7月の戦い
最近はゲームをプレイするとパワーが落ちる~とか言っていたK氏が電話をかけてきた。とは言え筆者の方が仕事が忙しくなってきて、果たして指定された日にゲームができるかどうかわからない状態になりつつあった。
日頃の行いが良いせいか、何とか行けるようになったが当然のことながら大した準備ができるわけもなく取りあえずルールに目を通していたり、ゲームできる準備が整っているモノを複数個準備して当日を迎えた。おおよそ良くある用意された候補の中から選んでもらうと言う方式だが、これはこれでゲームジャンルや難易度のバランスがとれて来るので好みの方式だと言える。例えば東部戦線が続いたらスワスチカを避けたり、戦術級が続いたら射程のないゲームにしたり等々。
と言うわけで今回は戦術級が続いたと言う事もあって、複数個ゲームを持って行く筆者のセレクトも必然的に作戦級が占め、最終決定をするK氏のチョイスもそれに準じた決定になっている。
当日プレイされたゲームは以下の通りであった。
- The Finnish Front, 1941-42(DG WAW5)
- WATERLOO 20(Victory Point Games)
The Finnish Front, 1941-42はDG社の新ウォーゲーム雑誌Warld at War誌の付録ゲームでフィンランドでの戦いをシミュレートしている。
WATERLOO 20は過去にプレイしたCAESAR XLの出版元であるVPG社の人気のアイテムで関東圏のプレイ報告でもちょくちょく見られるアイテムだ。題名のごとくナポレオニックのワーテルロー会戦を作戦級でシミュレートする。
The Finnish Front, 1941-42(DG WAW5)
K氏が選んだのは東部戦線の中でもいわゆる極北の戦いだ。そう言えば一度銀狐作戦を扱った作戦級をプレイしたね~と言ったら「え?そうやったっけ?」と記憶のないK氏。
ともかく本ゲームではチット方式でアクティブにする作戦級と言えばおおよその感じは掴めるかと思う。例によって枢軸側のチットには数フォーメーションを活性化できるチットがあり、指揮統制上の優位性をあらわしているという。さらにフィンランド軍には前進限界ラインが存在し、あるところまでは突き合ってくれるが最後の大事な一押しはドイツ軍独力でやらねばならないという制限がある。
ソ連軍と言えばそう言う連係プレイができるわけでもなく、枢軸軍の攻勢を受け止めると言う事になっているが、フィンランドの首都ヘルシンキに兵を進める事ができればサドンデスである。
ダイスの目でまたもや筆者がソ連軍となった。
ゲームの勝敗はソ連が大戦前のソ・フィン戦争で奪い取った地を奪回/確保するというのと、ソ連領/フィンランド領の都市を制圧すると言う事、ムルマンスクに通ずる鉄道線を遮断するなどがあり、ソ・フィン戦争で奪い取った地を奪回/確保するのがおおよその勝敗ラインになろうかと思われた。
初期配置はソ連軍が先に配置する。それを見て枢軸軍は配備できるとは言っても補給が道路や鉄道を中心にしか広がらないのでビックリするほど大胆な配置ができるわけでもない。ソ連軍は方面軍直轄的に部隊が存在するのでそれら部隊を集中的に配備する事で重点を形成できるが、他の軍とは共同攻撃ができないのであまりメリットがないと言えば無い。
ソ連軍は旧フィンランド領の確保を狙うために重畳的に配備する。このゲームでは補給線の確認は戦闘解決前に確認するので、浸透攻撃が可能な枢軸軍はそれを利用して攻撃する。さらにマストアタックと言う事を忘れてはならない。
プレイはドイツ軍の攻撃から始まった。序盤、王道とは行かないがムルマンスクに対する攻勢から始まった。しかしこの攻撃は敵ソ連軍の戦力を見誤った過早な攻撃であって、次々と失敗し序盤の攻勢は失敗してしまったようだ。
続くサラ・カステンガ方面の攻撃も思わしいものではなく、それに引き続き行われたカレリア方面での攻勢もほとんどが失敗し、先行きが怪しくなってきた。
しかしそれは序盤の話であって、態勢と対応を整えた枢軸軍はあっと言う間にサラを突破し、全域にわたってソ連軍に打撃を与えるようになってきた。浸透攻撃、迂回攻撃を多用した枢軸軍の攻撃は気が付けば銀狐作戦が成功し、目標とするムルマンスク鉄道の遮断にも成功した。が、フィンランド軍はそこまでは到達できず、その後の攻勢は山岳師団を主力とするドイツ軍のみで行わなければならない。
