10月の戦い2009
気がつけば10月。先月はゲームプレイらしいことは何もなく、ゲームそのものにも触っていなかったのでコマンドマガジン89号が突如としてやって来て、ゲームに触れるのが1ヶ月空白であることに気がついた。
他のウォーゲーマーに比べてウォーゲームに充てている時間がかなり少ない筆者の場合、気がつけば今回のように1ヶ月何もすることもなく終了と言うことが発生してしまうことがある。
以前たかさわさんのブログ「ウォーゲームだもの」にある記事で、
(正しく申し上げるならば僕は自分を「ウォーゲーマーではない」と思うときがあるのですが、今回その話は割愛します)
という件を読んで、もしかしたら僕も同じなのかもしれないなあと言う思いでドキッとしてしまった(詳細がわからないので同じではないかもしれませんが)。
それはともかく、久しぶりにウォーゲームをプレイする事にした。なんと言ってもプレイのトリガーとなったのは関西では飽きたらず関東まで縦横無尽に活躍されているtakoba氏からのお誘いで、関ヶ原で関ヶ原のゲーム会を開催するぞと言う通知があったからだ。
関ヶ原で関ヶ原のゲーム会は筆者がtakobaさんともりつちさんと初めてゲームをプレイした記念すべき会合である。今回も関ヶ原でゲーム会をプレイするきっかけとなったのは、国内ゲーム各社による関ヶ原戦役のゲーム競作にあるだろう。
前回の関ヶ原での関ヶ原ゲーム会ではコマンド誌の「天下強奪」がプレイされたが、今回はコマンド誌のWGJ3号「関ヶ原戦役」、ゲームジャーナル誌「関ヶ原大作戦」「入札級関ヶ原」のいずれか、あるいは「天下強奪」「決戦!関ヶ原」「関ヶ原強襲」「戦略級関ヶ原」「関ヶ原」「激闘関ヶ原」がプレイされるのであろう。
特にtakobaさんのブログを見るとWGJ3号「関ヶ原戦役」がお気に入りのようである。こちらとしても一戦はこのゲームがあたるモノとして考え、このゲームをメインに据え、感覚を掴むためにもプレイする事にした。さすがに1日で関ヶ原のゲームを2種類以上インストしながらプレイするのは無理なので他のゲームとあわせてプレイする事にした。
関ヶ原戦役(WGJ3号)CMJ
WGJはウォーゲームジャパンの略で、正式にはウォーゲーム日本史と言うらしい。コマンドマガジンの姉妹誌という事で季刊発行で日本史の戦いをテーマにシンプルでプレイアブルなゲームを付録として発行してる。既に本号で3号目となり、次号は忠臣蔵らしい。
日本史だけをコマンド誌から分離して別雑誌にするのは人的リソース的にどうよと言う気がしないでもないが、一応本誌の方も水準を落とさず発行が続いているようなので意外とうまいこと回っているのかもしれない。
よく考えてみれば同じように姉妹誌ダブルチャージを出していた頃と今の編集部とは人数から陣容が違いますね。増員した結果余力が生まれたのだろうか。
そう言えば海の向こうのデジションゲームズもS&Tの他にWAW誌などという二次大戦モノ専門のゲーム付き雑誌を出していますが、こっちも(質的にどうとかはわかりませんが)うまく回っているようですが、日本と同じくオリジナルゲームが不足していて付録ゲームのネタがそろそろ枯渇するとかどうとかと言うまことしやかな噂があったと思いますが、これはどこへ行ったのでしょうか?改善されたのかな?
話を元に戻して、本作はゲームジャーナル誌で信長包囲戦というゲームで卓越した手腕を魅せた池田氏によるデザインです。池田氏が本作をデザインすると聞いて興味を持った方も多いのではないのでしょうか?
