10月の戦い(2010年)その2
今月はプレイ低調だな~と考えていたある日。最近なら水曜日に電話をかけてくることの多いK氏が金曜日に電話をかけてきた。
内容はやはり時間が取れたからゲームをしようやと言う内容。しかも例によってプレイするゲームはお前に任すわといういつものフレーズ。
決まり文句とは言え筆者の双肩には責任という重圧がかかっていた。
如何にしてK氏の納得のいくゲームをセレクトできるか。
どのようにして筆者の好みのゲームを潜り込ませるか。
勿論、2人共々好むテーマ、思い出のあるゲームなどがあるが、いつもどこでも同じ様なゲームをプレイするとなるとプレイしている相手が同じである以上マンネリは避けられない。
筆者及び筆者らは割と1つのゲームを奥深く極めるというタイプではなく次々と新しいゲームや新しいシナリオをプレイし、この時に印象深かったものが再度プレイされることとなる。同じゲームがさほど短期間の間に重ねて繰り返してプレイするのはまれと言える。
ソロモングループの方々との会合で大いに変わったのは繰り返してプレイする機会が増えたと言うことだろう。
とは言え新しいゲームやシナリオへの渇望は無くなったわけではなく山科会こそがその機会の最たるものと言えるだろう。
と言うわけで今回も新たなるゲームを触れるべくプレイをした。
CORAL SEA(BELLICA 3rd GENERATION)
CORAL SEAはBELLICA 3rd GENERATIONというスペインのゲームメーカより出版されたゲームだ。スペインと言えば最近は時々出版の名前を聞くことがあるのでそれなりにウォーゲーム人口とか市場があるのだろうか。そう言えばウォーゲーム雑誌も出版しているのでそれなりのものだろう。
BELLICA 3rd GENERATIONという名前が指し示すとおりスペインのメーカーでありながら、既に世界市場に目を向けていて、マップ、ルールにはスペイン語は見当たらずかろうじてカウンターの一部にスペイン語があるのみで、スペインのメーカーとは判らない。全てが英語で表示・表記されている。
本ゲームはキャンペーンコマンダーシリーズと言うシリーズの2作目だ。キャンペーンコマンダーシリーズとは歴史上有名な戦いを4時間ぐらいで終えられ、当時の司令官と同じ状況と立場で判断が下せるゲームと言うことらしい。
第1作目はスターリングラードで、第2作目が本作となる。シリーズルールにはカウンター例として古代戦のユニットらしきものもあるので、歴史上とは近代現代に限らず古代まで範疇に入れるのだろう。
ゲームシステムが非常にユニークだ。両プレーヤーがリソースポイントを消費してマップ上でプレイするか、キャンペーンカードをプレイするかをビッドする。
両者がカードの時は両者がカードをプレイでき、両者がマップ上のプレイではダイスチェックでプレイできる側を決め、片側がマップ、もう片方がカードの場合はマップを選択した側がまずプレイし続いてカードを選択したプレーヤーが続けてカードプレイすると言う感じだ。
カードプレイは手札のカードに書いてあるイベントを履行する、カードを引く、カードを捨てるのいずれかがプレイでき、カードを捨てる際には1リソースポイントが貰える。
このゲームにはターンという概念がないので以上の入札→行動を繰り返してゆく感じとなっている。
戦闘システムもユニークでCRTとかファイヤーパワーではなくて戦術チットを引き合い、コーへージョンチェックをする。会戦級のゲームなどではよく目にする結束力とか団結力とか言う風に訳されるチェックだ。要は士気チェックに似たような感じで組織として体をなすかというチェックだ。
この戦術チットは各々の戦術値によって引ける数が決まり、大きな戦術値を持つユニットを持つ側は多くのチットから選択できる順番を決められる。またカードの中には戦術カードがあり、チットと同じようにチェックを強いさせたり戦力低下を誘ったりするものがある。
