは奪えるだろう。残りの2つは中間地点にKがあり、ロシア軍の増援部隊がやってくる北側にJがあり、北側のJはまあ無理としても真ん中のK町を巡って激闘が繰り広げられるのだろう。
初期配置はロシア軍が最南端の町Lより南には位置できない以外どこにでも配置できる。ドイツ軍は第1ターンから盤端から進入してくるので、ロシア軍の初期配置は両軍の戦い方に影響を及ぼす。
装甲擲弾兵システムの特徴的なものとしては流動化するイニシアチブにあり、イニシアチブを保持し続けると敵側に移りやすくなり、ゲーム全体では攻守のバランスが取れるようになっている。イニシアチブを持つ・持たないは重要で、他のゲームのように順番を決定するなどと言うような生易しいものでなく、イニシアチブを持たない限り主体的な戦闘ができない。イニシアチブを持つ・持たないで大きく戦い方が変わってしまうのだ。
珍しく筆者がドイツ軍でやりたいと(強硬に)言ったのですんなりとドイツ軍で決まった。ティーガーを使ってみたいというものもあったが、小規模ながら攻守めまぐるしいと予想されるこのシナリオは興味深いからだ。
初期配置。
ロシア軍プレーヤーのK氏は考えに考えて最前線に全ての戦力をつぎ込むという帝国陸軍もビックリの超水際戦術を選択した。その構想は初期配置の部隊で南端の町Lを死守し、第2派の増援で中盤の町Kで攻防戦を展開し、第3派の増援で中盤の町Kを奪回あるいは救援しようと考えているのだろうか?
南端の町Lにも兵を置き、隣の高地にも兵を置いているので、どういう編成か判らないが、ともかく死守傾向が見受けられる。ロシア軍は国別特性で、ダミーが乗っかっている時点での二度撃ちできるサプライズアタックという射撃は、ダイス判定で機先を制されたり、長距離射撃に不利な判定が付いたり、直接視認でなければ撃てないとか、異ヘックス同士の共同射撃ができない等々諸々の制限がある。
従ってロシア軍は割と近距離レンジでの戦闘を得意とし、それに至るまで攻防共に出血は覚悟しなければならない。
町Lに近づくドイツ軍に対し、一縷の望みをかけてストップ射撃を実施するが、全くの失敗に終わる。
筆者としてはLの町で出血するわけにはいかないので、迫撃砲を戦闘隊形にして射撃する。東部戦線でも迫撃砲は意外に重宝し、町の攻撃などで大活躍してくれる。実際ポンポンと撃ち出した迫撃弾は町に次々と着弾し、ロシア軍スタックをみるみる間に破壊している。
「うわ!何それ!きっつー!」
K氏から悲鳴が上がる。過去に装甲擲弾兵の「地獄のハイウェイ:フェーヘル」シナリオで痛い目に遭っているのにまるで今初めて見たみたいな言い方をしている。
そういう筆者も偉そうに言えたものでなく、高地上の部隊は歩兵のスタックだったが、レイティングと足し算を間違えて非力なドイツ歩兵が強力なロシア歩兵に突撃をかまして出血多量となってしまった。装甲擲弾兵/東部戦線は他の戦術級ゲームと同じく射撃ではファイヤーパワー方式で白兵戦はオッズ方式となる。南端の町Lで上がった悲鳴に続いて高地上でも悲鳴が上がった。
その愚策の為、後続の貴重な戦車戦力を迫撃砲などの移動の援護に使わざるを得なくなってしまい、致命的な進撃スピードの遅れとなってしまった。
残余のロシア軍歩兵や砲兵は更に死守するという選択肢もあったが、ここはぐっとこらえて撤退を開始した。
結局その遅れのためにロシアの増援部隊(戦車部隊)が中盤の町Kに到達してしまい、ドイツ軍が突っ込まなければ勝利を望めないことが判った。白兵戦力は先ほどに痛い目にあったので積極的な用兵ができない。戦車部隊も突入を図ろうにもその実態はティーガと3号戦車の3ユニットにしか過ぎず、待ち構えるT34のスタックに突っ込むには少々心許ない。理想的には敵が突っ込んで来てくれるのをストップ射撃で漸減するか、射程ギリギリのところでアウトレンジ風に討ち取っていくのが良いが、今となっては時間がない。
しかも先ほど逃れた迫撃砲が高地上に配置したFLAKの頭上に降り注ぎ、貴重な対戦車戦力が失われていく。味方の血が流れていけばそれだけ装甲兵力の負担が大きくなる。
ロシア軍はティーガを狩るために一か八かで突入してきた。撃たれるT34。撃破されるT34。ロシア軍はスタックに損害が出るとリーダーの負傷チェックを行わなければならない。その結果リーダーがいないとスタックでの射撃も覚束なくなる。さらに戦死になると政治委員が指揮を執ることになり、勝手に敵スタックに突っ込んでしまう。
実際退場となったスタックはティーガーのスタックに向けて突進する。案の定ストップ射撃でみるみる間に消耗する。こればかりはどうしようもないので諦めてもらうしかしかない。
あーだこーだしている間にイニシアチブが取られたターンもありドイツ軍の戦車部隊にも損害が出ているし、確保しているLの町にも迫撃砲弾が降り注ぐ。すでにドイツ軍の勝利はないが、なにがしか痛撃を与えたいものだがティーガー1ユニットでは如何ともしがたい。やはり序盤に「側面は敵に心配させておけ」と言わんばかりに、突入していくべきだったのだろう。気づいたときにはもう遅い。ジリ貧だ。
戦術級では一瞬の迷いが敗北につながる。ティーガーを持って勇躍するはずが、ユニットのかわいさに腰の抜けた指揮となってしまった。
筆者の脳裏にある言葉がかすめた。
「もっと非情になれ、敵にも部下にもな。」
ロシアの大地にはこの言葉がよく似合う。
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