かくいう筆者も興味を持った口です。複雑怪奇な関ヶ原の戦いをどのように表現してくれたのか気になる所です。おそらくは信長包囲戦のようにあっと言わせてくれることだろうと。
さて、ゲームは一方的な筆者による「お前は西軍が好きやから西軍やれ、東軍は俺がやる」宣言をもってゲームは始まった。
ゲームは背後に西軍の上杉氏を抱える徳川氏の行動をどうするかから始まった。徳川氏は家康本隊と秀忠隊に別れていて、それぞれ西進するために待機している状態だった。家康は上杉氏と対峙し後に東海道を下る予定で、秀忠は中山道の真田氏と対峙していた。江戸に隣接する常陸には不安定勢力の佐竹氏が存在し、前線に徳川軍が出られないように牽制している.。敵前から撤退し、別方面に戦力を振り向ける難しい戦いだ。
家康が上杉への仕置きを手につけず西進してしまった場合、サドンデス条件である江戸が危機にさらされる可能性があり、かといって上杉征伐とばかりに深入りしてしまうと、まさしく石田三成の狙い通りに上杉と三成率いる東上西軍との挟撃になってしまう可能性がある。
そこで家康は軽く戦って打撃を与え、結城秀康に後を任せる事とした。先制して打撃を与えてから戦力の縦深を失わせてから、分派した牽制部隊で釘付けにするのだ。
しかし上杉景勝と徳川家康はそれぞれの主将をサポートする家臣のおかげで、五分の勢力であり簡単に打ち破れることはない。心のどこかによもやの大勝利を思い浮かべてしまったのか軽い戦いのつもりが第一次大戦の西部戦線もかくやという消耗戦に。幸いユニット消耗型のCRTではないので後退するだけだがそれはそれで集結のためにポイントを費やさなければならないので拙いことになってしまった。
秀忠隊と言えば上田の真田へと雪崩れ込むのが史実に即した動きだが、とてつもなく戦闘力の高い真田昌幸に躊躇して攻め込めず。合戦は戦闘力差であるのでどう考えても必勝の算段が立たないのだ。
東海筋を西進する東軍先鋒部隊は関西の諸将を少しでも救援するために先を急ぐ。しかし移動は4ポイントを案分しなければならないので、大軍では動きが鈍くなりその間にも伏見城などの東軍が支配する関西の拠点が落とされていた。
東軍は戦闘に於いて調略を受けたくないのか、コアメンバーと名付けている調略されない西軍メンバーを使って攻略を効率的に行っている。ここはなにがしか抵抗をして、敵の戦力を斬減するか、逃げられるだけ逃げて固まるかの方法があるが残念ながら敵の魔手は手早く背後からの逃げ止めもぬかりない。
takobaさんの所では九州の動向チェックで、ズタボロになったという極端な例もあったが、こっちでは全くと言って良いほど効果が現れず、それを良いことに九州の島津や小西が元気に動き回っていた。
関西地方と関ヶ原を席巻されると、このゲームでは豊臣秀頼が出陣してしまうので、大変拙いことになってしまう。どんなに拙いというとどのゲームでも大抵秀頼が出陣してしまったら、去就のハッキリしない人が旗幟鮮明になったり、東軍だった人があたかも小早川のようにコロッと旗色を替えたりする。とりあえずどのゲームでもキラーイベントだと言えるだろう。
このゲームでも同じである。最初からあるいはイベントとかで戦意の低い諸将は元気に動くようになるし、逆に東軍の諸将を調略できるようにもなる。さらにはカードドリブンでは命でもある取得枚数が西軍の方が多くなると言う具合だ。
史実では「御出陣」ならなかったわけだが、ゲームの世界では西軍担当プレーヤーはこれを目指す。実際どうだったかはわからないしそう言う戦況分岐が正しいと言えるかどうかはわからないが、ともかくゲーム(戦況)が面白くなるのは必定だ。
それを防ぐため東軍は様々な趣向を凝らし西軍の思惑を修正しようとする。
筆者はとりあえず前田家を使って北陸筋から圧力を加え、先に到着できた関ヶ原からは近江路から正面突破を狙う。さらには勢州から大和越えで背後に躍り出ようとも考えていた。
序盤の戦いは東軍先遣部隊と、岐阜の織田秀信との戦いで、これは難なく勝利を収めることができたが、関ヶ原を挟んでの佐和山城との戦いは一進一退で、事もあろうに福島正則が討ち取られてしまうと言う体たらく。しかし、佐和山さえ抜けばあるいは関ヶ原さえ保持し続けさえすれば関東から押っ取り刀でやってくる徳川隊の分厚い波状攻撃で、関西を一気に突破できるだろう。
が、佐和山-関ヶ原の乱戦に勝利を収めたのは西軍の方だった。やはり武将の能力が平均して高いと言うこともあって、東海道筋を西進する秀忠隊、家康隊が到着する前に関ヶ原から東軍諸将を追い払ってしまった。