基本、士気チェックに失敗すると戦力低下を引き起こし、更にチェックに失敗すると混乱となる。混乱すると退却を強制される。混乱+戦力低下している部隊が退却できないあるいはさらに戦力低下の打撃を受けると部隊は壊滅する。
システムは大枠こんな感じ進めてゆく。
勝利条件は各軍に定められたサドンデス条件があり、その条件を達成した時にカードプレイでサドンデスカードを提示して勝利するのと、ユニットの撃破及び地点の占領を果たして勝利得点(VP)をかせぐというものだ。
ターンの概念がないのでカードの山札が無くなったときがゲームの終了となる。ちなみにサドンデスは4種類あり、連合軍がラバウルを占領するもの、ポートモレスビーとガダルカナルを保持するもの、ラエ、ブナ、ブーゲンビル、ガダルカナルのいずれか2つ、日本軍がポートモレスビーとヌーメアを占領したら等の組み合わせがある。
連合軍がラバウルを占領したり、日本軍がポートモレスビーとヌーメアを占領するのは難しいが、その他の条件は史実でも達成された目標であるので気が抜けない。
マップを見ると細かくエリアで仕切られており、その細かさたるや今までのソロモン方面では随一の細かさだ。例えばソロモン戦ゲームでは争奪戦の中心とも言えるガダルカナルは2エリアであるし、ブインのあるブーゲンビルは3エリアだ。更にはニューギニアはいわゆる東ニューギニアのみ描かれ、ポ-トモレスビー、ラエ、ブナ等の拠点と共に18エリアに分かれている。
プレイでは恒例のダイスチェックで筆者が連合軍、K氏が日本軍となった。
盤上を見るに脆弱な連合軍。ポートモレスビーやヌーメアに部隊がいるもののいずれも防衛のための戦力で、討って出るほどの戦力ではない。日本軍はサドンデスカードのプレイを警戒し前に出なければならない。ニューギニアのブナとラエに兵力を送りポートモレスビーへも圧力をかけたい所。更には無人の地であるガダルカナルへは早期に兵を送って日本軍の支配下とし、連合軍のサドンデスの目を確実に摘み取りたい所。
逆に我が連合軍はポートモレスビーの防備を固めカードプレイで増援を得て、ガダルカナルへと目指したい所。ニューギニアの防備が薄いならばここを攻め、ゆくゆくはソロモンとニューギニア両輪で攻勢をかけたい。
連合軍はオーストラリアに滞留する豪軍などをポートモレスビーに輸送する。同じく日本軍もサドンデスを喰らいたくないのでラエに兵を輸送する。
盤上でのプレイはリソースポイントを消費して補給ポイントに換算し、補給ポイントの届く範囲内の部隊が活性化され、行動分の補給ポイントを消費することで実際の行動ができるようになっている。
リソースポイントは増援でやって来るが配置は特定の場所に決められ、それを動かすためには海軍の艦隊ユニットで輸送しなければならない。それ以外でのリソ-スポイントの移動は不可で妙な所に下ろしてしまうと陸上部隊の撤退に障害となる。
艦隊が動くためにも補給ポイントが必要であるので遠路行動する場合にはリソースポイントを積んで行動しなければならず、更には帰りの駄賃も計算しておかねばならないのでこの辺は艦隊が遠路はるばる行動するためにはその分の莫大なリソースが必要になり、なおも慎重とならざるを得ない。
連合軍に先んじてポートモレスビーへ進む日本軍!オーエンスタンレー山脈を越えようとするがジャングル地帯への進軍は戦力低下を招くため日本軍はオーエンスタンレーで停止。次の補充を待って進軍の構えを見せる。
次の行動でオーストラリアよりの援兵をポートモレスビーに入れ防衛力を倍加させた。
すんでの所でポートモレスビーの強化がなったために二進も三進もいかなくなった日本軍。空襲で戦力低下を狙うが同じ事を連合軍にやられ進退窮まるの図。
ポートモレスビーはそれこそ本腰を入れて攻略しなければならない目標だが、序盤の防備の薄さに目が眩み陸路突進をかけてきたのは史実と同じで南海支隊と同じ運命を辿るのか。
