5月の戦い2(戦略級ミッドウェイ)
それは1本のメールから始まった。
ゴールデンウィークは過去のプレイ歴からすると非常に低調な月間であったが、それはこの1本のメールによって例年通りになる内容かもしれなかった。
その内容とはtakobaさんからのゲームしませんかのお誘いである。氏が今年の後半には殺人的なスケジュールで仕事が襲ってくるらしく、忙殺される前にお腹一杯飯を食いたいというのだ。その辺の顛末についてはtakobaさんのブログを参照されたし。
しかし氏の家庭の事情やその他諸々の大人の事情により、それも必ずしも確約された話ではなかった。
普通のゲームサークルであればグレーな状態の出席って言うのは、プレイしたいゲームが出来るとも限らないし、そもそも対戦すらおぼつかないかもしれない。
ところがスーパーフレキシビリティーな当会ではどうにでもなる。他の大所帯のサークルに比べてはるかに小回りが利くのだ。なんだったら他のサークルに合流することもいとも簡単だ。
と言うわけで、takobaさんには気軽にお越しくださいというメッセージを送り、戦いの準備を進める。
今回もtakobaさんのプレイ希望を大幅に尊重し、以下のゲームをプレイする事が出来た。
- 戦略級ミッドウェイ
- サブマリン(AH)
- マーケットガーデン作戦(CMJ)
戦略級ミッドウェイ(takobaオリジナル)
takobaさんと言えば現在サンセットゲームズで発売予定にあがっている帝海第3艦隊のデザイナーであると同時に、ブログ「しゅみのしみゅれーしょんげーむ」のオーナーでもあられる。そのブログ上で、帝海第3艦隊のデザイン/デバッグ状況はうかがい知ることが出来るが、同時に戦略級でプレイするミッドウェイ海戦をモチーフにした1942年キャンペーンの構想を披露され、それが形になりつつあるのが本作である。
帝海がソロモン海域の空母戦を作戦~戦術レベルで再現するのに対し、戦略級ミッドウェイは戦略規模で再現する。当然戦術的にシフトしている帝海に比べてはるかにプレイアブルである(比較の話で)。もちろん戦術的なテイストはオミットされているが、それは戦略級ゲームかつスモールサイズのゲームゆえであり問題ではない。
さて、ゲームは未だ発展途上であるのでシステムは概略に触れるに留めたい。
まずユニットは主力艦は戦隊レベル、巡洋艦以下の補助艦艇はまとめてユニット化されている。
各ターンに活性化チットを配布され、それをターン毎の制限内で艦隊を編成して行動させるというもの。
マップはマドラスから真珠湾、ダッチハーバーからヌーメアまでという広大な戦域をA3サイズ大の1マップでミディアムヘックスサイズで埋め尽くす。
戦闘はいわゆるダイスパワーというもので、活性化チットにダイスの目修正が載っていたりして、個々の戦闘に影響を及ぼす。活性化チットの中には奇襲というパラメーターが付くものもあり、これは普段同時解決の戦闘を先攻後攻に分けて処理するもので、チットの巡り合わせや投入のポイントによってはまさしくミッドウェイが再現されるわけだ。ミッドウェイが起きるゲームではなくミッドウェイを起こすゲームだっているところが面白いと感じ入った次第だ。
プレイは筆者が連合軍、K氏が日本軍をプレイした。
序盤のプレイは日本軍の圧倒的な攻勢をあらわすためにおおよその定石が必要で、当時と同じく綿密な行動計画に乗っ取っておこなわれる。当時の計画は躓いてはならない結構シビアな内容で、唯一比島攻略のみが想定外の展開になったが、本ゲームではたくさんある攻勢ポイントの1つとして無難に終了した。
唯一史実と違ったのはシンガポールの陥落がならなかった点だ。比島の代わりにシンガポールがというわけで連合軍としては一興だ。
連合軍は有力な抵抗部隊は序盤の攻撃で四散してしまったが、英東洋艦隊は反撃をかけるべく虎視眈々と狙っていた。なんと言っても戦艦2ユニット空母2ユニットというちょっとした艦隊だからだ。英軍も専用のチットが与えられていて、補給切れにならない限り供給される。聯合艦隊が本気でインド洋作戦を仕掛ける前に有効に使っておきたいと考えるのは自然な流れだろう。しかも眼前には未だ抵抗しているシンガポールがあるではないか。尻尾を巻いて逃げ帰ったマ将軍とは違うところを見せつけてやりたいものだ。
シンガポールが陥落しないと言うことは、必然的にビルマも攻略できず、インドへの道も閉ざされる。
話は前後するが、本ゲームの勝利条件はチットを引いて内容を決定する。内容は攻勢側の日本軍が達成しなければならない内容が書かれている。例えばミッドウェーを攻略するとかダッチハーバーとか。空母を沈めるというものもある。連合軍はこのゲームの勝利条件を把握し、かつ反撃をかけ日本軍の攻勢を頓挫させるのが目的だ。
