5月の戦い3(サブマリン)
以前、ゲームをした時に空戦をテーマにしたゲームが何故、流行らないのか?あるいは魅力はなんだろうか?と言うことを話し合ったことがあった。
その時面白さの例えとしてキャプテン翼など漫画を類例に上げて魅力を語り合っていた。もちろん、メカを主題に扱ったゲームって言うのはそれなりにメカに対する知識などを要求されたり敷居が高かったりする。
その話し合い(飲み会)で空戦ゲーム、エア・フォースとかエアスペの魅力を語っていたtakoba氏が海戦ゲームの話題へ移った時、海戦ゲームは戦術にシフトしたゲームが多いと言う中で潜水艦のゲームもあるよって言う流れになった。
その時ただ合いの手を入れる一方だったK氏の目が光った!
「潜水艦って海の下に潜っているじゃあないですか?それってどうやってプレイするのですか?」
「じゃあAHからサブマリンって言うゲームがありますので、どういうゲームか今度プレイしましょうよ。」
「それはいいですね。是非プレイしましょう。」
と言うわけでついこの間まで大空を舞っていたかと思うと海と海の下の戦いになるとは誰が想定しただろうか?
潜水艦。数ある軍用艦艇の中でこれほどメジャーな存在もない。
「え?」
って思われるかもしれないけど、世間一般的に戦艦・空母っていう大型艦に比べると地味な印象を持つが、気が付けば戦争を左右するような戦略兵器にまでなってしまった。それだけではなくやはり映画等で取り上げられているって言うのが大きいのでしょう。映画なんかでは「潜水艦映画にハズレ無し」って言われるほど面白い作品が多いようです。本当かよっ!って言うツッコミはナシで。
ゲームの世界ではこれまた冷遇されているテーマと言えばテーマです。なんと言っても潜水艦を扱ったゲームは!と問われると空戦のゲームより出てくるタイトルは圧倒的に少ないのではないでしょうか?
もちろんそう言う状態をさして「間違っとる!」とか「だからウォーゲーマーは!」などと言うつもりは毛頭ありません。戦いが地味である上にセミブラインドであるために「見え」にくい状況、戦術戦ゲームにありがちな細かさ、楽しみ方等々難しい事情があるゆえなのでしょう。それにしても潜水艦というのは魅力のあるテーマです。空戦と同じく末永くプレイされ続けるでしょう。
今回はサブマリンというアバロンヒルという会社が発売したゲームでかなーり古いゲームだ。持ちゲームでは無いので出版年度はわからないが、多分筆者よりもオジサンだ。
潜水艦は当然水面下であるので、マップ上には配置されず、ログシート上を移動する。もちろん見つかってしまえばマップ上に配置されるが、今回のシナリオは夜間と言うことでレーダーによる捕捉は重要だ。
プレイでは最初から潜水艦を扱えるワケのない我らが帝国海軍を担当し、松型駆逐艦の榎を筆者が、海防艦2隻佐渡、久米をK氏が担当した。対する米軍はtakoba氏がガトー級潜水艦ハーダーを受け持った。
わが部隊は筆者の榎を頭に2隻の海防艦を従えている。榎にはソナーがついているが、海防艦2隻には付いていない設定である。よって榎がハーダーを探知し、海防艦2隻で爆雷攻撃で敵潜攻撃をする図式である。言ってみれば主人と猟犬の関係で、筆者が主人で猟犬がK氏なのだ。
初期配置の状況より、わが榎は敵潜水艦と近い位置に配置されているらしい。猟犬2匹は離れたところにいて、実は危ない状況かもしれない。
設定では駆逐艦松級の榎はソナーの他に爆雷も備え付けられているので、単艦でもハーダーに対して攻撃が可能だ。しかしソナーは艦首より前方60度にしか効力を発揮しないので、顔が向いている方向しかモノが見えない。と、言うことは視界外の真隣に存在していたとしても全くその存在すら掴めない。また、水上艦との戦いとは違い潜水艦との戦いは異色で、真横あるいは真後方にしか爆雷を落とせず、しかもその爆雷の爆発させる深度を決定しなければならない。場所と深度がドンピシャリだとそれこそ撃沈は叶うが、それかがズレていると損害すら与えられない。
と言うわけで、榎はおそらくは反航状態となっているであろうからある地点で旋回し、ハーダーの後方に回り込むイメージで行動しなければならない。
初期配置で真横や真後方に配置されている危険性もあるので、とりあえず爆雷を投射・投下する。真後方には5個までの爆雷を投下できるが、金魚の糞のように連なっているためあたかもボンバーマンのようである。
「とーりかーじ!」
筆者が高らかに宣言する。この舵を切る瞬間ていうのが緊張する一瞬なのだが、何故か味方海防艦から意見具申の通信が。
「ナゼニトリカジカ?オモカジガ コノジテンデハ テキトウナリヤ?」
なんと取舵ではソナーでカバーするタイミングが遅れる上にタイミングが悪いから何でやねんというツッコミである。しかし自分は指揮官である。
返電
「キカンハ ジカンノセキムヲ マットウサレタシ 」
即返信
「リクニ ムカッテ カジヲキルハ テキトウナラズ」
いちいちうるさい部下である。ゴチャゴチャ言わずこっちが見つけた海面に爆雷を落とせばいいんだよ!と気色ばみながらも艦隊は集結を始める。
構想としてはトライアングルに散っている艦隊を集結させて予定海面で探知すると、挟み込みで爆雷を落とす算段である。
しかし深海に潜んであるであろうハーダーはそんなに簡単に見つからず、焦燥感が我らを包む。
「モシカシテ テキセンハ スイジョウヲ コウコウセシカ」
「ナラバ デンタンデ タンチサレタシ」
ピキーン!レーダーに何かが引っかかった!
