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10月の戦い(2010年)

 今年はノルマンディ戦の周年という事で、なぜかノルマンディ戦をテーマとしたゲームが数多く出版されているという。1944年と言えば他にもノルマンディ戦に比するビックタイトルはあるはずなのになぜ故にノルマンディかと言えばそれは参加した西欧各国が多いからだろうか。

 ノルマンディ戦のゲームが重なると言っても実はGMTが重なっているのと、ノルマンディ戦を重ねてデザインするダニー・ホルテが近年連続してデザインしているというイメージが先行してしまっているような。

 その中でも寡作で寡作を連発すると評価されるシモニッチ氏がノルマンディ戦のゲームをデザインし発売するという話になって色めき立った。ノルマンディ44だ(以降「N44」)。

 シモニッチと言えば過去にデシジョン・イン・フランス(以降「デシフラ」)でノルマンディ戦を扱っていたはず。寡作のデザイナーが同じようなテーマをデザインしたのだろうかと考えたが、マップに描かれる範囲を見て驚いた。

 「デシフラ」では1ユニットが1師団レベルの作戦級で、ノルマンディ戦だけでなくその後のコブラ~ファーレーズ~パリ攻略などの戦いも再現するだけあってノルマンディ地方だけでなくブルターニュ半島やパリまで含む大枠で捉えていた。シモニッチと言えばウクライナ43でも師団レベルの作戦級をデザインしているだけあってそう言う切り取り方を当然のものとしていた。

 ところが「N44」ではシェルブールのコタンタン半島、ファーレーズという非常に狭い空間を切り取っている。まさしくノルマンディの戦場だけで従来の1ユニット=師団級では難しいのではないかと思ったら今回は1ユニット=連隊級のゲームであった。「デシフラ」より遥かに細かいレベルでのデザインに果たして重いと評されるシモニッチシステムは載っかるのか俄然興味が湧いて入手する事になった。

Normandy '44(GMT)シェルブールシナリオ

 さらにはツイッターでのプレイしたツイートに興味を持ち、もりつちさんなどとのやりとりで「N44」が次第にランクが上がってきたのでプレイする事になった。シモニッチのゲームは細かい積み重ね的な要素が多く、勢いだけではプレイできない傾向にあるので事前にプレイしてみて慣れておきたいというのもあった。事前に公表されたルールを見ても細かいルールもあるが、「デシフラ」「ウクライナ43」とは微妙に違うルールで混乱をしかねない。

 と言うわけでいきなりキャンペーンをぶち上げるのは危険きわまりないのでシナリオをプレイし、慣れてからキャンペーンあるいはもりつち氏が来た時にもプレイできる環境を整えようとした。

 肝心のシナリオとなると3つしかない。それもそのはず本ゲームの取り扱う期間は上陸当日からシェルブールが降伏して連合軍のものとなった27日までと言うまさしくノルマンディ上陸作戦のみを扱ったゲームだからだ。期間によりカーンはドイツ軍が占拠したままであるし、グッドウッド作戦、ト-タライズ作戦、コブラ作戦等という連合軍の攻勢作戦はオミットされている。

 シナリオはキャンペーン(最初から最後まで)と7ターンシナリオ(6/12までのスタートダッシュを競う)、シェルブールシナリオ(中間ターン迄のシェルブール地方のみ)があり、心許ないが扱う期間が期間だけに仕方ないだろう。

 今回はシェルブールシナリオをプレイする事にした。7ターンシナリオではなくてシェルブールというのには理由があった。

それは対戦者のK氏の願望から来ている。

 おおよそノルマンディをテーマとするゲームはなぜかドイツ軍の反撃が奏功しすぎてディエップ以上の悲劇となったり、ドイツ軍のハイタワーに囲われて巨大な西部戦線捕虜収容センターとなってしまうか、ドイツ軍が大消耗して反撃はおろか掃討戦となってしまったり、そういう状況で心が折れて途中でプレイが止まったりという事が少なくなかった。最も多いのは上陸戦を扱うが故に煩雑でプレイ時間が膨大となり、かなりの熟練がないとサッサと進まない傾向があった。

 その為にK氏は米軍ラブであるので米軍を担当する事が多く常に悪戦苦闘して、ビーチから脱したと思ったらレフリーの試合終了の笛が鳴る。あるいは試合終了のゴングが鳴り響き、一日を使ってビーチで遊んでいただけという記憶しかないらしい。

 故に彼の夢はシェルブールを落とす事。またはシャーマンにのって盤端(南端)に突破する事らしくて、ノルマンディの話となると事あるごとにその話をしている。

 それではその夢を叶えてあげようじゃあないか!