政治的な状況によって戦力を展開できず、側背の援護が希薄となるこの瞬間がソ連軍にとっての狙い目と言えるが、残念ながらそれを突くべく兵力はない。もはや指をくわえて黙って見過ごすみるのみだ。
戦力比的には拮抗していた南部のソ連軍はカレリヤ地方において枢軸軍の部隊を逆襲し、これをほとんど後退させたりして圧力をかけてた。もちろん序盤から接敵したりして嫌がらせ的な仕掛けをしていたと言う事もあるが、流石に似たような戦力にあると消耗を開始し、次第に戦線らしきものがあって無いようになる。
この地点で結果的に突出する形になったり、孤立する形になったフィンランド軍に対して包囲撃砕の状況が生まれたが、残念ながらチットの巡りはフィンランド軍に歩があり、増援と逆襲によって危機の芽を摘み取られ、逆に消耗した戦線に分厚い兵力を当てられ自らが窮するという結果になった。
このラドガ湖畔の逆転劇を契機として北部枢軸軍有利、南部ソ連軍有利の図式が崩れ、戦線全域においてソ連軍は弱体化しラドガ~オネガ湖畔で枢軸軍の突破を許す事となった。ソ連軍が枢軸軍に対して優越していた唯一の条件だった冬戦争での占領地の確保だが、その最後の砦だったラドガ湖畔~オネガ湖畔の確保が難しくなってきたので枢軸軍作戦的勝利でお開きとなった。
継続戦争を扱ったゲームは多くない。このゲームのように全域となると更に少ない。チットアクティブ、マストアタックというそう珍しくない組み合わせだが、やはりチットの巡り合わせにおいては驚きの結果にもなる事があるのだろう。筆者が特にソ連軍で感じたのは枢軸軍側のチットが多く感じられて、常に先回られ何もしないうちに消え去ったと言う印象が大きい。ともあれ初プレイと言う事もあって多分に何らかのミステイクも内包するので続報を待ちたい。
WATERLOO 20(Victory Point Games)
思ったより時間が余ってしまったので、2ゲーム目をプレイする事になった。本作はワーテルロー会戦を作戦級でプレイする小品だ。ワーテルロー会戦と言えば過去より多くのゲームがデザインされ語り尽くされてきたが、作戦級となるとグンと数が減る。もちろんCOAやOSGから類似のテーマはあるにあるのだが、入手性を考えると今一番手に入れやすいワーテルロー会戦作戦級かもしれない。そう言えば同社のナポレオニック20シリーズは気が付けば7作を数えるまでもなっている。よく考えればご当地テーマが仮装戦もののクライシス2020ぐらいしか見あたらないって言うのも不思議なメーカー(と言って良いのかは別として)だ。
さて、このゲームはコマ数20、カード有り、マストアタックというお馴染みのシステムが散りばめられている。果たしてこう言うようなゲームの場合先んじて側面に躍り出れれば、低比率であっても敵の撃破が叶うのでそう言う機動を求められる。
このゲームで面白いのは軍士気を設定してあって、それをダイスブースターであったり、強行軍にもちいたりと修正の選択に自由度が高いと言う事だろう。
プレイでは筆者が珍しくフランス軍を、K氏がフランスの敵軍を受け持つ事になった。カードは相変わらずロクなものが来ず、シャッフルし直しとか何で俺だけみたいなカードがやってくる。
展開的には序盤の攻撃で痛恨の失敗をやらかし、連合軍の反撃を喰らって見る見るうちに軍士気が枯渇し、あとは連合軍の言いようにイニシアチブを握られてしまった。結果は当然のことながらフランス軍の敗北。
過早な軍士気の利用はいけないのだろうか?いや様々な検討を試みたが、序盤に勝利する事が重要であるので、ケチるのは良くないのでは?と言う結論だった。いやもっと大きな問題もあって、様々なゲームの影響か親衛軍団の投入をためらっていたのも問題であろう。
ともかく初プレイで何やら情けない結果に終わったが、ほんの少しだけのプレイで本ゲームの小さいなりの割に奥が深い事がわかった。もう少し繰り返しプレイしたいものだ。何となくこのゲームが繰り返しプレイされている理由がわかったような気がする。
割と気軽にプレイできるのでガッツリと繰り返しプレイやゲームとゲームの合間や時間が余った時などにも充分楽しめるのでこのシリーズは人気があるのかな。
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