「敵艦発見!」
色めき立つ日本艦隊。さっそく海防艦たちも押っ取り刀で駆けつける。
次に接触を試みる時には潜水艦ハーダーは潜航を開始しだした。潜望鏡深度からさらに深くなると姿は消え、ここからは仮装の航路を思い浮かべながら捜索と攻撃を繰り返す。心理を読み合う推理戦となり、緊張が部屋を覆い隠す。
電探に感あり!深度150!
見つけた!と喜んではいけない。この見つけた時点の情報というのは実は過去の時点の情報で、実際攻撃をかける時は未来位置に対して攻撃をかけなければならない。
が、それが見つけた深度に対して沈みやすいが浮きにくいという潜水艦の行動パターン、水中ではそれほど動けないと言うことを頭に置いて上の深度なのか下の深い位置なのか推理しなければならない。
K氏の爆雷攻撃が始まった。ぶっちぎりのサディストぶりを発揮!まるで囲い込むようにバラまいたか!と思ったら次は強弱をつけつつポイント責め!そうか責めるっていうのはこんなにバリエーションがあるのかと感心するほど多彩な攻め方だ。なぜか横顔が拷問をする悪代官のようだ。
まるで責めているのを楽しんでいるではないか!
ともかく当たっているかどうかはよくわからない。しかしtakobaさんの時々「うん!」とか反応があることからも某かの成果は上がっているようである。
確かめる術はない。結果として重油の帯とかコルク栓とかが浮いてきたら我々の勝利、そうでなければ演習をしているだけということだ。
そんなK氏の責め技を傍観している時に遂に来るべき時がやってきた。
潜航中の潜水艦は水上艦艇に比べて超微速だが、潜水艦からの攻撃を受けないためにも水上艦は速度を上げたり下げたり転舵したりしてタイミングを捕らせないようにしている。と言うことは追い抜いてしまう可能性もあるわけで、潜水艦の舵の切り方によってはソナーの探知範囲に逃れてしまう可能性がある。そうなるともはや1からやり直しである。
それが今現実になってしまったのだ。takobaさんのハーダーは我が艦のソナー探知範囲から逃れて、深く暗い海の底へと姿を消した。
またもや意見具申である。
「オオハバニ キョリヲハナシテ サイタンチスベキトミトム」
ええいわかっとるっちゅうねん。
「キカンハ イチイチクチヲ ハサマズ タイセイヲトトノエ ジゴノメイレイヲマテ」
全速力で戦場を離れ、やや速度を落として回頭を始めた。
「ヤヤ ソウキュウニカジヲ キリスギトミトム」
またや!いちいちわが艦の行動にケチをつけてくる。
「キカンコソ ボサットシテ ライゲキノエジキニナラヌヨウ ケイカイヲミツニセヨ」
敵潜の目的はおそらくは榎に反撃をかけて撃沈し、サドンデス勝利を目指すことだろう。そうでなければハーダーは勝利条件の盤外突破は既に達成できなくなり敗北を認めることになる。
と言うことで海域を離れて転舵するのにはあまり大回り過ぎると、敵に横腹を晒す時間が多くなり、必殺の魚雷攻撃をするための時間を与えてしまうことになる。標定される時間を短くすると少なくとも魚雷に当たる公算が減るということで、最大戦速でソナー探知予定地点まで辿り着き、攻撃の暇を与えることなく爆雷攻撃再開を目指す。
しかし、ソナー探知予定地到着直前に大事件が!
