1942(GDW/CMJ)プレイ
続けてミニゲームをプレイすることになった。時々持ってくるミニゲームは時によっては重宝するアイテムで、時間が余ったときなどに活用される。
コマンドマガジンが一時期精力的に出版していたGDWの120シリーズはそう言うシーンにもうってつけで、一応額面的には120分で学べて120分でプレイ完了だ。都合4時間あればフィニッシュできるとあるが、実際は不慣れであれば長くかかるし、慣れていればもっと短くなる。中途半端に長大なゲームを数ターンやるよりもある程度勝敗が見えるところまでプレイするというのは精神衛生的にも良い。
個人的には出版されていない120シリーズも何かの機会があれば出版されることを期待したい。ミニゲームの存在は気楽さ故に例会の時間繋ぎや新ジャンルへの導入ともなるためだ。
1942はその数字が示すとおり1942年に日本軍によって行われた「南方進攻作戦」をテーマにしている。その空間距離はバルバロッサ作戦のロシアを凌駕し、長距離侵攻作戦を自分でプロデュースできる。
このゲームが他の120シリーズと全く趣が違う点は他の120シリーズは大陸でのキャンペーンであったり有名な会戦であったりするが、本作は海洋を含んだキャンペーンでありながら艦艇ユニットというものは一切出てこない。120シリーズを阻害するようなややこしい海上戦闘を大胆にカットし、陸上戦の作戦級としてデザインされている。その為か他の120シリーズに比べて異色であると言える。もちろん太平洋戦線の戦いが艦艇抜きに語れないという頑迷な海軍ファンや、開戦冒頭の日本軍優勢なシチュエーションだから一方的だという人は面白くないという先入観があるかもしれない。
ゲームはダイスで担当する陣営を決めた。筆者が連合軍でK氏が日本軍だ。勝利条件は点数制で日本軍は2つある要塞の内1つを確実に攻略しなければならない。
要塞はシンガポールとコレヒドールにあり、スタック制限が無くなる。史実同様両者を電撃的に攻めても良いし、初期の構想のようにシンガポールは攻略、コレヒドールは封鎖というのでも良いし、またその逆でも良い。どう攻めるかは時の日本軍と同じ悩みを抱えることになるが、基本的には大きなバリエーションがあるわけでもない。
0ターン。本ゲームには1ターン目をプレイする前に日本軍のみの第0ターンをプレイしなければならない。K氏率いる日本軍は各地に点在する陸軍部隊を率いて、南方進攻作戦を開始した。
日本軍の侵攻が始まった。
日本軍はフィリピンに2個師団、マレーに2個師団投入してきた。支作戦としてミンダナオとボルネオにも兵を進めている。兵力が圧倒的と言えるミンダナオとボルネオは日本軍に地歩を許した。
マレーに2個師団を投入しているが、史実と異なりタイ方面つまり陸路よりの進撃となっている。マレー戦では上陸戦で距離を稼ぐ必要があると思うが、当時の陸軍の作戦構想の左巻き戦略ではないのかもしれない。投入された師団はおおよそ史実とはかけ離れた師団でモチベーションの下がる用兵だ。コタバルの侘美支隊は?シンゴラ、パタニの第5師団はどこへ行ったと呟いても盤上を探してもどこにもなかった。
英軍はマタドール作戦ばりに前進防御を策して前進してもよかったが、側面から上陸されるおそれがあったのでジットラ(国境地帯)より動けなかった。
比島は史実以上に強力な布陣のため日本軍は攻めあぐねること必至だ。史実では弱体化した2個師団強で米比軍を攻めることになってしまったが、一番最初のの計画では3個師団が想定されていた。しかも侵攻予定の師団には上陸戦専門の第5師団が予定されるなど、史実とは全く違う布陣だった。案の定上陸には成功したが、そこから一歩も動けなくなってしまう。米比軍の質量ともに高いからだ。
それはさておき、2ターンにはジットララインに取り付く日本軍。取り付いた師団が第5師団や近衛師団のようにマレー戦に参戦していない部隊でないのがご愛敬だが、史実のこだわらない純粋なゲーム戦略と言うことで筆者のような史実をトレースしてみたいタイプには無い斬新な用兵を披露してくれる。最初は目新しく見守っていたが、次第に少しでも部隊配置や侵攻路を史実と違えると、
「貴様それでも帝国軍人か!」
とか
「○○兵団が泣いているぞ。」
とか野次飛ばしながらプレイするのは酷かもしれない。
当時の陸軍は長距離同時侵攻を果たしたわけでそれだけでも戦史上の快挙と言えるが、全て筆舌しがたい現場の努力によるものだ。一応等の陸軍内でも如何に効率的に攻めるかと言うことで兵力配分を練られたわけだが、結局海軍の支援が受けられないマレーに力点を置く左巻き戦略がとられたわけだ。その為兵力配分が軽い比島は苦戦したのは当たり前と言えば当たり前だ。
しかし、今回の日本軍はそう言う検討や構想無しに両巻き戦略とも言える方法で攻めてきているわけだ。
案の定比島はどん詰まりになり、第14軍のマニラ攻略まで果たせずにいる。日本軍の拙攻にマッカーサーはマニラオープンシティでなくコレヒドール・マニララインでの死守を命じた。
マレーではジットララインでの攻防戦が一進一退で、とてもマレーの虎という感じがしない。陸路からおっちらおっちらやって来るわけでいつかは寄り切れるだろうというのんびりとした進撃だ。
さすがに拙いと感じたか蘭領インドネシアの攻略も発動した。要塞どちらかとそれ以外の陸上部隊一掃が勝利の目安だそうで、遅れているスケジュールを多方面の進捗で最後に蹴りをつけるようだ。
スマトラに上陸する近衛師団!