「おい!お前シェルブール攻めたくないか?」

「え?」

「その夢かなえてしんぜよう。」

 と言うわけで筆者が独軍、K氏が米軍でプレイする事になった。

 シナリオは「シェルブールシナリオ」ゲームのユタビーチから西のみ南はカランタンのある列あたりまでと言うコタンタン半島を中心に使うと言う豪快な切り取りシナリオ。勝利条件は連合軍がカランタンを占領しつつシェルブール防衛戦に突入しているか、あるいはシェルブール~南端間の補給線を切断しているかで勝利する。ドイツ軍はそれを阻めば勝利というもので、攻略そのものをテーとするのではなくて攻略の取っ掛かりまでを勝敗とする所がなかなか。

 特別ルールで降下する2空挺師団は行動できるエリアや攻撃する目標が限られており、ドイツ軍は戦略移動やトラック移動ができないなどがある。増援はドイツ軍は決められたユニットしか来ないが、連合軍は増援ポイントの交換で好きなユニットを登場できる。

 K氏の目は爛々と輝いている。あこがれの米空挺隊、シェルブール。

 闇夜に舞い降りたエアボーンは史実のように広範囲にばらまかれた。空挺分散というルールで被害を判定される。酷いものは2ステップ失うが他のゲームのようにあさっての方角に飛ばされる事はない。

 次いでユタビーチからの進攻だ。事前に設定されたユニット群が上陸の第一波となり特別なCRTで上陸の正否を判定する。大出血だったオマハ海岸は出血しやすいようにまた専用のルールがあり出血に出血が重なるようになるかもしれないが、本シナリオでは穏やかに上陸できたユタ海岸であるので、ここに損害を適用し粛々と進める。

 目下の敵は海岸にあるドイツ軍の拠点と空挺部隊が降下した地点にいる東方大隊位だが、上陸のターンは侵攻ターンと言って1ターンのプレターンとなる。その後ドイツ軍プレーヤーターンがあるので分散した空挺部隊や、上陸直後の部隊って言うのは脆弱な存在だ。

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 しかしそういう脆弱さにつけ込めないのがこの方面のドイツ軍。元々部隊数が少ない上に師団によっては配置に着いていないので動員まで時間がかかるものがあり、大きく対応が取れない。

 とは言え目の前に弱体化した空挺部隊があり二線級、三線級兵力でも断固攻撃し打撃を与えるべきではないかと考えた。

 攻撃で空挺部隊を後退させる事には成功したが、撃破まではならなかった。

 戦闘は戦闘比で部隊評価、河川、装甲、砲兵、高地シフトで修正され、シフトが得られる以外の防御側の地形修正は防御力の修正となる。

 その前に攻撃側はMAF(主強襲部隊)の指定をしなければならず、これは師団なり旅団なりの建制上の組織を指定して(101空挺師団とか)、MAFとする部隊は全力で攻撃できるがそれ以外は半減戦闘力で攻撃するという制限がある。

 また戦闘に参加するMAXの攻撃力が定められており18戦闘力以上は投入できない。防御側も同じ制限を受けるが、防御する地形の戦闘力修正はこれに換算を入れないので基本18となる。先に説明したMAFと18戦闘力リミットはこのゲームの核とも言え、べらぼうな戦力を投入しても結局は1対1。あとはシフトで何とかすると言う印象を強く与え、逆に駄目なんじゃあないかという懸念すら浮かんでくる。

 デザイナーズノートにはMAFはその他の部隊は側面に圧力をかけている等とされ18戦闘力に関しては師団レベルでの攻撃の組立を考えるようになるとされていてなんかこじつけな感じがしなくとも無い。しかしK氏の感想にもあるように、消耗戦を意図した仕組みと思えばそうとも思えなくなる。

 と言う事で次は米軍の攻撃となる。

 ターンシーケンスは補充→移動→戦闘→予備→回復→補給となっている。補給確認が最後の方になっているので補給切れは相手のプレーヤーターンにつけ込まれる事になり、戦闘と移動と補充に制限がかけられ、補給切れの補給切れは孤立となり孤立消耗の対象となる。

 予備フェイスは予備マーカーが置かれたユニットによる移動と戦闘で、移動フェイスに予備マーカーを載せたユニットが活動できる。

今回は予備に回すような兵力がなかった事から予備フェイズがほとんど活用できるシーンがなかった。しかし全くゼロではなく特に米軍の攻撃やドイツ軍の反撃において史実と同じように予備の後置は重要なようだ。

