手に入れてもうた
気がつけば海外物のゲームは国際色豊かになっていて、デザイナーが本場のアメリカだけでなく世界各国のデザイナーが作品を提供したりしているようで、気がつけば我が国の著名なデザイナーもよく聞かれるようになった。
ウォーゲームデザインのグローバル化なんて格好いいことを書きたかったけど、残念ながらそれほどよく知っているわけでもなく、ただ単にハリウッド映画と同じく世界に糧を求めた結果なのかもしれない。
そう言えば最近手に入れている海外ゲームも非英語圏のデザイナーだったり、出版社だったりする。非英語圏だからと言ってその母国語だけでルールなどが書かれているのではなく、最初から英文ルールがセットされているというケースもある。
多言語のゲームデザイナーや出版社のメリットはなんだろうか?それはやはり英語圏では見られないテーマが取り上げられることではないだろうか?またはそういう機会がきたいできることだろう。
例えば日本史のゲームなどはやはりご当地である我が国が有利だし、ナポレオニックなんぞはヨーロッパの方が地の利があるだろう。
この流れは止まりそうにはないけど非英語圏の我々もいい流れではないだろうか?
で、そういう流れから出てきた出版社があったりする。
東アジアと言えば我が国ぐらいしか出版社がなかったが、ついこのほどお隣の台湾から産声が上がった。
「戦棋」だ。
元々ミリタリー趣味のところから産声を上げたらしいと言うことは、我が国とよく似ていると言える。
他の非英語圏のウォーゲーム雑誌に比べて違うのはやはり我が国と同じ漢字が使われている所は何となくホッとする所だ。また1号目から打ち抜きカウンターを備えている所も見逃せないし、マップのコーティングなども他社と比べてユニークだと言える。
今回2号を入手した。
第1号は国共内戦の金門島古寧頭を巡る戦いだった。今号では常徳作戦が取り上げられている。
台湾の雑誌と言うこともあって人気のテーマはやはり台湾の関連ある戦争テーマとして国共内戦や抗日戦とのことで、この辺は日本の雑誌ですら選択しないテーマのためどのようにデザインするか興味をそそられる。
第1号の古寧頭、第2号の常徳とともに日本軍、元日本軍が関わっているのは偶然だろうが、常徳作戦はWW2中の日本軍により発動された常徳殲滅作戦(よ号作戦)とそれに対する国府軍の防衛・反撃戦を扱っている。
何といても本ゲームで注目すべきは二次大戦中の中国戦線の作戦級ゲームだと言うことと、またMMP社のSCSを参考、改良したゲームシステムとのことでユニット数(90個)、マップサイズ(A2)とともに小振りと言える。
和訳も入手でき戦史的なコンテンツも割合手に入るので興味のある向きは手にされたい。
筆者の関心を持ったのは本テーマ、常徳作戦という珍しいテーマもそうだが、郷土師団である第116師団(嵐)が登場すると言うことだろう。
第116師団はと言うと第16師団の兄弟師団と言うことになる。100番台師団というのは昭和12年度の動員令によって今までの常備師団を常設師団に、さらにもう1個ずつ特設師団として元の師団に100を足した師団番号で動員されたもの。
第116師団も動員後すぐに出征し、留守師団が留守を預かっていたが第16師団を満洲へ移駐することが決まったので新たに常設師団として第53師団(安)が編成された。
それぞれ比島、中国、ビルマへと派遣されそれぞれが苦闘した。
第116師団は動員以降一貫して中国大陸で戦い。武漢作戦、常徳作戦、湘桂作戦、芷江作戦などに参加した。武漢作戦は師団の一部が参加したに留まったが、常徳作戦以降はかなり苦戦して、中国戦線での最後の敗北とも言われる芷江作戦では米式装備中国師団の反撃で撃滅される間際まで追い詰められた。
話はだいぶんそれたけど、まさか中華系から本テーマが出るとは驚きだったが、よく考えれば前年に台児荘テーマが中国系のデザイナーから出たことを考えると予想されることかもしれない。
次作はサルフの戦いと言うことで、これはこれで興味ありのテーマ。国共内戦と抗日戦ばかりでなく歴代の王朝の豊富な戦いの数々も埋もれているので是非とも発掘していただきたいなと思う次第。
ところで驚いたのは戦棋の部数はCMJよりも多く部数が出ているって言うこと!思わずそれを聞いて驚いた!
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