しかしポートモレスビーからの攻撃はブインだけでなくラエも同時に攻撃かけること(システム上同時でなく矢継ぎ早に)を夢想していたので蓄積されたリソースポイントを撃退するためだけでは使いたくなかったのと攻勢に出るだけの部隊が揃えていなかったのでオーエンスタンレーの日本軍は放置されることとなった。
ニューギニア方面での消耗戦は受けて立つ所だが日本軍の戦力をばらすためにもヌーメア方面の補充や戦力を活用する。
手始めにガダルカナルに手を伸ばした。更に後方のエスピリッツサントーあたりからでも良かったが、日本軍の注目を寄せ付けるためにも先制パンチを浴びせた。
いきなりのガダルカナル攻撃はニューギニア一辺倒だった日本軍の目をソロモン海域へと向けさせた。海軍戦力では明らかに日本軍の方が上で、更には策源地であるラバウルに近い。危険な賭だが、ガダルカナルで作戦をするためにはそれなりにリソースポイントが必要で日本軍方が当たり前の話だがリソースポイントが少なくニューギニアとソロモンとの割り振りに苦労するハズだからだ。
リソースポイントを得るためには増援カードかカードを捨てるかそれか敵から奪取するほか無い。
どちらかが手薄になればそこが連合軍の狙い目。それを狙ったが・・・
しかしこのちょっかいは日本軍の本格的な攻勢能力に思い知らされることになる。
トラック艦隊という増援カードで空母を含む強力な艦隊がやって来た。
トラック艦隊による攻撃でガダルカナル方面の護衛艦隊は一掃され、逆にラバウルからの艦隊がガダルカナルに上陸戦を敢行し、あっと言う間にガダルカナル島は奪還されてしまった。
ガダルカナル島の部隊は孤立無援ゆえ一度撤退するともはや行く所はなく壊滅するのみ。その途中でせっかく集積したリソースポイントも日本軍に蹂躙され半数が奪われてしまった。
トラック艦隊は他の艦隊とスタックできず港にも寄港できないルールがあるので扱き使われる運命となるのか更に南下し、ヌーメアの連合軍泊地まで強襲をかけるという意外な手(暴挙)に出た。さすがにエアカバー無き遠隔地での戦いは連合軍に分があったのか、それとも単にダイス運が良かったのか(K氏は後者を主張)トラック艦隊は撃退された。
更に調子に乗る日本軍艦隊はポートモレスビーとオーストラリア間の交通を遮断する作戦に出てきた。
ちょうど連合軍艦船が少なかったのでかなり困ったことになったが、連合軍飛行場に囲われているため空襲で艦船の被害が嵩み、最終的には撤退せざるを得なかったとは言え一時的にヌーメアから救援の艦隊を差し向けようかと考えたほどだ。
時間が経つときになるのはデッキのカード残量。連合軍は盤上作戦が多かったのでまだ残量があるが日本軍は相当使い込んでいる。
最後のターン迄にガダルカナルを占領すれば連合軍が勝利できるのでガダルカナル島へ再侵攻する。これが連合軍の最後の望みとなりつつあった。
その前にエスピリッツサントーを占領し、飛行場を建設しガダルカナルを航空攻撃でカバーできるように手配した。
その上で更に大艦隊を派遣しガダルカナル島へ再攻撃を狙った。今度の海戦では不利かと思われたが連合軍の方が兵力が多く更には攻撃が冴え渡り日本軍の救援艦隊を葬り去り、更には互角に近かった陸上戦闘でも終始圧倒し続けガダルカナル島に橋頭堡を築いた。しかし時間切れでガダルカナル島の全て占拠まではならなかった。
戦いは点差で日本軍が勝利した。しかしその勝利は僅差であった。
初戦という事であまり断定できないが船が沈みにくい印象を得た。ソロモン戦役のゲームとしてはフネに冷淡で空母はCVで艦名無し、それに引き替え陸軍ユニットは聯隊レベルで更に部隊名入りと落差を感じた。他のソロモン戦のゲームが逆に艦名入りであっても部隊名無し、下手すればポイントやカウンター扱いというのが多い中新鮮に映った。
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【追記】
原文と和文ルール、英文チャートと和文チャートで不明点があったので問い合わせ中です。
投稿: ぐちーず | 2010/11/07 23:16