「こら!近衛師団はマレーじゃろー!スマトラはある意味正しいがそりゃあマレー戦後じゃ!」
ジャワに第5師団上陸!
「こら!第5師団もマレーじゃろがい!なんでや?」
「いや余っていたから。」
強力な近衛師団・第5師団を余らす作戦も作戦だが、ジャワに投入する作戦も作戦である。当然強力な第5師団を始め数個師団分の攻撃を受けたオランダ軍は史実以上の兵力と打撃を受けて消滅。
ボルネオには第55師団を投入し、在地のオランダ軍を追い回している。その他のセレベスやセラム島には陸戦隊などがあたっている。
マレーと比島以外は連合軍は一掃された。しかし点数的には日本軍は非常に由々しき状態である。なんと言っても要塞が手つかずなのだ。このままだとミシシッピバンザイの日本軍敗北のコメントの如く「大本営に召還され幕僚に見守られながらハラキリ」させられかねない状況だ。対して筆者の連合軍は侵略者を撃退こそすれ善戦はしているようなので、多分なんかわけのわからん文言を記者の連中に叫んでいることだろう。多分戦後は大統領になれる。
6ターンが終わったところで時間が来たのでお開きとなったが、このまま続けると日本軍はマレー半島を席捲し、多分ゲーム終了までにはシンガポールを落とすことが出来るだろう。しかしコレヒドールは時間と兵力が足りないのでどうにもならないので、点数的には伸びずによくいっても日本軍辛勝かなと言うところだった。
プレイしてみて他の120シリーズとは雰囲気やプレイ感も異なると感じた。この異色の戦場を日本軍マニアなら一度はプレイすべきだろう。空海戦に隠れて目立たない陸兵たちの躍動感溢れる戦いが再現できるかもしれない。その時は参謀本部のようにあーでもないこーでもないと南方進攻作戦のグランドデザインに頭を悩ませるのもよし、史実にこだわってユニットに愛着を持ってダイスに念じながらプレイするのもよし、あの頃の連合軍の崩れ方を再現するもよし、あるいは奇襲なんて無かったよと言わんばかりに日本軍に苦戦させるもよし、犬井風に言うとそれはプレーヤーの自由だー
でも何にしても日本軍の第一撃が決まらへんかったらメッチャへこむねん。
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コメント
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takoba39714様
コメントありがとうございます。我々はそれぞれがテーマを持ってプレイに挑み楽しくプレイするのが信条です。ですから意外とバランスが悪かろうと勝てなかろうとも遊べてしまうのでゲームの本質を伝えていないかもしれません。まあ楽しんだ者勝ちと言うことで。
あの本屋は私もよく利用するので本当に横に立っていたかもしれませんね。世間とは狭いものです。京滋のウォーゲームブロガーは少ないので、これからもよろしくお願いいたします。
投稿: ぐちーず | 2006/09/04 22:25
こちらでは初めまして。遊びに来ました。
このゲームは私も持ってます。日本軍が絶対勝てないバランスの悪いゲームとの風評に加え、陸物作戦級に疎い私は、駒も離していませんでしたが、記事を読んでちょっと心を動かされました。
あ、それから例の閉店の日は今年いっぱいではなく、来年2月だそうです(今日立ち寄って確認してきました)。自分の方の記事を訂正しました。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
投稿: takoba39714 | 2006/09/04 21:58