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10月の戦い(2010年)その3

 珊瑚海を終えた我々は次の戦場へ移った。珊瑚海と並んで筆者の心を捉えて放さないのはとある戦場。

 珊瑚海では珊瑚海と言いつつソロモン及びニューギニア一帯をマップに収めていたので比較的スポットの当たりにくいニューギニアの重要性もクローズアップされた。

 ソロモン、ニューギニアとくると残る激戦地と言えばビルマを忘れてはならないだろう。特に戦争前半の快進撃を扱う中で、ビルマは何回かテーマとなったことがあり後半のインパール作戦などのインド侵攻~ビルマ防衛破綻までも何度かゲーム化されている。

 残念ながら戦史戦記本の出版数ほどメジャーテーマとは言えず日本でのビルマ戦線への重み付けと世界大戦の中での重み付けには大きな差がある。

 そもそも当事者たる我々側の出版が少ないのはどうしたことだろう。そう考えていたらコマンドマガジンの予告に加藤隼戦闘隊の名前が踊り、それがいつしやフライングタイガースに名前を変えた頃、2in1としていつの間にか「ビルマ電撃戦」の名前も添えられるようになっていた。

 「ビルマ電撃戦」とは何か?悶々とした日々を過ごしつつ発売日を心待ちにした。

 発売日が近づくに従って情報は次々と開示され、それがビルマ進攻作戦をテーマにした作戦級だと言うことが判ってきた。

 最新の「ビルマ戦」を手にし、そのプレイアブルなゲームに驚きいつしかプレイする事を企んでいた。

ビルマ電撃戦(CMJ94)

 ソロモンの次にビルマとはちはら会さんのお株を奪うようなセレクトかもしれない。日本軍ラブな筆者と言えども日本軍関係のゲームを続けてとか重ねてプレイする事はなく、珍しく重なってしまったが、これは意図してではなくまさしくたまたまであった。

 ゲームはビルマ進攻作戦が本格化した’42年1月からゲームはスタートする。本格化したと書いたのは12月の12日には宇野支隊が進入開始しビルマ最南部のビクトリアポイント及びポーピアンを占領し、さらに復帰後分派した沖支隊が更に北側のタポイまで占領し既にビルマの地に日本軍は進入していたからだ(それぞれマップ南端外)。

 それには南方軍の命令があり、マレー作戦の後背地の擁護という目的があったので第15軍にはモールメン等ビルマ南部の飛行場を占領すべしという命令があったのでその前段として行動していたわけだ。

 ところがマレーを攻略する第25軍が戦況の進展に伴い予備としてあった第56師団を大本営へ返上するということになった。兵力不足で南部特にラングーン攻略まで無理かと思われたビルマ攻略作戦が現実味を帯びるようになり、前倒し的に攻略作戦が発動されることとなった。

 対する英軍はどうか、モールメンをはじめテナサリウム地方を守る第17インド師団は部隊が散在し中には警官を集めて正規軍に編入したばかりという大隊もあり、その防衛に不安を募らせていた。師団長のスミス少将は当該地区の防衛には増援が必要と軍司令官のハットンに要求していたが、さすがにテナセリウムのみに増派するのは無理でハットン中将はモールメンを失うとラングーンへの輸送船・連絡線を脅かされる恐れがあるので、極力前方で防備すべしとの命令を与えていた。

 そういう状況から本ゲームは開始する。

 日本軍にとってラッキーだったのは在地のビルマ人達が既に政治的には独立の芽が熟成しており日本軍に協力的で、さらにはタイ国内いる部隊もタイ軍の全面的な支援を受けて進攻を開始していた。タイからビルマのテナセリウム地方へ進軍するには道というような道はなく悪路難路を前進していった。もちろんゲームではそんな所までゲーム化しておらずいきなり国境沿いの町に配置することができる。

 進攻は第55師団及び第33師団。名付けてゾロ目ブラザース。第55師団を「壮」と呼び、第33師団を「弓」と呼ぶ。兵団文字符と言われる秘匿名称でこの戦争の前年に定められた秘匿称号戦争前半はあんまり目にしないけど制度としては既にあって戦争が後半になってくると文字符の方が多くなってくるので代表的なのは覚えておくと便利。

 「壮」も「弓」兵団も戦争の後半までビルマ近辺に存在し、「壮」兵団はニューギニアで有名となる南海支隊の母隊でもある。「弓」兵団はインパール作戦参加3師団の1つで有名だ。