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 米軍は増援ポイントを消費して次々と増援を海岸堡から前進させる。マルベリーが完成していない状況では補充ポイントや補給ポイントの揚陸が限定されてしまうので早急に海岸堡の拡大だ。ドイツ軍の反撃の芽を摘みながら、海岸地帯にある拠点を掃討する。兵力が少ないとは言え戦車部隊や自動車部隊もあり、拠点伝いに海岸堡へ殴り込まれるようなことがあってはならない。

 空挺部隊はカランタンと北側の限界ライン(制限がある)一杯まで前進し、ドイツ軍をゆっくりと押す。有力な機甲兵力がないので装甲シフトなどを得られないが、艦砲支援や部隊評価シフト、航空支援などを駆使してジリジリ進む。

 ドイツ軍は部隊評価が低い貼り付け師団が主体がある故に普通に戦っても押し込まれてしまう。そこで戦いを簡単に終わらせないのが地形であるボカージュだ。ボカージュは戦闘の時の後退を強制される局面で、通常2ヘックス下がらねばならない所を1ヘックスとしてくれる。勿論元々防御ボーナスがあるので、同じ兵力であれば独軍に有利な比となり、部隊評価その他のシフトを駆使しなければ優位に持って行けないようになっている。さらには後退の結果を被っても「断固とした防御」というオプションを行使することによって、退却をキャンセルできる可能性がある。

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 米軍は海岸堡、そしてマルベリーが開設できるようになり戦車を揚陸するようになると、パンチ力も変わってくる。さらに司令部に補給ポイントを消費できるようになると(揚陸する)更に砲兵シフトが利用できるようになり、場所によっては海からの艦砲支援、航空機の支援、部隊評価の差、装甲シフト、砲兵シフトと累積し、あっと言う間に戦闘比を引き上げられてしまう。

 とは言え「断固とした防御」したり、ボカージュに助けられたり等連合軍の猛火を持ってしてもチクチクとしか進めない。更に筆者が「断固とした防御」を多用したために連合軍の損害も累積する。

 「断固とした防御」とは戦闘結果で退却を含む結果が出た場合に、それをキャンセルできるかもしれない選択肢だ。その旨を宣言するとその地形によって成功率が変わるが陣地や拠点では半分以上の確率で退却を無効にし、あわよくば攻撃側に打撃を与えてしまうというものだ。

 通常の戦闘ですら7対1でも1/3で攻撃側がステップを失う可能性があり、消耗しやすい所に更に追い打ちをかけることができる。

 よくよく考えれば大半をボカージュに被われるこの半島ではプレイほど「断固とした防御」を選択する必要がなかったかもしれないが、結構退却のキャンセルに成功し、戦線が綻びることを防いだ。

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 ボカージュ、「断固とした防御」、適時反撃にいらだつ米軍は、遮二無二攻撃をかける。攻撃の結果シェルブールへの道が一瞬開いた。一瞬見えたがチラリズムってヤツでその次のターンのドイツ軍プレーヤーターンに埋められてしまうが、よく考えればこの瞬間が予備を投入する絶好のチャンスだったかもしれない。しかし予備フェイズに動かす部隊は彼は用意していなかった。

 予備フェイズとは移動フェイズに1MPまで使った(ZOC入退出はNG)ユニットに予備カウンターを載せることで指定し(数制限あり)、予備フェイズには移動力の半分を使用して移動及び戦闘ができるというものだ。概ね攻撃後の重点箇所は弱体化しているのでそこへさらに戦力を投じて戦果を拡大するのも良し、反撃に備え脆弱な戦線を強化するに使っても良しと言うありがたいフェイズ。先にも書いたが今回は「我に余剰戦力無し!」の状態だったので使用を検討すらしなかったが、米軍は単純に忘れていたとのこと。

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 米軍が遮二無二シェルブールをめざしているらしいと言うことは何となく分かってきた。積年の願望ってやつは恐ろしい。飢えたまま放たれた猟犬のように一目散にターゲットへと駆け抜けてゆく。

が、ちょっと遅いのでユラユラと歩く様がハムナプトラの

「いむほ~てっぷ」

「いむほ~てっぷ」 

の集団のようだ(関係ないか)。

 しかしグリグリと押されると伸びるのは戦線。天然ゴムのようにビヨーーンと伸びてくれればいいが、このゲームではユニットが少ない上にZOCヘックスサイドボンド、ヘックスボンドが切れてしまうとあっと言う間に抵抗力が失われる。

 いつかは引きちぎられてしまうのを恐れながらK氏に聞く。

「あの~カランタンはマストで攻略せなあかん場所なんですけど。」

 それこそわかっとろーなと言う剣幕で第6降下猟兵などというエリート部隊でガチガチに固めている筆者が逆に非難されてしまった。

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 しかしK氏は見逃さなかった川沿いに張っていた部隊から抽出し、シェルブール方面に移動させたことで逆に弱くなっていることを!

