1月の戦い
早くも2009年となってしまった。今年の年始は4日で年末年始休暇が終わりという所も多く、普段なら長い休みを貰えてしまう筆者の会社も、4日で休暇は終了した。
休暇が短いと言う事は年始のゲームできる期間も限られてしまい例年のように気軽にゲームは出来ない。とはいえ全くそんな機会がなかったのかというとそうではなかったので、機会を捉えてゲームにこぎ着ける事に成功した。
リーン。
「おお!まいど。どない?あいてるけ?」
「ええっ?まあ。てか急過ぎね?」
「あれがそれでこれやから、しゃあないやんけ。」
「よーわからんけどええわ。何すんね。」
「う~ん。任すわ~!」
任す。
と言われても残念ながら筆者そんな航空自衛隊のスクランブル態勢のように常に用意しているわけではない。大抵、雌伏の期間にあれしようかこれしようか考えるわけだが、大抵の場合そう言う時の準備は徒労に終わってしまう。
しかし今回は何故か偶々ルールを読んでいたり、ソロプレイをしていたりしているゲームがあった為、K氏の好みも考えてそれ以外のゲームを引っ提げて行く事にした。
そう言うわけで今回プレイしたのは以下の2つだ。
- CAESAR XL(Victory Point Games)
- 孔明北伐(GJ6)
いきなり西洋史、東洋史と歴史物から始まったのが今年の特徴か?それともただの杞憂か?
単調なプレイになってしまった孔明北伐(GJ6)はまた別の機会に譲るとして、今回はCAESAR XLを紹介する。
CAESAR XL(Victory Point Games)
昨年?唐突に登場したメーカーというかグループというか。GMTやMMPのような箱入りでゲームを出版するメーカーではなく、かといってDTPのようにオンラインでデータを販売しているわけでもなく。20ドルそこそこで袋にレーザープリンターで打ち出されたマップと、ダイカットカウンター、カラー印刷されたルールブックが付いているミニゲームだ。
カウンターの製造等には学生が動員されているらしく「手作り」と言う事になるがが全く問題はない。もちろん学生を動員する事をどうだろうという気がしないでもないが、学徒動員と聞いて鉢巻きを頭に巻き、ヤスリがけをしている女子学生をボヤーンと思い浮かべてしまった筆者の発想力の貧困の方が拙いかもしれない。
筆者がこのゲームを知ったのは多分consimか何かだったと思うが、何気なく飛び込んできたタイトル名、特にXLに注目してしまった。
もちろんXLはローマ数字で言うところの「40」を表すが、カエサルと40が全くつながらなかった。WW2の戦況地図などでローマ数字を表すと言えばドイツ軍なら軍団の事だから第40軍団の事かいなと思ったけど冷静になるまでもなくそんなわけはない。40と言えば40歳、カエサルの40歳頃と言えば三頭政治ぐらいの頃でウォ-ゲームのテーマと言うよりは政治ゲームだし別段40って付ける意味も全くないし、もしかして服のサイズ....そんな馬鹿な事を考えつつVictory Point Gamesのホームページを見ると、正解はカードやカウンターが40って事だった(コンポーネント的には68個のカウンターと40枚のカード)。
コンポーネントに制限を加えつつって言う手法はどこかで聞いた事があるが、本ゲームも基本ゲームルールのブロンズルールとリアリティを高めたシルバールールに分かれている。とは言えルール量は総量が英文5ページでそんなに多くない。
テーマはローマ内戦。ローマ内戦というとカエサルとポンペイウスの戦いで、有名な「賽は投げられた」やクレオパトラの登場、ファルサロスの戦いなどと有名なエピソードは多い。
ゲームでは一応カエサルとポンペイウスが戦っているという事になっているが、配下の部将、例えばアントニウスやラビエヌスは必ずしも史実通りの組み合わせで登場するとは限らず、カエサルと敵対したラビエヌスがカードプレイによって配下の部将となる事もある。
