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天下強奪(CMJ78)プレイ

 既に年が改まってしまった。去年のちにやっておきたかったゲームは山のようにあるが、プレイしきれるモノではない。要は時間が足りない。しかし時間、が無限であってもゲームは相手があって初めて成立するモノでもある。しかも忘れてはならないのは相手にも趣向があり、一方的に決める事は出来ない。この辺はお互い様なのだ。
 さて年始のゲーム会は告知したつもりだったが、筆者の大ボケで誰にも何にも告知していなかったせいで急遽行われる事が決定した。
 今回行われたゲームはコマンドマガジン最新号の「天下強奪」だ。テーマは関ヶ原の戦い。日本の合戦で最も大規模であり、最も表現しにくい要素を持つテーマだ。何と言っても史実では対戦中に有力な武将が陣営を鞍替えし、陣形だけでは勝利すると思われた側が敗北したからだ。
 ウォーゲームファン、歴史ファンを問わず関ヶ原に対してはなにがしかの一家言を持っているモノだと言われるが、この日本のゲティスバーグ、ワーテルローはどの様にデザインされ、プレイしたのか紹介したい。

コマンドマガジン78号付録ゲーム『天下強奪』

 従来の関ヶ原というものはおおむね、決戦たる関ヶ原合戦あるいは日本全土に近しいレベルの関ヶ原戦役に大別されるものだと思う。
 本ゲームは後者の側にあたるといえる。合戦・会戦のテクニックを競うのではなく、石田三成あるいは徳川家康視点での関ヶ原の戦いを演出するにある。
 ところで、ツクダの戦国群雄伝シリーズに始まる戦国作戦級は戦国時代の諸合戦、諸戦役の作戦級のスタンダードとなってしまった感があるが、それ以降作戦級と言えばそれに準じてしまっているように感じる。

 今回の「天下強奪」はそれとは違うある意味復古的なゲームシステムで、新しい視点でのデザインを試みているようだ。

Imgp2115  復古的と言えばこのゲームの根幹はNAWである。もはや使い古されたとか、枯れたとか表現される事が多いが、NAWと言われればそれ相応のテクニックや展開が見えてしまう所がある。

 しかし本作は誰が裏切るかは概ね決まっていて、プレーヤーはどこで裏切るかわからないようになっている。要はそういう旗幟鮮明でない武将は全て裏返しにしてランダムにおかれ、戦闘をする前に動向チェックをして所属を確定する。従って小早川秀秋が史実通り決戦にて裏切るかもしれないし、一切登場しないかもしれないし、別の武将が小早川秀秋の役となってしまうかもしれない。

 今回は筆者が東軍を、K氏がたっての思いで西軍を受け持つ事になった。事前の担当決めではK氏の伝家の宝刀「俺のイメージはどちらかというと西軍やろう。」だ。

序盤:

 このゲームはただ単なるNAWシステムではなく命令値と呼ばれるコマンドポイントでユニットを移動させる。1ユニット1ポイントで、だいたい3ポイントとか5ポイントとかがあてがわれる。東軍は徳川家康が盤上にいる事によって+1され、西軍は規定の箇所(城塞)を保持する事で+αされる。

 ただし、それではほとんどユニットが動かないので、指揮値を持つユニットの指揮範囲にいるユニットに限っては1/2ポイントの消費で機動できるようになる。東軍では徳川家康、本多忠勝、西軍は豊臣秀頼しか持っていない。

 第1ターンには徳川家康は盤上に登場しない。よって東軍は本多忠勝の指揮値を使用して1ユニットでも多く動かして濃尾平野を前進する。西軍のサドンデス条件が清洲城の占領にあるので、ここを守りつつ東軍のサドンデス条件を満たさなければならない。また、西軍のコマンドポイントは各地に散らばる西軍目標(城)の占拠によって増えるので、西軍の行動の優越を防ぐ為には是非とも妨害したいところだが、コマンドポイントの絡みと主戦線に遠いという事もあって余裕はない。

 筆者東軍を担当しているが故、東軍視点、東軍思考で書き進める事が多いと思うが、この辺はご容赦願いたい。

 東軍は豊臣秀頼が出陣するまでは、中立武将は東軍側につくので可及的速やかに豊臣秀頼が出陣する前に大阪城へ躍り出たいところだが、西軍で場所が特定できるのは以下の諸将だ。

