12月の戦い(2010年)
12月と言えばウォーゲーマーなら反射的にバルジの戦いを思い浮かべるものらしい。かくいう自分も12月と言えばバルジの季節か~と勝手に12月のゲームテーマをバルジ作戦に決めてしまっている節がある。
最近は関ヶ原会に見られるように関ヶ原強化期間などという風に長期にわたって同じテーマをプレイする事が多くなってきた。同じように最近はノルマンディ強化期間でもあったわけでそれをぶった切る形でやって来たのが12月。今年の12月はどのバルジをやるかのーと思っていたら渡りの船的に話が持ちかけられた。
takobaさんだ。
なんでもバルジのゲームがしたくなってメールします的なアクセスがあった。
海ものオンリーと思われたtakobaさんからの連絡は我々山科会に衝撃を持って迎えられた。
ハリガネロック嫌いもとい針金弁当嫌いのtakobaさんが!
バルジをやりたいだと!
そんな報を聞いてK氏は満面の笑みが判る口調で連絡してきた
(K)「takobaさんがバルジって?ほんなら俺米軍な。ひさしぶりやなあ~」
(ぐ)「なんでもギッタンギッタンに畳んでやるとのことらしいで。」
(K)「「久しぶりやからおもろいなあ~楽しみだなあ~(笑)」
(ぐ)「逆に手ぐすね引いて待っているって伝えとくよ。」
(K)「煽るよな~セットアップしとくは」
(ぐ)「あ!エポックのバルジとちがうで」
(K)「え!ちゃうんか!」
そう、K氏がよく知る一番プレイされたエポックのバルジ大作戦ではなくまた別のバルジであった。
山のようにあるバルジの中でもtakobaさんがチョイスしたのは何かというとGJ29号のバルジであった。
激突!バルジ突破(GJ29号)
本ゲームはゲームジャーナル29号で付録となったアルデンヌ戦のゲームだ。以前走れパットンというアドテクノスのクワドリゲームにバストーニュの戦いが再版として付録となったに続いて久しぶりの西部戦線もの。ゲームジャーナル誌はコマンド誌とは違い西部戦線もののテーマが付録となる事は珍しく今回2回目となる。
単純にオーソドックスな作戦級であればコマンドからエポックの再版ものであったり、サンセットからはSPIのクワドリのバトル・フォー・アルデンヌ、山崎氏のブランドからはダークディッセンバーと出ているので、この辺は変化球を狙ってきたのか以前、キエフ奪回作戦で好評を得たチットドリブンシステムを搭載して南ウクライナの地からベルギーアルデンヌの地に舞台を変えてやって来た。
Takoba氏が興味を抱かれたのはやはりそのシステムだろう。よく引き合いに出されるのがモメンツヒストリー社から発売されていたターニング・ザ・テーブルシステム(TtTシステム)。一時同じシステムを持つゲームが数作発売されたが出版社の衰退と伴に忘れられそうになっていたが、大手ゲームメーカーのGMTで一作のみ発売されたあとには後継の作品は出ていない。
そのシステムをさらに発展させたと言うことだろう。戦術チットで戦術的なイベントを戦闘解決の際に修正するという手法は、出た当初大いに注目を集めた。TtTシステムと大きくちがうのは戦闘時に戦術チットを戦術値分毎回引いてくる所を、引いてきた戦術チットをユニットに装着するかの違いがある。
戦術チットを装着することにより没個性となりながちなハリガネ弁当のゲームが、キャラクターゲームのように個性を帯びることになる。
※ゲームでは単純に支援チットとイベントチットを総称してチットとしているがここではわかりやすくするために戦術チットと呼称している。
細かく書き出すと似て非なるシステムだが、戦闘における戦術チットの影響はやはりそのフォロワーを思わせるものがある。
ゲームはTakoba氏と筆者が独軍、K氏がたっての願いで米軍を担当することになった。
