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2010/05/03

5月の戦い(2010年)

 何だかんだ言っても早くも5月連休。筆者のウォーゲーム関連のスケジュールは他の熱心なプレーヤーや愛好家達に比べて緩慢かもしれない。特にブログにいたっては更新頻度が頻繁でないので自称隔週更新ブロガーなどと言っている。
 そんな筆者といえどもGWといえばウキウキするもので、さて何をしようかな~あれをしなくっちゃとソワソワして当連休を迎えるが、残念ながら当初の目論見はほとんどが果たせず大抵は後悔の嵐か単なるリフレッシュ期間と成り下がってしまう。
 今回もその例に漏れず大したことはできず終了を迎えようとしている。そんな中、いつものK氏とゲームする機会を得られた。

「もしもし?」
「はあ?」
「キャンプどうする?俺当日用事やから行けへんわー」

 K氏からかかってきた電話はもはや恒例となっているゲーム以外のお友だちとのキャンプ/飯盒炊爨の話題だ。
「俺なー昨日から風邪引いたみたいで頭が痛いからパス。」
「ほなその次の日はどうや?なんかゲームする?」
「あー態度保留。とりあえずキャンプはいかへんけど何か飯食いに行くのは大丈夫。」

と言う筆者の煮え切らない返事からおぼろげにゲームをするしないの状況となった。
その後筆者の体調が回復し、天気も良いことからゲームできることになったのでK氏宅へと向かうことになった。

当日プレイされたゲームは以下の2つ

  • The Destruction of Army Group Center(WAW9号)
  • レッド・ドラゴン・ライジング(CMJ92号)

The Destruction of Army Group Center(WAW9号)
 デシジョンゲームの出版するWW2専門ウォーゲーム付き雑誌であるWORLD AT WAR誌は既に11号を数え、旧作のリメイクを中心に懐かしい題名とともに発売されている。
 デシジョンゲームといえば既にStrategy & Tactics(S&T)誌という伝統のゲーム付きウォーゲーム雑誌を刊行しているのにもかかわらず新たにWORLD AT WAR誌を刊行するのはなぜかよくわからないが、2雑誌体勢でよくネタ切れにならないなあと感心するばかりだ。

 ところで私感ながら雑誌付きウォーゲームというかウォーゲーム付き雑誌はそれなりに当たり外れが大きいと思うが、S&T誌やWAW誌も同じくプレイしてなんじゃこりゃというのもあったりする反面、おおっー!と目から鱗が落ちてしまうような良作に巡り会わされることもある。

 もちろんテーマに対する理解や周知度、システム、ギミックの理解や言及不足等々さまざまな不足の為に誤解をしてしまうこともあるわけで、常に自らを疑ってあたるというのが最近の筆者。

 今回は44年のバグラチオン作戦を扱ったゲームで筆者がソ連軍、K氏がドイツ軍を担当した。ルールはソ連軍ターンドイツ軍ターンの繰り返しでターン内のシークエンスは増援補充-移動前戦闘-移動-移動後戦闘という組み合わせ。ドイツ軍ターンのみ移動前にソ連軍の航空妨害フェイズが挟み込まれる。

 補給は盤端に繋ぐという簡単な方で、移動開始前に繋いでいないと補給切れとしてマーカーが載せられる。補給切れは戦闘に不利となるだけでなく移動時にダイスを振って移動力を決定する。

 戦闘は戦闘力差で、航空支援や補給状態などによってシフトするが、地形修正は防御力に足し込まれるタイプ。ZOCが移動力があれば浸透できるので後ろに回って集中特典なるシフト修正を稼ぎ、防御側後退で後退不可の壊滅を狙ってプレイするというタイプのゲームのようだ。

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ソ連軍は中央軍集団の壊滅を目指すと言うよりはマップ上に散らばる拠点を奪いその点数でゲーム終了時に勝利段階が決定される。サドンデスも設定され、ソ連軍がケーニヒスベルグを占領すると即達成だ。

 ただし本ゲームにはトリックがあり、バグラチオンを発動するソ連軍は序盤から中盤にかけてなだらかに補充が減ってゆき、中央軍集団が撃破されたことで戦線を立て直すドイツ軍はソ連軍の補充が減ったのに対して逆に増えてゆく、

 さらに第6ターンからソ連軍は全部隊は補給切れとなってしまう。その時点でソ連軍の攻勢は大失速すると言っても過言ではないだろう。

 果たしてゲーム展開は全9ターンあるうち第7ターン迄プレイしてソ連軍投了で終了した。第7ターンの時点で勝利するためのレベルまで得点を稼げず展望がなかったからだ。

 ユニークだと感じたのは低比率攻撃の際に決死攻撃なる宣言をするとAS(攻撃失敗)の結果を無視しそれ以外の結果が出るまで振り直せると言うルールで、防御側後退か攻撃側壊滅の二者択一(と言ってもイーブンの結果が出るとは限らないが)と出来る点や補給切れが移動力に直接影響し移動力が可変となる点だ。これによって統制のとれた機動や前進後退が難しくなり、ドイツ軍の体勢を立て直す絶好の機会となることだろう。