そうなれば戦況は大きく西軍側に傾いたと言っても過言ではない。頼みの前田軍は動かず関西一円は西軍に制圧され、秀頼出陣となりヤル気無しの毛利などが一気に東へ目指して動き出し、カードが増えたと言うこともあって上杉や真田までもが動き出し、越後で牽制していた堀氏を壊滅させてしまった。東西から策動する西軍への対応に追われることになった東軍はもはや有効な手を打てなくなったので西軍の勝利で幕を引くことになった。
東軍の初手から難しいなあと感じて、これは東軍の方が面白いのではないだろうかという気がした。もちろん西軍側で歴史をひっくり返すのはどのゲームでも永遠の目標みたいなものであるので西軍は西軍で面白い。しかし今までのゲームが西軍でいかに歴史をひっくり返すかと言うことが楽しみだったのが多かった中で、東軍でいかに歴史通りに収めるかと言うことも面白いんだなあと感じた。
コマンドの関ヶ原がシンプルであたかもゲームジャーナルのような感じであったので、ゲームジャーナル側の関ヶ原も非常に興味深い。もりつち氏のブログでは佳作との評であったので次回は本作が、関ヶ原の会では両ゲームがプレイされるだろう。
新選組始末記(WGJ1)CMJ
果たしてその後は、次回のゲーム会にかける意気込みや関ヶ原戦役の戦略とかを討議しつつ、さらに他の関ヶ原の話題に移った。やはり関ヶ原は日本人の誰もが知っている合戦と言っても過言ではないイベントであるので話は尽きない。やれこういうアプローチはどうだろうとか、最近の研究ではとか、果てにはどの武将が良いなあとか。
それと同じく人口に膾炙した歴史物といえば新撰組などの幕末があるだろう。K氏などは個人が光り輝いた最後の時代とよく言うが、なるほどこの時代の人間は他の時代に比べると記録がたくさん残っているということと窮屈な身分制度から脱皮しつつあったということもあって戦国時代や太平記・源平の時代などに負けず劣らずエピソディックな時代だ。
筆者の住む京都は幕末にメインステージだったということもあって、気楽に親しむ環境にある。ちょっと歩けば蛤御門であるとか寺田屋だったり、佐久間象山遭難の地なる石碑などを目にすることは容易い。あまりにも身近すぎて筆者などはあまり興味が湧かなかったが、何故か幕末後段にあたる戊辰戦争そのものには興味があったりする。
幕末の武力闘争が個人・組織間のテロ的な小規模なモノから日本を二分する内戦にエスカレートするのはゲーム化が難しいのか製品化された作品は少ない。かといって個々の事件を扱うとなると更に難しいのかほとんど見ることはない。
その中、京の市街での佐幕派と勤皇派の勢力争いを切り取った本作品は層が薄い幕末ゲームに新風を吹き込むのか、あるいは筆者の幕末熱に火をつけることができるのか。
ゲームは太平記で有名(今は英仏百年戦争のと言った方が良いか)な中嶋氏の手による本ゲームシリーズ第1弾である。太平記のとは言っても本ゲームでは太平記システムではなく、オーソドックスなエリア戦のゲームで戦闘ではユニークなチャンバラシステムを用いている。
面白いのは毎ターン陣屋と呼ばれる基地に帰還せねばならないということや、橋辻なる交差点ポイントを押さえるか押さえないかという駆け引きがある。
ユニークなチャンバラシステムとは基本戦闘力にダイスパワーだが、各人に特技・特性があり、戦いを回避できる「銃」だったり、ダイス修正する免許皆伝の達人クラスの「剣」や、死傷判定で有利な「柔」、オールキャンセラ-の「識」だったりする。それらの各人の特性と、身分、文学(移動判定などに使う)などのパラメーターが各人のキャラクター性を際立たせている。
勝敗は如何に京の町の街区を押さえるか、相手の戦力を削ぐかに焦点が当てられる。もちろん序盤は双方とも戦力が少ないので佐幕派が戦いをコントロールしやすいが、ターンが進むに従って、勤皇側に加勢する藩が多くなり、更には新撰組から勤皇派に転向する者も出てくるので、序盤から勤皇側の志士を駆逐しなければならないのだろう。
ゲームは手探り状態から始まった。
おっかなびっくりで京の町を徘徊する新撰組の隊士達。どうやら京の町に過激な長州藩や土佐藩系の志士たちが潜伏しているという。
移動は個別でも移動可能だがグループで移動するのが得策で、身分の高い者がグループを作りその文学値が有効であるので、だいたいグループの分け方は自ずからと限られてくると言えるかもしれない。
