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2010/06/19

6月の戦い(2010年)その3

 さて古寧頭の戦いを終えた我々は次なる戦場へ向かった。
 勿体ぶっても仕方ないのであっさりタイトルを記すとノルマンディ上陸作戦だ。
どの?ノルマンディという声が上がるほど、ノルマンディテーマのゲームは多い。やっぱり史上最大の作戦と名付けられた映画だったり、上陸戦を記念する式典が挙行されたりと人々の記憶にも刻み込まれているのだろう。
 先ほどの古寧頭と言いこのノルマンディも上陸戦で、凄惨な戦いが繰り広げられたせいもあってかゲームタイトルとしても人気が高い。
 やっぱり米英軍が攻撃側で成功した戦役というのが大きいし、綺羅星のごとく有名な部隊や指揮官が現れたこともその一因だろう。

 ところでゲームに戻ると本ゲームは最近話題のデザイナーがデザインしたノルマンディ戦のゲームだ。ノルマンディのダニー・パーカーと称すれば褒め言葉だかどうだか分からないが、ノルマンディ戦のゲームをこれでもかと言うぐらい短期間に様々なスケールでデザインしているとのことだ。
 そういうノルマンディ好きがデザインすると良い面もあれば悪い面もあって、こだわりすぎ等があるだろうか。しかし本作ではその手の心配はする必要がない。
 なんと言っても軍団級のノルマンディ戦と言えば概ねどういうものか理解できよう。

ノルマンディ上陸作戦(WGHB2010)
 ノルマンディ上陸作戦というタイトルはあまりにありがちで、どのゲームだかさっぱりなドストライク過ぎるタイトルだ。もちろんコマンド誌のオリジナルというものではなくDDHゲームズ社のDestination:Normandyが正式な元タイトルで、その日本版という。デザイナーはダニー・ホルテという人らしく、このゲームの他にJUNE'44というノルマンディ戦のゲームの他にバルジの戦い、アンティータムの戦いなどもデザインしているので決してノルマンディだけと言うわけではないみたいだ。

 本作は数ある彼の作品でも最小のノルマンディで拘りを爆発させる余地が少ないサイズでもある。

 A4ないしB5くらいのマップ、30個以下のカウンターと言えばSSゲーム以下のサイズで葉書ゲームより大きいといった所だ。日本版で変わった所は中身に関してはよくわからないが、ビジュアル面では大きな進化を遂げたと言えるだろう。

 更には初心者向けに解説記事もフューチャーされており、ちょっと値は張る物の他の葉書ゲームの打ち抜きカウンターやコラムが追加されている。

 この作品が話題に上ったのはなんと言ってもゲームマーケット2010にて先行発売されたと言うことだろう。

 なんでも午前中に売り切れたという。

 筆者、実は当日浅草に観光がてら行こうかと考えていたが行っていたら目的を達せず涙する所だった(しかし行った方が色んな人に会えたかもしれないという後悔)。

 と言うわけで某ショップでクリックして即日購入することとなった。

 ハンドブックと言うには大判な冊子でハンドブックと言うよりは映画のパンフレットのようないでたちで、雑誌も今までのコマンドやゲームジャーナル誌とは違う何かがあったようなないような。それを不足と感じるかこの程度と感じるか、十二分あるいは水先何案内人かは各自の判断に委ねたい。

 ゲームはK氏が連合軍、筆者が独軍といういつもの組み合わせで行われることとなった。 

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 本ゲームは何と米英軍の上陸作戦から始まる。他の本格的なノルマンディと違い、コマ数が圧倒的に少ないのが見て取れるだろう。老練なるプレーヤーならあれ?ユタは?ゴールドは?スウォードは?艦砲支援は?となるに違いないが軍団級のノルマンディである。オミットされる所はオミットだ。

 もちろん標準の基本ルールでは地上支援カウンターを利用して上陸時に任意の火力支援をしていますよの目印(実際に支援する)とするが、某ゲームのように上陸時に継戦パワーを磨り減らすことはない。

