モスクワ電撃戦(CMJ75)プレイ
プレイはまだまだ続く。
今号のテーマSSシリーズを改めて問うというお題目であったが、最初今更という考えで見ていた。しかしよく考えてみればもはや十数年前の話になってしまって、改めて再評価するのは見えていなかったものや、新たな視点が獲得できてそれはそれで有意なことではないだろうかと考えている。
出版当初、筆者はCRTを用いないゲームが大半を占めたこのシリーズについては、批判的な意見を持っていたが、それはあまり好きなゲームがなかったこととあまりプレイもしていなかった事にも依る。
コマンド誌とゲームジャーナル誌で精力的に再版されたこともあってプレイする機会が増えたが、100%意見を覆されることはなかったが、ま、いいかなと思えるようになっている。
別にSSゲームズに限らないが10年ぶりとは言わないまでも、数年ぶりにプレイすると大きく印象が変わったり、そもそもの視点が変わっていたりするのでゲームの評価はロングスパンでとらえるべきだろうと思っている。もちろん最初からどうよっていう作品もあるが、その逆で傑作とか名作というのも少ないと思う。
話がそれた。今回プレイしたモスクワ電撃戦はSSゲームシリーズ初期に発売され人気を博したゲームだ。ハーフマップでバルバロッサから42年夏の反攻までができるという手軽さが売りとのことで、SSゲームの方向付けをしてしまったという。ある意味罪作りなゲームと言えるがSSゲームズの特徴を感じ取るには最も良いのではないだろうか。
実はモスクワ電撃戦は初プレイである。昔シミュレーター誌上でカオスな展開を見てシミュレーション的に自由度が高いことに忌避感があり、また6でろシステムで作戦級はどうよと言うのもあってプレイを避けていたからだ。要はSSシリーズに蔓延していた6出ろシステムに対するマンネリ感だ。
同じシステムが続くことは今でもあまり感心しないが、考え方が丸くなったのか6出ろシステムは処理方法としてはそれもありかなと思っている。
戦略的自由度が高いと言うことに対してはそういうアプローチが出来る(許される)ゲームなんだと自分の中で折り合いをつけている。
本来ならドイツ軍をプレイすべきだが、ロシア軍をプレイする事にした。
バルバロッサである。
当然のことながら電光石火にくドイツ軍がロシア軍部隊を撃破し前進する。ロシア軍は一応反撃のダイスを振れるがその数は1個にしかすぎない。もちろん、大して当たるわけもなく大抵はその数倍振れるドイツ軍によって草が刈り取られるように消えてゆく。
運良く草刈り器から逃れられたとしても、それは今刈り取られるか後で刈り取られるかの違いでなく、結局は蒸発する運命になる。
とは言えそれは装甲部隊が集中している北半分の話で、南半分はドイツ軍が少ない、同盟軍が大半を占める等、戦力的な均衡状態から北ほどの前進は認められない。
ドイツ軍の圧倒的な攻撃はあっという間にミンスク付近までやって来る。ミンスクは都市と言うこととスタックが存在していたこともあって、ようやく抵抗らしい抵抗を見せた。業を煮やすドイツ軍は一掃を図る為にダイス目をたくさん振れる装甲部隊を投入してまで瞬殺を謀るはずであった。しかしドイツ軍の目論みは外れ、逆に奇跡的な2ヒットを与えて装甲部隊に損害を与えることに成功した。この時は全く気が付かなかったが、後々大いなる伏線となるとは思いもよらなかった。
ドイツ軍の進撃はレニングラードまでも陥落をさせてしまう。迫り来るドイツ軍。もはやモスクワまであと少し。ドイツ軍の装甲エキスプレスは圧倒的かつ俊足さでロシア軍を圧倒する。
ダイスが振れない振ったとしてもヒットしない、反対に相手は沢山振れてしかも沢山当たるとなるとフラストレーションは溜まるに溜まる。
正直、レニングラードが陥落したことはゲームの敗北を確信した。むしろこんなに圧倒されるなら早くモスクワにまでやってこいとまで思うようになる。いわゆる自暴自棄だ。
モスクワは政治的・軍事的な要衝であり、議論は分かれるがモスクワが蹂躙されるとロシアは崩壊すると目されている。このゲームではドイツ軍がモスクワの占領に成功すると勝利することになっている。
短期決戦が好きなプレーヤーはこのモスクワを占領するというサドンデス狙いの速攻戦略を好み、長期戦略が好きなプレーヤーは最終的な勝利を目指し、広域を占領することを画する。
K氏は割と速攻決戦指向型と言うか、いわゆる殲滅戦が好きな性分でわかっちゃいるけど止められない。
と言うわけで、モスクワ前面といえるヴィヤジマにまでドイツ軍が迫ってくるようになる。スモレンスクまでもが奪われロシア軍一巻の終わりか!と思われたが、滑り込むようにして増援が到着し、ドイツ軍の前に立ちはだかる。
季節は冬。
そうだ。ロシア軍には冬将軍という偉大な援軍がいた。
もはや死に体となっていたモスクワ前面の体勢はカンフル剤を打つが如く蘇り、ドイツ軍の攻撃を阻み始める。一瞬ドイツ軍に血路が開けたと思った瞬間、超越前進で側面を気にせずロシア軍は前進し、装甲軍団にまで損害を与える。序盤のステップロスと併せてドイツ軍の突進力が下がる。
