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SS Panzer:クルスク大戦車戦プレイ

巷には大変嫌っている人がいるそうで、コマンドベストとなって再販されたときには耳を疑ったものだ。ベスト版はそれなりに評価が高いものが多いためだ。

 嫌われている、いや正確に書くと好き嫌いの分かれるゲームが再販されたのには何か理由があるはずに違いない。
 確かにネット上に書かれているリプレイなどはネガティブな評価や意見が多い。しかし冷静になって考えてみればネガティブな評価が全てではなく、ポジティブな意見は出てきていないだけではないだろうか?本当にポジティブな意見はないのか?あるいは楽しみ方があるのか?
 我々の中でも評価が分かれる本作をもう一度プレイしてみることにした。コマンドベストになった理由は何か、もしかしたら新しい発見や新しい楽しみ方を発見できるかもしれない。

そういうパイオニア精神をもってこのゲームに再びあたることになった。

クルスク大戦車戦(SS Panzer) クルスク大戦車戦(SS Panzer)

 本ゲームは過去にコマンド誌第11号の付録として発売された。原版の米コマンド誌でもリリースにまでこぎ着けるのが難しかったのか発売が遅延していたようだ。
 期待の大きいテーマということで発売された当時は鋼鉄の咆哮を好奇心と共に眺めていたが、その斬新というかフランクという内容に期待の大きさに落胆するものが多かったような感じがする。
 内容はSS装甲軍団がロシアの大軍とぶつかるというシチュエーションはメジャー(ASLとか)の戦術級が扱うには規模が大きすぎ、むしろ作戦級の扱う範囲といえなくはない。しかし作戦級にしては戦術色を強めなければその魅力が表現しにくいスケールと言うこともあって作戦戦術級の体裁をとっている。
 さて、ゲームの方は前々からの取り決めによってドイツ軍が筆者。ロシア軍がK氏が担当することになった。途中TS氏がやってきたのでドイツ軍のトーテンコップを担当してもらうことにした。筆者はLAHとダスライヒを担当することにした。

 デザイナーはジョン・デッシュ。代表作はリング・オブ・ファイアで戦車戦のある作戦級の代名詞と言えるかもしれない。そのゲームから遙かにランダム性と戦術規模に落とし込んだといえば何となくイメージはつかめるかもしれない。

 概ねルールは師団などのフォーメーション毎にチットがあり、それを引くと活性化し移動や射撃ができるといったものだ。チットにはフォーメーションなどの部隊を活性化させるチットの他に支援砲撃、航空支援などが混ぜられており、チット引きならではの混沌とした状況が導かれている。

第1ターン:常にターン構成はソ連軍の砲撃から始まる。ダイス2個を振りあたり目が出ると、混乱あるいはステップ被害という感じで進んでゆく。もちろん、戦術ゲームであるが故に視線のルールがあるが、かなりフランクであるために事前確認は必要だろう。

 砲撃といえども視線が通らなければ撃てるターゲットは限られてくる。視線は障害物によるものと爆撃の爆煙等によって変更される視認距離変更によって前後する。

Imgp2706  配置は中央部にLAH師団が突出し、左翼にトーテンコップフ、右翼にダスライヒが展開している。勝利条件は最深部にあるサドンデスの勝利条件ヘックスを奪取するか、マップ上に散らばる勝利条件ヘックスのほとんどを取るかで、ターン数が短いためどちらかというとサドンデスを目指しやすい。

 サドンデスの勝利条件ヘックスはLAH、トーテンコップフ両師団から近いが、ソ連軍の戦車戦力は重点的に配備され、血みどろの戦いとなることは容易に想像できる。ダスライヒはこれら両師団に比べると配置の仕方によっても変わってくるが、サドンデスの勝利条件ヘックスから最も遠く、上手く配置するとソ連軍からは見えない・砲撃されない地域に配備することができる。

 今回は取りあえずサドンデスを目指すこととしたが、K氏は事前の研究によってSS装甲軍団を停められることを確信したらしい。セットアップではLAHとトーテンコップフがソ連軍の視線下にある。配置はドイツ軍が先で、ソ連軍が後で配置される。お互いの配置によっては視線にも入らない部隊が出てくる。今回はダスライヒが高架の向こうにいたためほとんど視線に入らず、どの部隊も視線下に置かれてしまったLAHが砲撃の餌食となった。

 序盤の砲撃フェイズは砲撃チットを使用して視線下の部隊を砲撃できるが、同じ部隊を砲撃してもいいので、LAHは袋叩きだ。K氏はドイツ軍が白兵戦(近接戦闘)時に対歩兵に対して支援砲火しか与えられないことに着目し、主に白兵戦で役に立ちそうな歩兵とかマーダーや三号突撃砲を優先して狙ってくる。そのせいかかなりの確率で混乱したり傷ついたりしている。

「イワンめ!魔女のばあさんに...」

と呟いたところでゲームシステム上仕方がない。ここは嵐が過ぎるのを待つばかりだ。

 16枚もある砲撃のチットは砲撃終了後チット入れに投入され、更に同じ回数、しかしランダムに支援砲火ということで射撃できるようになる。この回数がやたら多いと言うことで各方面から非難集中しているが、撃たれる方はともかく撃つためにダイスを振る方も苦行のため心が折れる場合が多いようだ。