マップは当時のローマが展開していた地中海世界が描かれている。地点と地点を繋ぐPoint to Pointでもあり陸路・海路が描かれているが、1ターンに移動できるボックスは基本1つだ。ゲームに花を添えてくれるのはSPQRカードというカードプレイがあり、政治的勝利条件や戦術カード、リーダーカード、イベントなどがあり、ゲーム進行に影響を与える。
ゲームのシークエンスはカエサル派ターン→ポンペイウス派ターンの順番で以下のように流れる。
- フォーラム/勝利フェイズ
- ドローカードフェイズ
- 購入フェイズ
- 徴税フェイズ
- 行軍フェイズ
- 戦闘フェイズ
- ターン更新
ゲームは概ねカエサルがルビコンの川を渡る直前ぐらいの状況から始まる。
カエサルは少数の軍団を率い、ローマへ雪崩れ込む寸前であるし、ポンペイウスは遠くアテネの地に立っている。戦略的な情勢はガリアだけを押さえているカエサルが各地に分散するポンペイウス軍を集結しない内に電光石火の早業で押さえてしまう事が寛容だろう。
しかし、史実とは違いカエサルの部下は存在しておらず、カードで出現するのを待つばかりである。
背後になるヒスパニアには有力なポンペイウス軍がノバ・カルタゴを守っているが、今は襲いかかる事よりも、占領地を広げ徴税額を底上げする事に決した。
カエサルがルビコン川の前で爪を噛んで逡巡してしまうと物語は始まらない。ここは「賽は投げられた!」と高らかに宣言しながらローマへ目指して進軍だ。
リーダーを失いしローマはあっけなく陥落した。史実でもカエサル軍接近の報を受けて蜘蛛の子を散らすように退去したのでカエサル派の軍はイタリア南部まで兵を進める事が出来た。
この間のカードプレイでポンペイウス側は政治的勝利条件を達成するためにフォーラムカードを入手した。フォーラムカードはある条件で入手する事が出来、例えば都市の支配+ゴールドの支出などで、単純に競りをする事で入手できるものがある。ポンペイウス側は広大な領土を背景に潤沢な資金を利用して金にものを言わせてフォーラムカードを集める事に熱意を燃やし始めた。幸い、フォーラムに置かれているフォーラムカードはローマの支配+αだったり、最高司令官がローマにいる事などであったので、とりあえず競りだけで入手できるカードを集めているのだ。
カエサル側のカードは戦術カードが来たり、中でも特筆すべきはリーダーカードを手中に収め、マルクス・アントニウスが史実同様にカエサル側にやって来た。
リーダーカードでやって来るリーダーはアントニウスの他に小カトー、ブルートゥス、スキピオ、レピドゥスであり、それぞれに勝利条件のアイコンと特殊能力を持つ。今回やって来たアントニウスは購入フェイズに無料で1個レギオンを徴募できるというものだ。
気がかりなのは背後の当たるヒスパニアに滞留するポンペイウス軍だ。史実でもカエサルはこれらの兵力が動き出してポンペイウス本隊と合流してしまう前にヒスパニアへ兵を進めて撃破するが、残念ながらゲームではその脅威に対応するリーダーはいない。
しかしカエサル軍が動き出す前に仕掛けてきたのはポンペイウス軍の方だった。マッシリア(現マルセイユ)の防備が薄くなったのを見計らって、逆にノバ・カルタゴから攻め寄せてきたのだ。しかし正規レギオンの差もあり、敗退したのは攻め手のポンペイウス側であり、仮にポンペイウス側が勝利していたら大変ややこしい事になっていたに違いない。
第1の危機を乗り切った?カエサル軍はさらに膨張を続ける。ポンペイウス側の策源地でもあるウティカを襲いこれも自領とした。ヒスパニアへもさらに進軍し、イリュリアへは後のアテネ攻撃のルート作成や反撃を受けた場合のバックスペース確保のため地歩を広げた。
もはや西にはポンペイウスの旗を奉じる者はいなくなった。あとは東へ進軍するのみだ。
ところが......