石田三成、島津義弘、九鬼義隆、小野木重勝、小西行長、

宇喜多秀家、織田秀信、毛利輝元。

 配置箇所が離れている小野木、九鬼、毛利、織田を除いた石田、小西、宇喜多が東軍へは裏切る事無いが、西軍スタートでそれら諸将の回りに配置される5ユニットは旗幟鮮明でない。果たしてこれらを信ずるか。

 翻って東軍は松平忠吉、井伊直政、本多忠勝、細川幽斎のみで、浅野幸長と福島正則は東軍スタートの中立武将だ。

 西軍スタートの中立武将はランダムに配置され5武将に渡り、東軍スタートの中立武将はImgp2117既に旗幟鮮明な前出の2武将の他にあと2武将いる。

 秀頼が出陣するまでは中立の武将9武将は所属判定の際には東軍に寝返ってくれるので、序盤から中盤までは「味方」と言えるが、家康が合戦に負けない限りゲーム後半の豊臣秀頼出馬からは「敵」となる。16ターンまでの間にケリをつけたいところだ。

 状況は戦いを仕掛けた西軍の方が有利に見えてくる。各地に散在する東軍の諸城は無 防備であるし、勝利条件に絡む目標ヘックスも西軍に近く東軍に遠い。既に西軍が掌握すべき目標ヘックスのうち佐和山、岐阜、鳥羽、丹波亀山は西軍の手にあり、伊賀上野、田辺、長島を目標とするのみだ。また、サドンデスの岡崎、清洲のうち清洲城は最前線に位置し、西軍の攻撃に晒されていると言っても過言ではない。

 東軍の目下の行動は清洲付近に兵力を集結させ、敵の命令ポイントを下げるべく岐阜を攻め、その他濃尾平野に散在する諸将の所属を決定させ、東軍であれば攻撃の先鋒として西軍であれば合流を防ぐというものだ。

 西軍の序盤の行動は命令値獲得の為に城攻めに終始し、丹波亀山と伊賀上野、田辺城が戦火にさらされた。丹波亀山は通過で、伊賀上野は攻略に成功したが、攻略を担当した武将の特性で、戦闘後前進できない武将であった為に攻略ならず、田辺城では細川幽斎と裏切りの発生で陥落は避けられた。

 東軍は濃尾平野を開進し次々と前線に部隊が投入される。岐阜城、竹ヶ鼻城では一進一退の攻防戦が繰り広げられ、高須城、福束城の攻防戦では西軍から呼応がありながら東軍が数度にわたり撃退され、反撃で東軍についた武将などが討ち取られたりする。

 今のところ西軍が時間を稼げているような感じである。第6ターンは徳川家康が到着するが、主戦線には何の影響も与えないが、ポイントの関係で動かし切れなかったユニットが潤滑に動かせるようになる。しかし盤上は芳しくない。福束城や高須城は容易に抜けず、関ヶ原からは西軍主隊(石田・小西・島津)と北陸から大谷隊が続々と集結し、南からは宇喜多隊が接近中である。

 幸い、島津隊は敵ZOCには入れない、戦闘後前進できないという攻撃に使えないユニットでもあるので大垣城に在陣し、関ヶ原の閂となっている。

中盤:

Imgp2120 7ターンの数的優位を作り出した西軍はNAWの特性である。ZOCで囲みながら低比率R狙いで次々と東軍の部隊を壊滅に追いやっている。

 渦中で東軍に寝返ったのは織田有楽斎。弱い、ZOCに自分から入れない、戦闘後前進も出来ないという使えない武将が、なぜか東軍の中央を防衛するハメになってしまった。非常に拙い状況であるが、使えない島津、前に出せない石田・宇喜多を除くと使えるのは大谷と小西隊。その他は戦力1であるのでどっこいどっこいである。

 逆にこちらの状況は、今のところ吹っ飛んでいるのは中立武将が主で、現有戦力は不明4,福島正則の戦力3、松平・井伊の戦力2、その他戦力1が3名が清洲城より西側に位置し回り込まなければ何とかしのげそうだ。