日本軍は真の勝利条件を探りながら攻勢をかけるが、地点を攻略するものはほとんどがマップ端に存在し、あさっての方を攻略しているかもしれないという危険性も存在する。
ちなみに今回の勝利条件はインドのマドラスを攻略すると言うことで、懐かしの世界史のボンベイ、マドラス、カルカッタの名前を思い浮かべた。思い浮かべて連呼してもなんにもならないんですけど。
takoba氏のブログにもあるように、日本軍はシンガポールで躓きながらも、南遣艦隊、南雲機動部隊を投入するゴージャスな攻勢でシンガポールから反撃を企む英東洋艦隊を撃破し、シンガポールを攻略達成した。このままいくと残存の戦艦部隊を掃討するためビルマ→カルカッタ→コロンボというボンベイルートにのってしまう恐れがあった。
大東亜は広い。ボンベイから目を逸らせるためには、東側、すなわち中部太平洋で攻勢に出たり、アリューシャン等の北東方面で攻勢に出るのが良いだろう。
史実ではソロモンで大バトルが繰り広げられたわけだが、トラックに有力な聯合艦隊と軽空母群が存在していたので、固守兵力以外は送り込めていないのと、反撃戦力たる空母が揃っていないのと、活性化チットが空母1隻しか活性化できないチットしか手元にないので、ゲリラ的な攻撃しかできない。
米軍のサドンデス勝利条件として、例えば本土やトラック島などの重要拠点がある。これらは米軍の策源地からは遠くはない場所に存在し、1クッションを置けば充分に狙える距離だ。不注意な日本軍なら、前線に兵力を送り込みすぎてあたかもドーリットルの東京急襲のように攻撃されてしまうかもしれない。
ボンベイが危機に瀕している今、必要なのは日本軍にMI作戦を決断させるべく行動することと言うことで、執拗にトラック周辺、アリューシャンで活動を開始する。
トラックの外郭エリアとしてウェーク、マーシャル、ギルバートが存在し、日本軍の航空兵力が守りを固めている。本ゲームでは陸上ユニットと空母ユニットのみがエリアの支配を出来るので、空母部隊の急襲でエリアを奪うことが可能なのだ。上手いこといけば攻略に成功し、その後の戦略配置で航空ユニットや陸上ユニット、あるいは打撃戦力を置く事が出来ればトラックを狙うことも夢ではない。
構想としてはトラック攻略を餌に空母部隊を吊り出して、空母活性化の奇襲チットで先制攻撃で正規空母を葬り去りたいところだ。
しかし、そうはいってもチットの巡り合わせであったり、攻撃が順調にいかないと言うこともあって、単なる嫌がらせの域を出ない。気の迷いでアリューシャンから大湊エリアを狙うべく兵力を移動させたがこれは愚策だった。単なる兵力の分散にしか過ぎなかった。
しかし何度も何度もマーシャルやウェークに仕掛けてくると、日本軍も後門の狼を追い払った今前面の虎に兵力を差し向けるのは自然な流れ。
ようやくマーシャルをわがものとし、攻撃の算段がついた頃には南雲部隊のほとんどがトラックに集結済み。
しかし!
われには奇襲チットがある。空母部隊をかき集めて乾坤一擲の一撃を食らわせればミッドウェイと同じく日本空母を1隻でも海の底へ送り込むことが出来るだろう。
だが!乾坤一擲の奇襲作戦もダイスが震わなければ何ともならない。1打撃を与えることもなくマリアナの七面鳥のようにバタバタ落とされる米軍機(脳内で)。奇襲かけた側が成果無しとはどういう事よ。
米軍の攻撃をやり過ごした日本軍が反撃に出る。ミートボールを描いた大軍は雲霞のごとく押し寄せ、あっと言う間に米空母に火の手が上がる。
ああ!ヨークタウンが!
ああサラトガがっ!
総員退避!
というわけで、日本軍が凶暴になってきたので終了しました。
負けてしまいましたけど、キラリと光るものが垣間見えました。作戦級好きな人は面白くプレイできるのではないでしょうか。戦略級~作戦級がメインターゲットのK氏は面白いって言っていました。
takobaさん、またプレイさせてください。
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コメント
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こちらこそお世話になりました。GDWの1942が陸視点だったのですが、本作は海視点で日本軍の暴れっぷりと米軍の反撃をいつどこでどのように仕掛けるか組み立てるのが面白いと思います。思ったより短時間でプレイできるので驚いています。
投稿: ぐちーず | 2009/06/07 19:12
お世話になりました。
今度はテスト結果を反映した完全版で是非お相手ください。
いや、まだ完全版になるには早いかなあ??
投稿: takoba39714 | 2009/06/03 21:42