本ゲームは師団レベルで再現する。多くのゲームがもう少し下位の編成、連隊とかがユニットの単位だが、本ゲームでは師団という戦略レベルの単位がユニットの扱うレベルとなっている。
それは何を意味するかというと師団レベルと言うことは尺が大きくなり巨大な戦域を扱うのかと想像するが、残念ながら従来のバルジをテーマとするゲームと同じ範囲を扱う。と言うことはマップに対するユニットの数が少ないという事になり、1ユニットごとの重要度は他のバルジゲームと比べて高い。
ゲームの手順は補給→チット取得→移動→増援→敵対応移動→攻撃→敵反撃と言うシークエンスターンを連合軍→ドイツ軍の順番に行う。
第1ターンは連合軍のターンはなくドイツ軍の移動から始まる。
第1ターンは戦術チットの類も決まっているので任意のユニットに積み込んで発進する。戦術チットはユニットに記される輸送値の数分持ちゆけるが、森林や尾根に入ると輸送力がゼロ扱いとなり、積んでいる戦術ユニットをチット入れに変換しなければならない。
よってルートと敵の布陣、攻勢の構成によって戦術チットをどのユニットの携え、どう使ってゆくかは考えなければならないのだろう。
この辺はソロプレーで勘所を掴んでおかねばならなかったのだが、これだ!と言う配置を掴んだか掴んでいなったか判らない状態でプレイに挑んだのと、対人戦での舞上がりで完全に失念し効率とはほど遠い使用法になってしまった。
攻撃法も拙かった。戦術チットが不適切であったのに加えて、チットを最大限利用するに至らず。攻撃は渋いものであった。
それでもゴリゴリ進むドイツ軍はサンビットを落とし、北部の米軍師団を包囲するべく突破の穴を広げる。
第5装甲軍戦区ではクレルヴォー前面で敵の猛烈な抵抗に遭遇し、装甲師団2個を注ぎ込もうとも断じて通してくれなかった。
第7軍戦区では敵が少数であるのをいいことに南からの増援ヘックスを押さえるべく機動。しかし地形「川」に阻まれさほど前進できなかった。
ドイツ軍を明確に責任分担しなかったこともあって戦線に穴が空いたままだったりというのはあり奪回される所もあったりと、この辺ちょっと杜撰だったなと反省しきり。
そうこうしている間に米軍は早くも体勢を立て直した。
補給のフェイズには補給チットを選んでそのターンの混乱回復や増援、チットの選択を行う総数を選択できる。そのチットはゲーム全体で1回ずつしか使えないので、選択を間違えると戦術チットを余らせてしまったり、増援が来てくれなかったり混乱ユニットがいっこうに回復しなかったりする。
米軍はチットをタイミング良く選択し、イベントで増援が早くやってくる「パットンの救援」や「砲兵支援」のチットでドイツ軍の損害が1増える「VT信管解禁」などが次々とやってきた。
ドイツ軍は最初のターンから付いている2度移動できる「パイパー戦闘団」チットでマルメディまで突進したが、側面から米機甲師団などの圧倒的な増援の前に攻勢は頓挫。
クレルヴォー前面でも攻撃に立て続けに失敗し、北でもVT信管のおかげで損害はうなぎ登りとなってしまった。
完全にドイツ軍の攻勢が行き詰まってしまったので次回の華麗な突破戦を予言してゲームを終了させることになった。
行動の総量を補給チットで規制したりバランス取ったりするのは面白いと感じた。チットで戦闘をドラマティックに演出するのは好き嫌いが分かれる所。言えば普通の作戦級ですがちょっとずつ特徴的なゲームなのでパッとプレイすると言うのは向かずに綿密な検討が必要でした。
そう言う意味では簡単なゲームではなく敷居が高いと言えるかもしれません。それでもユニークなシステムは一見の価値があり、takobaさんなどはこれで空母戦のゲームでもできないかなあと刺激を受けたようです。
« インターネットにて | トップページ | 12月の戦い(2010年)その2 »
この記事へのコメントは終了しました。
コメント