第1移動と第2移動では行ける所と距離が違い、第1移動では移動チェックを要求されるが3エリア(橋辻含む)まで移動でき、第2移動では同じく移動チェックを要求されるが2エリア(橋辻除く)だ。敵勢力がいようと町エリアは通過できるが、橋辻は進入できず、支配マーカーの置かれた町はそこで停止しなければならない。
第2移動では橋辻にいるユニットは強制的に市街地へと移動しなければならないので、橋辻の支配は2次移動での戦力配分を変化させる時に予備的な位置取りができる。
わかりにくいのは町と町がどこがどう繋がっているかは、マップ上に矢印で記されてるが、かなり細く薄いので見にくい。
プレイでの移動はこれらの特性をよくわからない状態でプレイしたので、もしかしたらルール違反な変な移動をしてしまっているかもしれない。
マップ上の機動は各出撃拠点でのある宿所から出撃し、エリアを支配・確定し宿所に戻るというのがだいたいのパターンである。宿所は所属する勢力によって帰らなければならない宿所が固定されるが、勢力によっては自由度がある者もある。
例えば佐幕派は新撰組は他の勢力の宿所が利用できたり、勤皇派には隠れ家という仮設の宿所を街に設定でき、見かけ上本来の宿所に帰還しなくできる。制限の多さからいうと諸派が入り乱れる勤皇派は帰還拠点で足を引っ張られるのと、有力な藩以外の諸派の配置に頭を悩まされるだろう。帰還拠点によっては次の展開が制限されるので、配置には気をつけたい所。
プレイではガチンコに新撰組と長州藩と諸派のグループがぶつかり、人斬り以蔵が大活躍し、いきなり死傷者続出。次々と新手が補充される佐幕派に対し、ゲリラ戦見たく分散しエリア支配に勝機を見いだす佐幕派。
しかし兵数の差は如何ともしがたく、近藤勇が御所に参内するなどすごい展開になり、佐幕派と勤王派のデスマッチはあきらかに佐幕派の消耗が激しく、止めに薩摩藩が加入してきたことによって、さらに集団リンチ状態。新撰組を追い回す勤皇志士たちというトンでもない状態になってしまったのでお開きとなった。
おそらくはルールの間違い、戦略のミスなどがあったと思われるので(心当たり多数)、改めて検証し直したく思う。ゲーム紹介にもあるエリア支配の戦略性と剣戟の戦術性を楽しめるとあるが、確かに近藤勇や沖田総司でチャンバラするのは楽しい。特に戦闘の組み合わせで各人の特性を考慮しつつ、誰を誰と戦闘させ、誰を支援に回らせるか等々このゲームの魅力だろう。
戦闘でも盛り上がる。もちろんその人物に入れ込んでいればなおだろう。戦闘解決は言ってみればダイスパワーだが、戦闘後の死傷チェックで身分の高い者は傷つきやすいが死ににくく身分の低い者は傷つきにくいが死にやすくと、ダイスパワーのあっけなさを補っている。全てのユニットに実名入り(一部架空の人物あり)で思い入れもなおさらだろう。逆にユニットのレーティングからその人物に興味を抱く場合もあるだろう。雑誌の記事やコマンドの記事でもかなりフォローされている。
キャラクター性を前面に出しつつも戦略性を失っていない所はさすがに中嶋氏の作品だが、そのシステムは従来のいわゆる太平記システムではないので意外だった。
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中嶋氏のゲームと言えば同じコマンド誌からもはや幻のシリーズとなった感のある「コマンド・ベーシック」に将門記という作品があるが、これもサイズ、難易度共にWGJに該当する作品だがよく考えればこのゲームを出版した時にはWGJという考えはなかったが、このゲームが出てからコンセプトが明確になったのではないだろうかという気がする。
さて、当日はカメラのフラッシュを忘れて写真をあまり撮れなかったので、プレイ時の写真が少なめで文字ばかりで恐縮だが、適度にボリュームのあるウォーゲームブログも少ないのでこれはこれで良いのではないかと自分を慰めてみたり。
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コメント
この記事へのコメントは終了しました。
takobaさん
当日はよろしゅうデス。
ブログで公開しているゲームは一応レディツーゴーです。
投稿: ぐちーず | 2009/11/02 13:23
開催まであと1週間をきりました。
当日はよろしくお願いします。
楽しい一日となりますよう。
投稿: takoba39714 | 2009/11/01 20:45