 「壮」は善通寺師管区と言うことで四国の師団で、「弓」は宇都宮師管区で茨城・栃木・群馬3県の師団だ。

 本稿では「壮」兵団とか「弓」兵団とか呼称すべきかもしれないが、他の戦史書と同じく普通に第55師団と呼称する。

 さて史実ではビルマ攻略作戦開始以前のモールメン攻略作戦に第55師団を主力として南方に分離する支隊と共に攻略戦を発動するはずだったが、戦局の進展によりモールメン攻略=ビルマ攻略作戦のようになり、第55師団を主として第33師団は道路啓開作業に従事しつつ第55師団に続くように部署されていた。

 英軍の想定でも1個師団ぐらいがやってくると踏んでいたようだったが、実際には防備・準備不足で1個師団未満の第55師団に敗退を重ねることになる。

 ゲームではK氏が日本軍を担当する。

 英軍が固定箇所にセットアップするのに対し、日本軍はタイ国内の道路上に配置する。

 史実と違って2個師団をラーヘンとコーカレー間に道路が開設されているのでモールメン前面に当たる方面に1個師団を投入するのは当然として、あと1個師団をどこに展開するするかで戦いは変わるようだ。テナサリウムに2個師団突っ込むのも良し、シャン(タイの北部)に1個師団の均等配備でも良いし、シャン州に兵を出すとしてテナサリウム重点に置くという風にバリエーションを持たせることができる。

_igp1395

 スタック制限は歩兵・騎兵2ユニットに砲兵・戦車をそれぞれ1ユニットの計4個を載せることができる。歩兵は1ステップロスロスすることで分遣隊を1個増やすことができる。分遣隊は歩兵聯隊の分身として歩兵聯隊と同じように扱うがステップ制限の対象外だ。砲兵や戦車は戦闘時にダイス修正をもたらす存在だ。

 今回はテナセリウム、シャンに1個師団ずつという均等配置。

 勝利条件はサドンデス条件はターントラックに記されたVPを達成すれば得られるというもので、VPは飛行場の占領、中国軍ユニットの壊滅で得られる。また日本軍のステップロスはカウントされ、ある一定の数量でVPが引かれるようになっていて、その影響でとあるVP以下であると日本軍がサドンデス負けしてしまう。いわゆる達成型VPと言えども足切りが存在する。

 システムは移動前戦闘-移動-戦闘というシーケンスを日本軍、英軍の順番で繰り返す。移動はZOCの出入りに+1されるので拘束型のZOCではない。しかし補給線を遮断したり、退却の障害になったりという効果がある。

 移動は日本軍7、英軍6、中国軍は指定した軍は6、それ以外はダイス判定でと言う風に日本軍が迂回してくださいよといわんばかりの優位性がある。また補給は2ヘックス内に道路がありそこから補給源まで続くことであり、補給切れは戦闘時の1シフト不利、移動力がダイス判定となる。

 戦闘は戦闘力差。補給と地形はコラムシフトで処理され、戦車と砲兵はダイス修正される。ユニット数が少ないのでさほど大きな戦力差が付かないので概ね防御側後退DRが多い後退型CRTと言えるかもしれない。

 注意しなければならないのはダイス修正が付くと相手が損害喰らうのと同時に相互損害も増えるので闇雲に高い比率を立てればいいというものではない。

 基本後方を遮断(ユニットないしZOC)なしに敵に損害は出ないと思って攻撃するのがベター。

 序盤は正面からのコーカレー突進。北では故郷を越え、在地の英軍を攻撃。しかし両者とも後方を遮断できずに行われたので捕捉できなかった。

 第1ターンは特別に移動前戦闘がないので1度の戦闘で終わってしまうが、続く英軍プレーヤーターンでモールメン前面に堅守を敷かれる。

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 モールメン前面では日本軍の拙攻と英軍のクリティカル攻撃により漸進的となっている。ZOCが緩いとは言え回り込めないように配置したり日本軍歯噛み。

 たった数ヘックスのモールメンといえども手が届かない。このターン解放した飛行場は1つ。3ターンの時点で6VPだとサドンデス勝利できるけどこれが維持されるとサドンデス負け。

 モールメンを落とせればラングーンまでの道が啓開され、その後の戦いを決定づけることになる。ラングーンは単純にビルマの首都というのではなくて両軍にとって増援の到着する地点。ラングーンを落とせば英軍の増援はここから出てこられずインドより遠路はるばるやってくることになるのでラングーンの落ちるタイミングがゲームの行方を展開すると言っても過言ではない。

 増援スケジュール的にも日本軍の増援をラングーンから進発させる必要があり、早期にモールメン、間髪入れずにラングーンを攻略するというのが日本軍の「そうでありたい姿」だ。

 しかし続くターンの日本軍の攻撃は渋ったものだった。攻撃の成果を上げるために戦力を集め敵に致命傷を与えるつもりが相互損害連発で逆に窮地に。とはいえモールメンを占領しラングーンへの扉が開けたかと思われたが、英軍の増援が滑り込みでシッタン河とサルウィン河を越え戦線を強化される羽目に。先ほどの損害のためにモールメンの+1点もチャラになってしまった。