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 圧倒的な連合軍。。。ではなくて血のオマハが鮮血の鮮烈オマハとなってしまい、オマハは橋頭堡を確保できなかった。

 ドッググリーンではないがミラー大尉のWE DO NOT HOLD THE BEACH.が部屋中にこだまする。

「何してんの」

といっても軍団レベルのダイス勝負であるので罵倒される筋合いはないが、ワシントンズ・ウォーに古寧頭とダイス目がイマイチなK氏は罵倒される権限を持つ。

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 対する筆者もドイツ軍のユニットの機動は褒められたものではない。オマハはまあ抜けるとしてその後と後の後の機動は悩ますに充分だった。

 足が短すぎるのだ。

 これは想定するに連合軍の航空優勢をユニットに折り込んだものだろう。確かに連合軍航空部隊の移動妨害は、部隊、兵站などありとあらゆる箇所に向けられ、部隊の機動を航空機の活動が低調な期間に限られるという状況だったようだ。

 それによる影響があるかと言えばドイツ軍の移動は非常にデリケートな問題へと発展する。連合軍に比べ動けるヘクス数が少ないと言うことは失敗は許されないに等しい。

 案の定戦線のど真ん中に兵力を送り込めないドイツ軍は米英軍の行く手を防ぐことなく進軍を許す。

 唯一気を吐いたのはユタビーチ近くの部隊は米軍を撃退し未だ、シェルブールにまで米軍兵力を吸引するやもである。米軍兵力が吸引されると自然と中央の圧力が弱まる事が期待された。

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 しかし物事はそんなに甘いことはなく急速に補充される連合軍にドイツ軍はジワジワと近づくしかない。

 攻撃は最良の防御と言うけれどもコマ数が少ないゆえに慎重にならざるを得ない。こうなるとボカージュはドイツ軍の防御・反撃ための地形と言うよりも、連合軍の進撃を助ける地形といった所か。

 反撃はすれども失敗し、土俵際までもうすぐ。

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 南からやっと出てきた兵力も反撃を策するもことごとく失敗し、シェルブール方面では我が軍の数倍となる攻撃の前に消滅し、ユタ経由の兵力がリリースされてしまった。

 カーン方面では如何ともしがたい状況だが、先頭の部隊を叩くことができれば敵の勝利条件を達成できなくすることも可能だ。

 現段階の見立てでは2個保持し続ければ負けることはない。

しかし

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 そうそのしかし。

 こういうときに限って反撃とか目論見はことごとく失敗し、更には敵の進撃を助けているのではないかとの疑念が湧く。

 言わばやらなきゃ良かった。状態

 味方の成功に賭けるか、敵の失敗に賭けるかの選択で、運を天に預けてしまった筆者のドイツ軍が敗北するのは明白だったのかもしれない。

 と言うわけで筆者のドイツ軍が一人ファーレーズになり、連合軍の勝利が確定しました。

確かに手軽だ。

 ルールは簡単、ビジュアル的には一部目の敵にされている針金弁当でもない、ノルマンディと言えばノルマンディ。

 果たしてこのゲームをプレイした一般人がこのホビーに興味持つかどうかは不明だが、雑誌も含めてこういうアプローチもあるんだなあと思った。

 そういえば翔企画SSシリーズで、そしてコマンド46号で再版されたD-DAYも同じテーマ同じラインを狙った作品だったが本作と比べるとこうも違うのかと驚いてしまうのと同時にゲームデザインには終点がないとの思いを強くした。

 

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コメント

TAKOBAさんコメントありがとうです。
コマ数が少なかったらそうなるかもしれないですね。上手な人ではないですが対戦は可能です。

このゲームやってみましたが、両軍互いに出なくていい目を連発してしまい、そして誰もいなくなった状態になりました。
上手な人に教えを乞いたいです。

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