戦術級の砲撃〈東部戦線〈EP/CMJ〉編2
前回に引き続き東部戦線での砲撃を見てみよう。前回は盤外砲撃で、今回は盤上に存在する砲兵だ。
砲兵とは改めてルールを眺めると、迫撃砲・ロケットランチャー・野砲の事を指し示し、対戦車砲や対空砲は含めない。
前回の盤外砲撃はユニット化されていない野砲による支援射撃で、今回は盤上に存在する迫撃砲・ロケットランチャー・野砲はどのように振る舞うのだろうか?
ルールを整理すると
盤外砲撃では
- 支援射撃フェイズに射撃を実施する
- 友軍ユニットで視認していなくてはならない
- 砲撃力はシナリオ指定
であった、
盤上の砲撃は
- 支援射撃フェイズに射撃を実施する
- 友軍ユニットで視認していなくてはならない
- 砲撃力はその砲兵の火力
- 射撃ユニットから射程に収めなくてはならない
となっている。ただし、盤上からの砲撃には基本的なルール以外に特別なルールがあり、上記の禁則事項を覆すような存在のユニットであったり、さらに細かい細則がある場合があるが、今のところ一般的な盤上の砲兵として話を進めたい。
なお、ドイツ軍には盤上の砲兵(迫撃砲・ロケットランチャー・野砲)のうち野砲は存在しないがソ連軍には存在する。
ゲームではこんな感じで存在している。ソ連軍のロケット砲・野砲・迫撃砲とドイツ軍のロケット砲・迫撃砲だ。左上にある2つの数字が対装甲/対非装甲への砲 撃力となる。右上は射程である。例えば一番右端にあるドイツ軍の迫撃砲81mortは対装甲へは「0」、対非装甲へは「2」の砲撃力を持ち、「8」の射程 を持つ。
それではドイツ軍の支援射撃フェイズとして迫撃砲の場合を見てみよう。
おおよそシナリオには各種兵力が記載されているが、盤上の砲兵は参戦兵力では率が低い。従ってうじゃうじゃ砲兵が出てくるシナリオというものもないので、場合によってはプレイするのを忘れてしまう可能性もある。シナリオにもよるが大体2から4ユニットぐらいの砲兵が出てくるようだ。
と言うわけで今回の主力はドイツ軍の迫撃砲としよう。81mortと120mortとあるが、これは81ミリの迫撃砲(8cm Grw 34)と120ミリの迫撃砲(12cm GrW 42)を表している。
間接射撃の利点は味方が視認している限り、射撃ユニットが視認できなくとも射撃できる点だろう。例えば、写真のように迫撃砲からは視線を妨害する荒れ地ヘックスにて視線が通らず視認が出来ないが、左側のドイツ軍歩兵からは平地ヘックスであるので妨害するものが何もないので視認が出来る。
一応想定では実際のシナリオにもある81mortの2ユニットで砲撃を実施することにする。この場合、射撃する相手は歩兵であるので非装甲の2の射撃力を用い2+2の4の砲撃力で7ヘックス先へ射撃をする。なお、81mortの射程は8ヘックスであるので7ヘックスは射程範囲に収めていることになる。
前回の盤外砲撃と同じく目標ヘックスの各ユニットに対し射撃をするわけだから、ソ連軍歩兵のスタックそれぞれに結果をだす。前回と同じく5ユニット分5回分の結果を求めなくてはならない。ダイスを振って求めてみよう。
結果は9,8,5,5,4と期待を持たせるような内容だ。射撃戦闘結果表に当てはめて結果を求めると、それぞれ7,6,3,3,3となりソ連軍狙撃兵(歩兵)の防御力4との差を突き合わせると、+3,+2,-1,-1,-1となり、写真のように壊滅、DD、無傷、無傷、無傷となる。
残念ながら芳しい結果ではなかった。とはいえ40パーセントの戦力を事前に失わせたことは意義のあることだろう。
この8㎝迫撃砲より12㎝迫撃砲の砲が迫撃砲弾の口径が大きく破壊力が大きいので、それの結果として置き換えたとすれば壊滅、壊滅、DD,DD,Dとなり野砲以上の結果を上げられることだろう。
さらにシナリオでは8㎝と12㎝の迫撃砲が一度に出てきたり、3ユニット以上出てくるシナリオもあるので、例えば8㎝迫撃砲3ユニットであるとすれば砲撃力6となり、砲撃力が不安定な盤外砲兵に比べかなりコンスタントに敵部隊の斬減を図ることが出来る。
ただし要注意点は、視線を通すために観測兵となる部隊がいること、そこそこ数を集めて砲撃力をあげなくては意味がないので、移動時・配置時のケアは必須である。
なお、良いことづくめのようではあるが、もちろん致命的な欠点もあり、移動/射撃フェイズに於いては直接射撃(自分で視認して射程内射撃)が出来ず、盤外砲兵とは共同攻撃が出来ない。例外はあるが射撃するユニットからある程度離れたところしか射撃できないなどの制限がある。
さて、意図的に迫撃砲のみを使った図演を行っていたが、ロケットランチャーについて触れなければならない。実はドイツ軍のロケットランチャー(ネーベルヴェルファー等 )は迫撃砲と同じルールであるが、ソ連軍のロケットランチャーであるカチューシャは特別なルールが適用される。
まずロケットならではの着弾のズレを判定する。まず目標(必ずドイツ軍ユニットの上)を決め着弾分布表というもので判定をする。
簡単に説明すると2回振ってそのズレを判定する。1回目のダイス振りで「0」の目を出してしまうと失敗とされてしまうが、それ以外は、目標を中心に1から6は目標ヘックスの周囲へズレ、7から9は目標にズレ無しとなる。
さらにもう1回振り、1回目が7から9の目を出している場合は0の場合は失敗、1から9までは目標ヘックスおよびその周囲6ヘックスのどこかに落ちる。1回目が1から6の目を出している場合は0の場合は失敗、ずれた目標ヘックスを頂点にさら隣接するヘックス群へずれてしまう。
要は精度が低いのだが、実はカチューシャだけの判定表ではなくてソ連軍の盤外砲撃全てが着弾のズレを判定しなければならない。盤外砲兵との違いは次のターンへの遅延が発生するのみで着弾そのもののズレは同じである。
これで着弾箇所が決定するわけだが、普通の野砲による盤外砲撃との決定的な違いは、カチューシャには対非装甲射撃力が★印となっているところだろう。
この★印の意味は着弾箇所およびその周囲6ヘックスにある敵味方を問わないユニット全てがD状態となる。さらにモラルチェックを実施し、失敗するとDDあるいは壊滅となってしまう。当たるも八卦当たらぬも八卦のような強烈な結果であるが、当たればデカいのでさすがスターリンのオルガンと言わざるを得ない。
以上東部戦線における砲撃を紹介したが、実際のプレイに於いてはその効果がそのまま適用されるわけではないことを了解されたい。例えば地形の利用であるとか、陣地、ダミーマーカー等々だ。今回はいかに砲撃が強力であるかという事をわかりやすくするためにあえて他の要素をオミットして記事を進めた。
なお、ドイツ軍の砲兵に対してはあまり制限というのがないのに対し、ソ連軍の砲兵にはさまざまな制限/特別ルールがあるのは、デザイナーズノートにもあるようにソ連軍というものをややオーバー気味に戯画化したものであるという。それがソ連軍らしいと感じるか否かはそれぞれがプレイしてみて体感してみて欲しい。
次回は別の戦術級シリーズに移ります。
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