 この記事を書いていて大きなミステイクが見つかったので機会があれば再戦しさらにリポートしたい。

レッド・ドラゴン・ライジング(CMJ92号)

 続いて近未来戦のゲーム。S&T誌で付録となりかなり好評だったようでエラッタ、ヴァリアントが反映されたバージョンとしてコマンド誌の付録となった。

 概ね中国軍が太平洋に野望を抱いたらと言う想定で、米側連合軍との陣取り合戦となる。残念ながら個々の器材においては米軍側に良いレーティングがなされ、中国軍は数頼みと戦略性が要求される。

 戦略級のゲームと言うことでカラフルなユニットのアイコンとは言え殆ど意味がないのは残念だが、こういう遊び心は分かり易さに並んで重要だと思う。

 ゲームは中国側が規定の回数で如何に戦略目標や相手に打撃を与えるかで勝敗を決する。サドンデスとして朝鮮半島、台湾、南沙諸島という現状でもきな臭い地点を中国側が支配下に置けばサドンデスとなる。ただしそれほど簡単ではなくどれかを達成するためには何かを諦めるという状況となる。それ以外では12VPを稼げれば勝利となるのでその辺どのように組み立てるかはプレーヤー次第といった所だろう。

 ターンという概念はなく20種類ある作戦行動を選んで交互に実施するという感じでプレイは進む。作戦行動には単に移動であるとか基地変更などがあり、種類ごとに何が出来るか決められているのでそれに従ってユニットを動かしたり判定したりする。

 また作戦行動前に各陣営ごとに判定されるイベントも強烈で、米軍側に有利なものもあれば中国側に有利なイベントもある。例えば台湾や日本が戦争から脱落するというイベントもあり、戦局を一変するものもあるので注意だ。

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 戦いの主導権は中国が握り、それに対応する米軍側という感じになるのだろう。主導権を握っている中国とは言え個々の局面では圧倒されるのでそういうイベントを活用したりリスクをコントロールしながら相手の目的を挫くかに向けられる。

 プレイでは筆者は中国軍をプレイし、K氏が米側連合軍をプレイした。

 筆者は序盤に固められていない韓国に第2次朝鮮戦争を仕掛け圧倒的火力でVPを奪取し返す刀で台湾を屠り(合計10VP)、勝利のための残り2VPをどこから稼ぐか。サドンデス狙いで南沙諸島を狙うかがら空きの東南アジアで奪うかは状況によって変えることとした。

 作戦行動で第2次朝鮮戦争を勃発させ、途中ステルス戦闘機の妨害に遭いながらも数度の作戦行動で韓国軍並びに在韓米軍を対馬海峡へと叩き落とし仁川の悪夢を払拭した。

 しかしその間にも米軍は着々と増援が到着し、シンガポール、イギリス、フィリピンなどが米軍側に参戦をしてしまった。

 時間がないと感じた指導部は台湾への侵攻を決定し、北部に展開していた大航空部隊を全て中国中部に集中し、バトル・オーバー・タイワンが開始された。

 大航空部隊による数度の空襲で、台湾の制空権を握り米連合軍の沖縄等などの反撃があったものの意に介せず成功し、後は上陸戦を待つのみとなる。

 沖縄に集中しつつある連合軍の兵力を分散させるためにも他方面での攻勢も必要で、南沙を狙うグループとフィリピンを狙うグループを組織したが、それに感ずかれたかステルス爆撃など数度の反撃で半壊、強襲揚陸艇を失うという失態を喫してしまった。

 南沙へ向かう軽装備の歩兵グループと潜水艦部隊のみ生き残り、一路当地を目指したが潜水艦戦に数で優位を得ながらも敗北し、その後に羊の群れを駆るSSNという悪夢により敵の拠点を奪うことが不可能となってしまった。

 さらに沖縄の連合軍は攻勢に打って出て、中国海軍が壊滅してしまうと言う状態に陥り、もはや勝つ手段を失った中国空軍による沖縄空襲も逆に片道切符となり、台湾に丸裸の陸軍部隊と再奪回を待ちわびる沖縄の米海兵隊という状態になり、どう考えてもイベントで引き分けとなる以外は必敗であるので時間も時間であるのでお開きとした。

 戦術的な面白さは到底望めないけど、東アジアでの軍事衝突を戦略的に表現する本作は、政治的な状況変化がオプションがイベントで処理されるので今そこにある危機/チャンスをどのように対処するかというのは毎回状況が変わるので気軽に楽しめるだろう。

 今回は基本ルールのみでプレイしたが、自衛隊の行動に足枷がないので追加ルール・選択ルール等で実態に近づけてやったりしても良いだろう。なお追加ルール・選択ルールにはさらに作戦行動の種類が増えて選択肢が増え、プレーヤーを悩ませてくれるだろう。

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