6月の戦い(2010年)その2
Washington's Warを終えた我々は次なるゲームへと戦いの場を変えた。どうやらダイスの出目が絶不調というか片寄り過ぎなK氏はダイスの「仕分け」を考えているようで、現在探索中とのことだ。
ちょっと前ならゲーム用のダイスなんていうものはおもちゃ屋へ行けば手に入れられたが、気がつけば身の回りからはなくなりダイソーとか100円ショップぐらいでしか手に入れられなくなったそうだ。
さすがに買うのであれば消耗品のような廉価なダイスよりは納得ずくのものを買ったらと言うことでネットを徘徊して探しているらしい。
が、そこはネット実際にものを見て買うのではないのでダイスの大きさなんて漠然としてどれがいいのだろうかというスパイラルに陥っているらしい。
話は変わって、次にプレイするゲームは先日紹介した台湾の出版社から発売されているウォーゲーム雑誌だ。
先日その第2号を購入し出荷冊数がコマンド誌より多いと聞いて驚いたというのがある。もちろん台湾や中国本土のプレーヤーがそんなに多いとも思えないのでやはり日本をはじめとする全世界で消費されたのであろうか?その内訳に興味がありつつ日本のメーカーも海外を視野に入れた(入れている)出版活動になるのかなと期待したり。
血戰古寧頭:金門大戰1949
ゲームの方は1号2号と両方を提示してK氏に選ばせた。
筆者は前記事にもあるとおり嵐兵団の活躍する常徳会戦の方が好みだが、K氏の選んだのは金門大戦の方だった。意外な選択にその意を問うてみると「なんとなく」と言うことだった。
初の戦棋プレイは創刊号のゲームとなった。
血戰古寧頭:金門大戰1949(以下旧字体を改める)は国府軍が国共内戦の折、中共軍との金門島を巡る戦いだ。
上陸戦を敢行し金門島の支配を図る中共軍に対し、国府軍が頑強に抵抗し水際まで追い詰め勝利を得たという戦いだ。
マップはその焦点となった古寧頭付近など金門島の一部が描かれている。
プレイは筆者が国府軍、K氏が中共軍を担当した。
序盤は中共軍の上陸から始まる。
海に配置される中共軍が移動しつつ上陸地点を目指すというのは珍しいような気もするが、一瞬前日に見たプライベートライアンの冒頭を思い浮かべた。
ノルマンディから5年後に地球の裏側で再び上陸作戦が行われようとは誰が想像しただろうか?あの頃から歩兵の火力は自動化が進んではいるものの支援火器は大きな差はない。考えれば朝鮮戦争より前の時期と言うことで、プレ朝鮮戦争と捉えることも出来るかもしれない。
中共軍の上陸は特別な上陸用舟艇などで行われたようではなく、ジャンク船などを数百隻使用しての上陸戦だったようだ。もっとも後には大陸側から砲撃戦を仕掛けたぐらい大陸との距離は近いので海からの上陸戦と言うより大河川の渡河戦に近い感覚なのかもしれない。
サドンデスルールで中共軍が占領していないとならない箇所があるのでそこを重点的に攻め立てる中共軍。国府軍としては拠点防御をとりながらも内陸に浸透されて走り回られるのを警戒する。
システムはチット引きで対象となる部隊が機動することになるが、上級司令部が引かれるとその麾下部隊も活性化されることとなるので、複数回動き回ることとなる。
ユニークなのは地形効果表で、戦闘の修正項目で防御側がいる時、攻撃側がいる時の戦闘への影響が矢印→で記されていてどちらにシフトされるか一目瞭然としている点だろう。
中共軍の攻撃は防御拠点に籠もる国府軍を撃滅しつつサドンデス要件の回避(北山の占領)を達成できたようだ。チット式であるので気を抜くとサドンデス要件を達成されてしまうのでこの辺は要注意。
中共軍のサドンデス負け要件の他に国府軍のサドンデス負け要件もあるが、これは2つあり片方は達成が難しいように感じた。もちろん不可能ではないが難しいと思う。そういうこともあって中共軍はもう一方の雙乳山の支配を目指した。
雙乳山の付近の上陸地点には国府軍の密度が低く、ラッシュをかけて先制すれば守り抜けるのではと感じたようだ。
しかし雙乳山に通じる道路は国府軍の増援が沸いて出てくる地点であり、手前でブロックすること無しには撃退される可能性もある。さらにはこの地点には国府軍最強部隊のM5軽戦車部隊がいる。軽戦車といえども対戦車火器に乏しい側からすると強力な部隊となる。
残念ながら中共軍に兵力は残されておらず、ブロックできなかったばかりに軽戦車部隊と増援部隊、支援火器などにより絵に描いたような火力戦で雙乳山から叩き出され、後退しつつ古寧頭付近へと後退する羽目になった。
もはや中共軍に国府軍の反撃を支える力は残されていなかった。古寧頭付近に撤退した部隊こそ収容に成功したが、古寧頭付近での必死の挙止を図るのみとなる。北山・古寧頭付近は中共軍の支配となったが、国府軍との戦力差と結末は史実と同様国府軍の大勝利となった。
初の戦棋の付録ゲームのプレイで戸惑う所や垢抜けていない所はあったが、おおむね水準は達しているのではと思った。
マップはあちこちで触れられているとおり、コートされたマップで昔のエポックの戦国大名などが使っていたような紙質だ。耐水性だけでなく破れにくいという利点もあるが、あまり他では見られないのでコスト以外のデメリットでもあるのだろうか?はたまた何故に採用したのか?疑問はつきない。
この同じ極東の新興メーカーは欧米のメーカーとは違う視点を提供してくれるに違いないと密かに注目している(東洋史とか)。
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コメント
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田村様
貴重な情報と和訳ありがとうございます。
なるほど日本を抜いた東アジア圏だけで1000近く捌けたのですかぁ~多いか少ないかは判りませんが、スタートダッシュは良かったみたいですね。
重ねてありがとうございます。
投稿: ぐちーず | 2010/06/17 00:02
「戰棋」の売上について、お答えします。
スタッフの話によると、創刊号は最初の1ヶ月で1000部売れましたが、英文ルールが無いので、欧米での売上は限りなく0に近いものと考えられます。consimでも話題になってませんし。
日本での売上は、BGGに上げている拙作の和訳ルールのダウンロード数から、50部前後と推測されます。
この他に、北京と香港のサークルでそれぞれ約30部共同購入しています。
http://www.chinawargames.com/forum/read.php?tid=161
http://forum.funatelier.com/forum_posts.asp?TID=449
台湾以外での売上は100部ちょっとといった所でしょう。
投稿: 田村@ソウル特別市 | 2010/06/16 23:43