「左舷!雷跡2本!!」
takobaさんによると無標準でぶっ放したモノが今まさに当たろうとしている!日本艦の中でも沈みにくいシフトエンジン配置方式の本艦といえども2本もの魚雷が船体に突き刺さると生還は難しい。
沸き立つ米軍。
「なんや言わんこっちゃ無い。」
味方とは思えぬ言葉をかけるK氏。
絶体絶命の状況である。ハーダーを追い詰めながらサドンデスの寸前だ。窮鼠猫を噛むという言葉を噛み締めながら筆者は冷静に自艦に命令を下した。
「面舵一杯!」
「おーもかーじ いーそげー!」
船体をくねらせながら舵を切る。
誰もが魚雷が命中するかと思われたが、ダイスチェックに成功し魚雷は1本回避し、1本着弾することになった。
轟沈は免れたようだ。「損害知らせ!」
幸い当たった魚雷は致命傷にならず小破となった。
なんという幸運。半分の確率で轟沈だったと知らされて戦慄を覚えた。
ハーダーの乾坤一擲の反撃は榎の神業ともいうべき回避、神のご加護かという幸運によりサドンデスを逃れることが出来た。この時点でハーダーの勝利はなくなったので日本軍の勝利と言えるが、無標準のショットとは言え敵潜に魚雷攻撃を受けたのは色々と示唆にとも対戦だった。
空戦に続き潜水艦戦という戦いをプレイできたことに自身のプレイの幅が広がったことに嬉しく思う。これもtakobaさんが演出してくれからでもあり大変感謝したい。
陸戦とは違うスリルを体験でき非常に面白かった。今回のようにまた派手な展開も珍しいのでぜひ次は潜水艦側でプレイしたいとも思った。
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コメント
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attsu_ichiさん
はじめまして!
そしてようこそ!
シナリオは「豊後水道ピート」らしいです。takobaさんの持ちゲームでインストもしていただいたので多分そうだと思います。
>ゲーム開始直後が一番危ないんです。
そーなんです。記事では端折っていますが、めっちゃ怖かったのでバカスカ適当に爆雷を放り込みながらスタートしてしまいました。
>21型Uボート
あーやっぱり強烈な潜水艦なんですね。くわばらくわばら。
今後とも弊ブログをよろしくお願いいたします。
投稿: ぐちーず | 2009/06/08 21:44
もりつちさん
どーもです。
21型?思わず明灰白色の艦戦かと思いましたよ(笑)。電気Uボートっすね。そんなん出てきたらえぐいなー。あれってシナリオ化するほどそんなに戦歴ありましたっけ?
投稿: ぐちーず | 2009/06/08 21:39
はじめまして、パタケウチ8世さんのコメントに出てきたattsu_ichiです。
実に懐かしいゲームですねぇ。私が初めて買ったWGもサブマリンでした。
パタケウチ氏とは、若かりし頃、PQ17他、数回対戦しましたよ。
ところで、このシナリオは「豊後水道ピート」ですか?無照準雷撃とありますから、上級ルールのようですね。
私も経験がありますが、水上艦側にとっては、ゲーム開始直後が一番危ないんです。敵潜がいきなり至近にいたりしますから。
21型Uボートのシナリオも一度だけプレイしたことがありますが・・・捕まえるのが一苦労です。速いのなんの。その上、音響回送魚雷をボカスカ撃ってくるし・・・駆逐艦3隻がかりで返り討ちに会いました(~_~;)
投稿: attsu_ichi | 2009/06/08 21:03
私も学生時代に本作は結構プレイしました。
お奨めは英コルベットのフラワー級。
なんと浮上中のUボートに砲戦挑んで返り討ちに会うほど弱いです。
あと21型Uボートも面白いです。
一度21型を使って相手プレイヤーに
「敵は2隻いるのか・・・」
と言わしめた時は快感でした。
(結局は撃沈されてしまいましたが)
投稿: もりつち | 2009/06/08 01:01
パタケウチ8世さん
はじめまして!そしてようこそ!
いやー皆さんそうなんですよねー!?かなり前にプレイされた方が多いみたいですね。20年前と言えばまだこのゲームの存在すら知らないウブな高校生だった僕は今頃プレイしてヘックスがメチャメチャ小さくて驚いたり。駆逐艦はともかくコルベットが無傷では唖然としちゃいますね。僕の場合は撃った方でなくて撃たれた方だったので思わず天佑神助を実感しちゃいました。
今後とも弊ブログをよろしくお願いいたします。
投稿: ぐちーず | 2009/06/07 23:24
はじめまして。
いやー懐かしい。
わたしも二十数年前にattsu_ichi氏と対戦したことがあります。
そのときはUボートを駆って輸送船団を襲撃したのですがフラワー級コルベットに反撃を加え、見事魚雷を命中させたのにもかかわらず今回のように「小破、戦闘に支障無し!」の結果に唖然としました。
いくら何でも不発ならともかくコルベットなんぞ魚雷が爆発したらどこに当たっても沈没だろ!とデザイナーにブーたれてました。
投稿: パタケウチ8世 | 2009/06/07 22:50