 結果、ライプシュタンダルテはほとんどが混乱に陥り、戦力として体をなさない。ダスライヒは規定の方針に従って高架沿いに前進し、途中足止めともおぼしき戦車部隊を蹂躙し、前進をする。移動と戦闘が割と自由なため、あるスタックは移動せずに射撃、あるスタックは移動して射撃、あるスタックは移動せずに全力で移動という風に割り当ててゆく。

 小敵には適当な兵力を当て、主力はスルーして前進するのだ。まさしく「側面を気にするな。敵に心配させておけ。」だ。

 チットというアクティブシステムの惹起する展開は時として絶妙に、または絶望的に陥るときがある。ドイツ軍のチットはソ連軍のそれと比べて遙かに少ないため、ややドイツ軍にとって絶望よりにする可能性があるようだ。チットはドイツ軍3枚、ソ連軍部隊フォーメーション6枚砲撃16枚、どちらになるか判らない空軍1枚だ。圧倒的にソ連軍のチットが多い。

 結局、ドイツ軍はチットの悪戯によって自らが動ける前にソ連軍に動かれ、支援砲火で戦車まで足止めされている。ソ連軍はトーテンコップフに2個軍団、ライプシュタンダルテに3個軍団あてるように配置されている。ダスライヒのみがフリーハンドと言えるが、決戦場には最も遠い。

 第2ターン:最初の砲撃は気が重い。砲撃は集中的にLAH師団に集中し、せっかく回復で戻った部隊も次々と混乱させられる。K氏の砲撃は最初の砲撃で歩・砲を狙うというのImgp2707 は徹底していて、蛇のようにしつこく狙ってくる。続く支援砲火のチット群では戦車を狙いだし、LAHのチットが出てくるころには師団のほとんどが混乱状態で、何らする術がない。本来ならば孤立する252高地の部隊を救援しなければならないが、それもかなわない。

 混乱は移動や射撃ができなくなる状態で、近接戦闘時に防御射撃のような進入阻止射撃ができなくなる。遠距離砲戦より近接戦闘に秀でるソ連軍には必須の状態と言える。

 トーテンコップフは前進をしているが、接敵や本格的な戦闘までにはまだ時間が掛かりそうだ。小村落に籠もるソ連軍歩兵を攻撃し、手こずっている。ダスライヒは明らかに足止めのために派遣された第29戦車軍団を次々に屠ってゆく。パンツァーカイルの先頭は何故かT34。ティーガは遠距離砲戦を仕掛けるために後ろに配置されている。

 そうこうしている間に252高地のドイツ軍はソ連軍1個戦車軍団の猛攻を受け、玉砕している。装甲兵車が配備されたりして貴重な装甲戦力だったが、救出は間に合わなかった。

 第2ターンで気が付いたが、ドイツ軍の砲兵を使うのを忘れていると言うことだ。ドイツ軍の砲兵は師団あたり1この砲兵チットが用意され、任意の時点で使用できる。ソ連軍と違い再使用も可能で、使用後ダイスのチェックを行うのでチェックにかからない限り使い続けることができる。

 空軍チットはランダム性の強いチットで、視認距離を変更させたりするだけでなく、どちらの軍の空軍がどれだけやってくるか判らないので、判定には大いに注目が集まる。しかも使用後はチット入れに再投入されるので、何回出てくるかも判らないというひどいチットでもある。

 第1ターンから数度にわたりやってきた空軍はルフトヴァッフェが多く、しかもそのほとんどで6カ所という最大の数字だったり、最低で視認距離を2まで縮められるという結果が多かった。よってソ連軍から見ればこれからと言うときにルフトヴァッフェが襲来し、貴重な戦車戦力や歩兵部隊が沈黙させられ、あるいはこれから射撃だと言うときに視認距離を縮められて撃てなくなるというものだった。特に第18戦車軍団のKV1などは常に狙われ、または随伴歩兵の乗っているT34は次いでターゲットとなった。

 第3ターン:砲撃はLAHとトーテンコップフに集中し、LAHは最初からほとんど動くことなく敵の接近を許している。さすがに残存の部隊で防御射撃などを繰り返すが、数の多さに次々と犠牲が増えている。おおよそ3個軍団の攻勢の前にさすがのLAHも風前の灯火だ。
Imgp2708
残存のティーガーを中心に陣内戦闘と化していて、もはや進撃は望めない状況だ。狭い戦区内に3個戦車軍団が突入してきている。

 ダスライヒは第29戦車軍団の抵抗を粉砕しながらLAH師団右翼に躍り出た。さすがにKV1戦車は堅いので撃破できないが、後続のティーガーの出番が待ち望まれる。ダスライヒのティーガーは、もとより後方にいたのでこれらの戦いに参加するのにはまだ時間がかかりそうだ。ティーガーのような重戦車は踏破能力が低いと見積もられて、地形コストが多く消費するように設定されている。従って、割合平坦なプロホロフカといえども小川、陣地などコストがかかる地形があり、ノロノロと進まざるを得ない。