南部では装甲部隊を北へ持っていった為に厳しくなったのが盤上に現れていて、オデッサが超激戦地となり、ヴェルダンも斯くやと言わんばかりになっている。ドイツ軍はなんとかキエフは占領することに成功したとは言え、あっという間にロシア軍に奪回されこれ以上の前進は厳しい。
そんな中ロシア軍の反撃は始まった。気が付けば今までの消耗で、ドイツ軍は数で圧倒 されはじめ、スモレンスクを奪回されヴィテブスクも奪回され、ミンスクまで一時は奪回されるという大荒れ状態であった。それでも死力を尽くしたドイツ軍はオデッサとキエフを占領するという離れ業を演じたが、緒戦の精強なドイツ軍の姿はなくあたかも44年のドイツ軍のようになってしまった。
またもやある分岐点からとてつもなく様相が変わってしまって非常にドラマチックな展開を見た。両者共にダイス目が異常に良くなったり悪くなったりお互いがあたかも表裏の関係と言えるんじゃあないかと思うほど極端であった。
ともかく、今回初めてモスクワ電撃戦をプレイしたが、たった一回のプレイでも鮮烈な印象を覚えた。なるほどこれがSSシリーズの真髄なのかと思うと中々納得できた。小粒ながらピリリと辛いその様はSSシリーズの双璧と言っても過言ではないだろう。
発売当初、食わず嫌いでプレイしなかったのが、逆に今プレイすると新鮮に映った。意外と先入観というものは正しい時もあるがそうでもないことの方が多いらしい。
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コメント
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ドイツ軍歩兵が強すぎるので白抜きなしにしたり都市は防御側+1にするなどの改良案があります。
投稿: 自ら | 2015/01/31 20:41
mastacos様、はじめまして。そしてコメントありがとうございます。
このゲーム、mastacosさんのようにかなり研究した方がおられて、そう言う方にとっては「今さら感」や「懐かしさ」があるかもしれませんが、昔のゲームを今のレベルで再販する事は良い事だろうと思います。また研究されるほど骨のあるゲームだったと言う事だと思っています。
筆者、高校時代の発売当初、スルーしてしまっていたので懐かしさと言うより目新しかったです。
今後とも弊ブログご愛顧よろしくお願いいたします。
投稿: ぐちーず | 2007/09/15 12:50
はじめましてmastacosという者です。
最近シミュレーションをやりたい気持ちが復活して「太平洋艦隊」を買って合間にちまちまソロプレイをしています。
モスクワ電撃戦ですが昔、高校のときに買いました。
これ、ドイツ軍側がかなり考えておかないと勝つのは難しいです。
装甲軍が戦闘で敵を除去できるかにかかってはいますが1ターンでミンスクまでは進めます。
2ターン目スモレンスク、3ターン目ヴィヤジマだったかな…かなり昔なので忘れていますが。
1ターン目は2Pz 3Pzは前面の部隊をつぶして、3Pz隣の歩兵軍1個を分割して戦闘させて戦闘継続狙い。
機動フェイズは装甲軍を分割して歩兵部隊が後退しても補給が切れない様に並べてミンスク突入か1歩前で停止だったかな…。
1Pzは私は北へ送らずに沼地を利用して小包囲を繰り返しながらロシア機甲戦力を減らしていく感じでやってました。
そうしないと冬のロシア軍の反撃が怖いので。
包囲の為に歩兵軍は前半ほとんど攻撃しないのが特徴的でした。
あと冬のシベリア部隊4戦力の攻撃が怖かった。
このゲーム面白いんだけど7戦力機甲軍で1戦力のロシア軍を除去できる確立が72%くらいなので微妙なんですよねえ。(昔計算した記憶なので不確かですが)
4箇所でどれかは失敗するよ、という感じ。
運悪く戦闘継続とかになるともう止めたくなったりw
投稿: mastacos | 2007/09/11 16:16
個人的には雑誌付録→別冊→箱入りの順番で厳しい目で見なければならないなあと思います。
後で訂正がきくルールとかはまだしも訂正がきかないマップやカウンターなどは十二分に注意を払ってもらいたいものです。
それでもデザイン要素のある出版物と工業製品をイコールで語るには難しいのかなと思いますが、その手法やノウハウは活かせるのではないかな?と思っています。
takobaさん。ようやく9月ですね。お会いできる日を心待ちにしています。マーケットガーデンとは言わず何でもOKですよ。教えてくれれば。
ぐちーず
投稿: ぐちーず | 2007/09/01 17:19
最近のエラッタで、ソ連の増援は街からも沸いて出られることが判り、それなら色々展開が違ってくるよねって思うのでした。
こういうバランスにすごく関わることについては、慎重になって欲しいです。
さて、私は陸物作戦級そのものに、どうもねーって思ってた方なのですが、丸くなったせいでこういうのも可になってきました。ただし老化も進んだので難しいやつは駄目ですけど(笑)。
これでも、マーケットガーデンでも、一度お手合わせの機会を作りたいですね。
投稿: takoba39714 | 2007/09/01 16:10