 家康が清洲城付近に着陣したおかげで、兵の回りが良くなってきた。長良川から長島までの線で取りあえず回り込まれないようにはなった。数的なにも問題なくなってきた。南から攻撃してきた宇喜多隊を撃退し、いよいよ我が軍の攻勢が出来そうだ。機先を制せられる前に西軍の主隊を捕捉せねばならない。
 が、仕掛けてきたのは西軍の方だった。ポイントで優勢に立つ為にも長島と岐阜は欲しいところ、南北の両面で攻勢に出てきた。南は宇喜多隊を中心に、北は大谷隊を中心にした攻撃で、北は福島正則が屠られ岐阜も蹂躙された。逆に南では宇喜多隊の攻撃は失敗し、宇喜多隊単騎となってしまった。
 遙か西の方ではようやく田辺城の細川幽斎が西軍に攻め取られ、長かった田辺城の戦いも一段落したようだ。
 我が東軍方の行動と言えば西軍が待ち構える中に大津城が出現し、大津城の戦いが始まりそうである。西軍は取りあえず濃尾平野に送らなかった旗幟不鮮明な武将達を大津城攻めを踏み絵にしようと考えて残置していたようだ。決戦場で小早川秀秋や鍋島勝茂のような決定的な戦力を持って裏切られるよりは...ということであろう。
 「この状況で身元が明らかでないのは使えないよ。」

 押し合いへし合いの末、東軍が戦線を前に前進させ、石田三成を前線に加入せざるを得ない状況へと持って行けている。大津城の戦いでは小早川秀秋が化けの皮をはがし、湖西道を北進中である。西軍は敵ZOCで止まらなければならないところを1ヘックスだけさらに進める能力を持つ毛利元康が明らかになった。大阪からは同じ能力を持つ立花宗茂も急行中である。
 「小早川秀秋、妙なところでうらぎったなー。」
 敵ZOCに自分から入れないとは言え、西軍主隊の居る背後でうろうろされるのは気持ちの良いものではないようだが対応する部隊がいない。東軍としてもこんな危ない人は迎え入れたくないので手近な佐和山、朽木、敦賀など西軍の迷惑のかかるようなゲリラ的な行動を取らせようかと考えていた。

Imgp2126 ともかく攻め手を失った西軍は早速下がる事を考えていたようである。
が、そうはさせじの東軍である。
 手始めに数的に優位な頃合いに宇喜多秀家を屠り、南翼を崩し高須城後方の山塊を迂回させ関ヶ原を目指す。北翼では大谷隊が守っているのに目をつけて迂回行動で接敵を開始した。東軍の目標は撃破にあらずして、接敵による行動の阻害である。戦闘後前進は無茶振りでも前進し、相手にオッズを立たせなくする。
 この間の戦いで、東軍井伊隊が失われたが、大丈夫ひこにゃんは筆者が受け継いでやるとの口上をあげ、続けて無理攻めである。
 東軍には間違いなく捕捉せねばならない理由は石田隊壊滅によるサドンデス狙いである。その達成の為には下がれなく捕捉する事が重要で、関ヶ原の隘路を機先して制圧しなければならない。
 それもそのはず12ターンには徳川秀忠率いる別働隊が到着し、野戦では圧倒できる態勢が立つからだ。12ターンの猛攻で東軍は先ほどの井伊隊を初め数隊を失ったが、西軍も小西隊、大谷隊を失い石田隊と島津隊を残すのみである。大津城は毛利元康らの猛攻で陥落し、毛利元康、立花宗茂が決戦地に前進中である。

終盤:
 13ターンには徳川秀忠隊の諸隊が前線に集結し、近江侵攻を実施する寸前である。西軍は東軍の執拗な拘束and迂回攻撃をかわしながら石田隊・島津隊は関ヶ原に後退でき、立花隊や毛利隊が合流に成功する事が出来たようだ。関ヶ原方面の東軍の先鋒は鍋島勝茂を前面に立てて攻勢に出ている。何としても西軍主隊を捕捉撃滅しなくてはならない。
 関ヶ原からの攻撃一本調子では東軍が渋滞し西軍の対応が楽になってしまうので、搦め手部隊を派遣していた。松平忠吉、本多忠勝を中心とした鈴鹿山脈越え部隊だ。先鋒は長宗我部盛親。この方面には未だ去就のハッキリしない部隊が数部隊あるが、ここを突破できれば西軍主隊の後方を遮断し、近江席捲も可能になる。