 ドーブ川に沿い、米軍は強力な攻撃を仕掛けてきた。

 シェルブールに向けての前進と同じくチラッと突破できたかと思ったが、またもや予備はその地になくチラリズムに終始した。

「むむむむ!」

歯がみするK氏。

しかし筆者といえども余裕のある状態ではない。

戦線は伸び、

増援は枯渇し、

天候と言えば良く晴れ渡っている。

「総統閣下!贅沢は言いません!増援ください!米人にも人気の高い17SSでいいです!なんならパンツァーレーアでもいいです!」

 天にお願いをした所で出てこないものは出てこない。

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 攻撃は苛烈だが、ボカージュそして進路を防ぐスライディングで何とか持ちこたえている。

 が、調子に乗っていたらカランタンを力攻で落とされてしまった。さらには「断固とした防御」にも失敗!最精鋭の降下猟兵が守っていたのに~

 シナリオ特別ルールによりカランタンが奪取されたことでその地を守っていた第6降下猟兵が除去された。

 非常に拙い状況。

 勝利条件はカランタンの占領を果たしつつ、シェルブールの防衛線内に非HQの部隊を送り込むか半島を切断(シェルブールとシナリオ端が繋がらなくなる)で、そのどれもが達成できるかもしれない。

 とは言えこれは筆者のドイツ軍視点。K氏の米軍視点では逆に時間が足りない!と繰り返していた。

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 時間が足りません!

米軍の嘆きに助けの手をさしのべたのが心優しき独軍プレーヤーの筆者。

「君~いかんよせっかく戦車部隊とか揚陸しながら、晴れ渡っているのに予備も使わないなんて~君の目の前には脆弱な2本の道(嘘)しかないんやで。M4シャーマンの力を持ってすればたち所にコタンタン半島の西岸こんにちわやで~」

 多分K氏の頭の中には彼なりのパンツァーリートが鳴り響いていたに違いない。

 しかし!

位置が悪すぎました!

動けません!

展開できません!

比が立ちません!

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 結局最後の段に予備を使ったが全く効果なくあと数ヘックスまで迫りながら米軍はシェルブールの防衛戦に突っ込むこともなく、半島を横断しシェルブールを孤立させることもできなかった。

 本シナリオでは最初のターンに嵐となった他は後半になるにつれて晴れが続き苦しい戦いだった。晴れになるとドイツ軍が攻撃する時はヤーボ表を参照しどれだけ不利になるかならないか判定しなければならないとか移動力が減少するとかいろいろと不利になる。

 シナリオを終えてみて細かい間違いやこのルールを使えばって言うのもあったが概ね細かいルールが多いシモニッチ作品とはいえ大きなミスはなかったと思う。

 「あのー」

「どうやら途中から増援の換算間違っていたみたい。」

「なぬー」

どうりで連合軍の部隊展開が早いと思った。

 それを抜いても地味なシェルブールシナリオは他の7ターンシナリオに比べて少しだけ長いけどユニット数は少なく練習には良いのではないだろうか。ドイツ軍は装甲部隊がいないので大規模反撃というのは不可能だが、連合軍の攻撃をつぶさに観察することによって学ぶことができるだろう。

 キャンペーンでは連合軍の消耗についてもサドンデスの対象となるのと可能性があるので従前の消耗と大規模反撃によって補充が追いつかなくなるという事も考えられる。

 次にプレイするならばキャンペーンは時間的に難しいので7ターンシナリオでもプレイしてみることを誓った。また他のノルマンディ戦のゲームも興味が出てくる次第。   

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コメント

もりつちさん
 どーもです。埋め草的なシナリオかなと思ったらきちんと上陸からプレイできるので練習にはもってこいではないかと思いました。
 このゲーム、マグニチュードシステムの代わりにMAFを用いたのは正解かもしれないですね。また3人とかソロとかにも配慮されているのは好感が持てますね。シェルブールシナリオに関して言えばシモニッチ特有の重たさと疲労感があまりなかったのでビックリしました。
 またプレイしましょう。

レポート面白かったです。
シェルブールシナリオはプレイしたことがありませんが、練習には持ってこいですね。
今度山科会に参加する際にはプレイしましょう。
この作品は比較的容易に3人プレイができるので、人数調整しやすいのが有難いです。

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