 さらには英軍の攻撃が成功し、モールメン付近で封じ込められる日本軍。

_igp1397

 視点を変えてシャン州の進捗はどうか。

 シャン州は第33師団を中心とした攻撃で、モンパウン経由でマンダレー方面、あるいは北部から遅々として参加する中国軍を撃破する予定であったのだろう。

 ゲーム終了時点の勝利条件としてラングーンの占領とインド-雲南間の連絡線を遮断することとなっており、その目標をクリアーするために北部に1個師団を配置すると言う案がある。

 VP的にも移動力が不確定要素の多い中国軍を捕捉し、得点源となすという考え方もあるだろう。

 しかし南での不調に引っ張られてというかここでも戦力を集めすぎて相互損害で失点しており、飛行場は1つも奪えないという南以上の不調ぶり。

 さすがに途中から分遣隊をうまく使いこなしていないのに気がついたが、その時には既に遅く、モンパウンの会戦でモンパウンを占領できたがロイレム前面の会戦で攻撃に失敗し、5ターンの足切りに引っかかって日本軍のサドンデス負けで終了した。

◇◇◇◇

 K氏は不慣れとは言え結構悔しかったらしく、プレイ後の好評で英軍視点での日本軍の攻め方などを講評しあった。ちょっとしたテクニックも必要だがやはり史実はどうなのと言うこともあるので関係ある所だけ最後にちょろっと書いておきます。

 史実の攻め方はラーヘンから前進した第55師団はコーカレー〔HEX1108〕を抜き、1月末にはモールメン〔HEX3110〕を奪取した(1ターン~2ターン)。

 同じく後続していた第33師団は55師団の北側を前進し、第55師団と共にサルウィン河を渡り足止めしようと必死の防戦する英軍を撃破しつつシッタン河に取り付いた(3ターン)。

 ラングーンを攻略する南部ビルマの作戦が正式に定められ、北側を第33師団、南側を第55師団で並進し、第55師団をペグ-〔HEX2912〕に第33師団をラングーン〔HEX3112〕まで前進し占領した。

 第55師団がペグーで敵戦車部隊と会敵し、独立速射砲中隊が蹂躙されたのは有名な話し(4ターン)。

 ラングーンが陥落するかどうかの状況で英軍の指揮官交代があり、ハットンからアレキサンダーへと後退した。アレキサンダーは上級のウェーベルよりラングーンの保持を求められ日本軍への反撃を試みたが間隙を突く第33師団の前進に、また反撃部隊も出鼻を挫かれ瓦解した。

 ラングーンを占領した第15軍諸隊はそのまま中部ビルマ攻略作戦へと移行し、増援として追及してきた第56師団先遣隊とともにトングー〔HEX2512〕を攻めてこれを陥落させた。同じ頃第33師団はプローム〔HEX2414〕を目指して前進し付近のシュエダンでまたもや敵戦車部隊に速射砲を蹂躙されるなどしたがプローム前面に取き分派した部隊はダバセイン〔HEX3015〕を占領した(5ターン)。

 史実ベースでは飛行場だけの占領ペースは3ターンで2点、4ターンで3点、5ターンで5点ということになり結構厳しい。この辺デザイナー的な視点などが伺えて面白い。テクニカルな所はあるがユニット数が少なく適度にマップも広くルールも軽めな方なので再度気軽にプレイしてみようかなと言う気にはさせてくれる。

 そのせいかすぐさま再戦が誓われた(これはこれで珍しい)。 

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コメント

もりつちさん、どーもです。
そうですね、日本軍に難しい方が面白いと思うので今回はええ感じだと思います。連合軍も日本軍にどこで焦らせるかという楽しみもあるので楽しいですね。

こんにちは。
私も本作を試してみたのですが、日本軍は難しいですね。
短時間でプレイできる作品なので、繰り返し遊んでみたいです。

takobaさん、どーもです。
記事中にも触れていますが、元々日本軍に厳しめの設定なのと、大火力を集めるのが必ずしも適当でないっていうのが序盤の要点ですが、その他に序盤の英軍はなるだけ葬り去るのも重要かと思われます。Kさんは大火力を集めたがる傾向があるので、その辺で負のスパイラルに陥りました。次戦は日本軍が良いとこまで行くと思うので楽しみにしておいてください。

このゲーム、私の腕では日本軍に勝ち目はありません。
リプレイ記事でもしかしたら、日本軍の勝ちが出ているかと思いましたが、そうではなかったので、ああ、Kさんでもそうだったのかとちょっと安心するとともに、是非とも日本軍の勝ち姿を見てみたく思います。再戦記事期待してます。

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