レギオン(軍団)ユニットは上限があり、占領のために、あるいは地歩拡大のために各地に派遣すると、前線の兵力はいきなり先細りとなり、攻勢の限界を思い知らされる事になった。
万遍なく兵を進め、各地のポンペイウス派を撃破し、ローマを中心とした大勢力圏が出来上がったと言っても、それはあたかも満州を支配する関東軍のように張り子の虎であった。部隊が広大な占領地にバラまかれすぎなのだ。
最高司令官のカエサル、リーダーのアントニウスはイタリア半島やメッシーナに滞在し、メソポタミア地方に根拠地を持つポンペイウス派に睨みを利かしていたが、それの効き目も時間の問題であった。
機先を制し、電撃的に侵攻し、兵力が固まる前のポンペイウス軍を各個撃破するかそれとも不動の防備態勢を駆使してローマを守りきるかの二択しかないように思われたが、軍事的な勝利はどうやらなさそうな雰囲気であった。さらにはポンペイウス派にはスキピオという部将を得ており、今まで守り一辺倒だった態勢に攻めの要素が加わる事となった。
どうやらポンペイウス派の握る地方の徴税が莫大で、一会戦に敗れても二戦三戦と戦えるほど資金に潤沢であるという事であった。翻ってカエサル派はと言うと広大な地方にある部隊を移送中であり、完全な集結をする前に戦いとなりそうである。
実際、ポンペイウス派はアントニウスの守るメッシーナにヒット・アンド・ランをかけて撃破し、一気に兵力比がポンペイウス派に傾きつつある。
会戦においても微妙に戦術的に有利なカードを出してきたりして、出血を強いさせられる。
こうなるともはやカエサル派は如何にして最高司令官を討たれないかにかかっており、さらに政治的にどのようにして決着させるかという事に心血を注ぐ事になる。戦いは引き際が肝心と言うが果たしてどのように矛を収めようか。
折しもフォーラムカードは民衆派の勝利となるカードを着々と得ており、ポイントも全く問題がない。ポンペイウスもそれなりにカードを得ていたが、最後の仕上げにはローマの占領とか最高司令官がローマにいなければ入手できないフォーラムカードが多かったので、入手には至らなかった。軍隊を整備するとフォーラムカードに割く資金を喰い、フォーラムカードに予算を使ってしまうと長引く戦渦には耐えられない。終始どちらに重きを置くターンか悩まなければならない。
戦いは予想通り準備万端のポンペイウス派のイタリア攻略で幕を開けた。アントニウスとポンペイウスの会戦で戦術カードを駆使するポンペイウスがアントニウスが討ち、カエサルも撃退されローマまで占拠されてしまったが、滑り込みセーフでフォーラムカードを得ており、戦いでは敗れているものの民衆には支持され政治的な勝利宣言を出来る事となった。
いやー危なかった。
史実では一方的にも見えるローマ内戦をバランスをとるために、部将をランダム、経済的にポンペイウス側が優位という条件でカエサル派が勝利するためには「兵は拙速を尊ぶ」の言葉通りにしなければならないのだろう。
ともかく面白くプレイが出来た。相手のK氏にも好評である。
なお、上級ルールに当たるシルバールールは主だったところ以下の項目が追加になる。
- SPQRカードを2枚を上限で買える
- 同盟マーカー(緩い支配)
- 強行軍(追加費用で2スペース移動)
- 熟練兵ユニットの耐久力の向上
- 最高司令官の特殊能力の付加
- 蛮族エリア・ルールの拡張
内容を見ると興味深い項目が多いが、それほどプレイを止めてしまうような要素も見あたらないのでので、再度プレイする時にはシルバールールでプレイしたいものだ(エキスパンションではゴールドルールとなる)。
ローマ内戦は今回初めてだったが、コロンビアゲームズから積み木のローマ内戦が発売されそうで、こちらにも興味を抱かされることになった。
次はポエニ戦争かそれともスパルタクスかピュロスか。それとも...
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コメント
この記事へのコメントは終了しました。
mtjさま
ようこそ!
コメント許可制にしているので、すぐに記事に反映されないので、ややこしくなってこちらこそすいません。実は二連投されていたのは気がついていたのですが、後半の文章が違ったのでそのままとしました。どちらを削りましょうか?
なかなかコメントが付かないブログなので他の方のコメントを削るのは忍びないもので...
投稿: ぐちーず | 2009/02/05 00:19
おじゃまいたします。Caesarは私も購入してプレイする日を楽しみにしています。リプレイを読んでますます楽しみになりました。用意してある戦意昂揚本を読んじゃおうかなあ。でも順番順番。我慢我慢。(なぜ?)
投稿: mtj | 2009/02/03 22:08