 トーテンコップフ師団はLAHの苦境を迎えていたころ、先行したソ連軍戦車軍団第2親衛戦車軍団の猛攻を受け、猛攻のため装甲戦力を中心に損害が出ている。強力なティーガーといえども集中射を喰らって数ステップの損害を受けている。LAH師団に続いて攻撃衝力を失ってしまったというわけだ。

 このゲームでは強力な戦車は攻撃力に関しては遠距離から撃て、防御力に関しては防御力の大きさとステップ数の大きさであらわされている。戦闘は攻撃力から防御力を引いた数が射程となり、移動してから戦闘すると振れるダイスが2つ、動かずに戦闘すると3つ振れるという風に処理されている。そのうち1つでも修正があったりするが1から3が出ると、1ヒットとなり混乱する。一度に2ヒットを与えられるとステップロスとなる。

 大抵2個ダイスを振る機会(移動+射撃、近接戦闘、砲兵射撃、一部の防御射撃)が多いので1ヒットが出る可能性が多い。それでも思ったほどヒットが出てくれなかったりする。今回の場合2ヒットが炸裂したのであろう。

 時間の都合で最終ターンをプレイすることはなかったが、ドイツ軍のサドンデス勝利だけは達成できないことは判明していた。残るはドイツ軍の判定勝利18ヘックス中13ヘックス占領は不可能に近く、ソ連軍の9ヘックス中7ヘックスは可能性があったかもしれない。おおむね史実と同じような引き分けの結果に落ち着くようだ。

 雑誌付録版と比べ、マップは見やすくハードマップになったために耐久性・水平性も高い。システムとしては新規で特異なチットシステムに属し、そのチットバランスの悪さに閉口してしまうかもしれないが、圧倒的な砲兵火力というものを物理的に・空間的に味合わせられるだろう。今回はチットの巡りはあまり良くなかったために作戦研究にあるような遮二無二突破という状況はできなかったし、装甲をまとった巨獣が暴れ回ることはなかったが、実際に形ある戦車部隊を率いることは魅力が大きい。例え粉砕されようとも何と言っても著名なSSの装甲軍団だ。

 ルールの方は明確化以外は大きな違いがなかったような気がするが、カラー図版と共に特異なシステムをわかりやすく解説している。それでも他の戦術級ゲームに比べると大規模にしてはフランクな方に属し、本格的な戦術級ゲーマーは不満かもしれない。かといって作戦級ゲームとしてみた場合そのスケールの小ささと展開の狭さに不満を覚えるだろう。 ゲームランクどちらサイドから見ても中途半端に位置しているのがこのゲームの特色と言える。それが作戦戦術級と言えなくはないが、ソ連軍の煩雑さという負担とドイツ軍の心理的な負担がもう少し減れば評価されると思う。

 一度書いたが、ティーガーとT34の性能差が射程の長さとステップの多さというのが理解できないプレーヤーはプレイしてはならない。クルスクの地で起きた戦車戦を中世のような会戦としてフォーメーションがアクティブになり、戦車部隊の戦果に一喜一憂してプレイでき、多少の煩雑さをいとわないプレーヤーであればこのゲームが楽しいと感じるに違いない。いやそのようにプレイすべきであろう。

 またプロホロフカの大地で何が起きたのかを見てみたいという好奇心旺盛なプレーヤーは実際にプレイしてみて圧倒されて欲しい。

 

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コメント

久しぶりにお邪魔します。
『SSpanzer』をプレイしましたか。

僕はこのゲーム、傑作だと思っています。
作戦戦術級ではピカ一ですね。
このシステムはすごいなぁ、と感心しきりですが、いささか勝利条件の設定が悪いので、ゲームからプレイヤーに与える「夢」がうまく伝わっていないみたいです。
それが、巷の評価になっていると…。

みなさん、どうも遮二無二に突進して終わりがちですが、地図盤の右半分の使い方、考えてみて下さい。

えらそーなことを書きましたけど、ご容赦下さいませ。

ぐちーずさんには、昔書いた研究記事のコピーをメールで送りますね。

はじめましてsperlingと申します。
トラックバック送らさせていただきました。

SSpanzerは好き嫌いの分かれるゲームなのですね。感想は私のblogの方にもかきましたが、どうも私にも(は)合わないようです(苦笑)。

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» SSpanzer 感想 [Outskirts of ground]
さて「SSPanzer」の感想を書こうかなと思ったら、ぐちーずさんのところにもうこのゲームの紹介とプレイの様子が書いてあるじゃんorz。じゃあこちらは簡単にプレイと感想でも書いていきますか(笑)。 <252高地といえば・・・・・・・・> 真っ先に思い出すのが、パンツァーフロントのドイツ軍シナリオ(ちなみに私がプレイしたのはDC版)。あのシナリオはティーガーの強さが実感できるシナリオでした。このゲームでもティーガーの強さを実感できるのでしょうか? ちなみに私は作戦級ゲームが好きで、戦術級ゲー... [続きを読む]

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