 忘れ去られているかのように別動させられている小早川隊は朽木を攻め、湖北を前進中である。北陸路には高山右近や前田利長らが出現し、田辺城攻めを終えて転進中の西軍に対応して待機中だ。

 いよいよ西軍は東軍の大軍勢の前に秀頼公出馬しかもはや切り札はないようだった。その為には徳川家康を合戦で後退させるなどの戦勝が必要だが、もはやこれには期待できない。後は出馬要請チットの結果次第だが、あと数ターン現状を維持しつつ時間を稼がねばならない。
 秀頼が出馬すると、中立の武将は西軍に寝返り、移動力がない為に大阪城で全く動けなかった毛利輝元が活性化する事が出来る。その代わり、出馬後5ターン後に勝利条件が厳しくなってゲームが終わってしまうので、どっちが良いかは盤面と両軍の能力に問い合わせねばならない。

Imgp2130 さて、関ヶ原を攻める東軍は有力な西軍本隊の防衛に中々進めないでしまっている。このままぼーっと時間が過ぎると秀頼が出馬するしないにかかわらず、勝利条件ヘックスを奪った方が確実に勝利を得られる状況だ。そのためにも増援は近江には送らずその他の地域へ派遣し、各勝利条件ヘックスに向かわせる事にした。

 近江方面は搦め手の迂回部隊の進軍状況にかかるが、出てきた去就不明部隊は毛利秀元!バリバリの主戦派である。自分からZOCに入れない(指揮値を持つ武将の指揮範囲なら入れる)ので、こういう狭い通路のロードブロックとしては超有用。しかも戦力5という徳川秀忠と並び強力なユニットである。
 このまま膠着状態になるかと思われたが、戦況は大きく動いた。無理攻めに無理攻めを繰り返し、関ヶ原の突進部隊が北を防備している立花宗茂を屠りついに関ヶ原隘路を突破!続いて南翼を守っていた島津義弘も徳川秀忠の猛攻の前に壊滅し、北南の両翼を失った石田三成は東軍諸将の包囲下に落ちてしまった。
 これにより、東軍の重囲下に落ちた西軍主隊の石田三成はマストアタックの1:3以下の攻撃を強いられ、西軍主戦派(石田三成・宇喜多秀家)の壊滅によりサドンデスで終了を迎えたのでした。

 筆者的に考えていたのは東軍は16ターンまでに西軍を捕捉するように考え、中立武将を必ず先鋒として使用し消耗させる。後詰めは命令値消費のいる東軍武将、命令値消費の必要のない白帯は大切に扱う。逆に西軍の白帯のあるユニットは優先的に倒したいところ。1:2が立てばDRで中立武将が寝返るから家康は前に出すのは控える。関ヶ原付近に西軍主力が出てきたら迷わず捕捉、持久戦に出た場合は鈴鹿、布引各山塊から別働隊を迂回させて隘路で守らせない。等々。

 ゲームの終了がサドンデスを除くと、東軍は秀頼が出陣しない場合、マップ西端近くまで攻め込めないと敗北し、秀頼が出陣した場合は近江、伊賀以東を確実に占拠しなければならない。と、考えると史実通りの三成・秀家を把捉撃滅がもっとも効率がよいようだ。

 NAWという古典的な装いを持ちながらもコマンドポイントで行動を制限し、どの様にして自軍のリスクを減らすかマネジメントを要求される本ゲームは中々考えさせられるところがあった。誰を率いていて裏切りがどこで発生するのかわからないという事や、スタック出来ないというスケールや再現方法の不思議なポイントがあるが、ゲームとしてはどういう関ヶ原を演出するかという事が問われていて混沌とした関ヶ原の作戦級として面白かった。群雄伝シリーズとはまた違う楽しみ方をするゲームである事がわかった。そしてこういうデザイン手法もあるのだなと感心した。

 個人的にはユニットやマップは落ち着いた感じで非常に好感が持てる。ただし、西軍東軍の色分けは(個人的には)赤系が西軍、青系が東軍だと思っていたのだが、実際のユニットはその逆であったのでもしかして僕の一方的な思いこみだろうか?

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