10月の戦い(2011年)
早くも10月に突入してしまった。今年は不幸な出来事があったとは言えゲームプレイに関しては昨年とそれほど変わらないペースみたいだ。それはそれでどーかとも思うが、ともかく今年はゲームプレイの回数としては平年以上となっているみたいだ。
今回は以下のゲームがプレイできた。
- Battle for China(CMJ41)
- 信長軍記(EGJ11)
Battle for ChinaはもともとDTPゲームとしてネット上で販売されていた海外の作品で、DTP作品がレギュラー雑誌の付録となる事に興奮したものだ。
後にも先にもDTPゲームが付録になったのはそうないのでそういう意味でも貴重。本作品の場合、単純にそのまま付録化したのでは無くエキスパンションキットも含めての付録化で、ゴージャスな仕様だった。
信長軍記はウォーゲーム日本史の第11号として発表のあった最新号で、ウォーゲーム日本史初のヘックス(6号の箱館戦争何に収められている海戦ゲームが初)作品かと話題沸騰の作品。なんと6号の箱館戦争で鮮烈デビューを果たした外人さんによる日本史ゲームで、日本人とは違う切り口でデザインされている。
今回はBattle for Chinaをお送りする。
BATTLE FOR CHINA(CMJ42)基本ゲームシナリオ
前回に引き続き中国大陸での戦い。本ゲームが選ばれた理由はひとえにこのゲームのマップを何かの機会に見たK氏がプレイしたい!と言ったからに他ならない。
もちろん日本が大陸に進出してゆく様を描く作品は少ないので、筆者的にも非常に興味のある作品の1つであった。このままコレクションとして死蔵させておくのも勿体ないので、プレイする事にした。
相変わらず担当する陣営はダイスで決めた。なぜか前回と同じく筆者は中国軍側となった。今回の日本軍も一号作戦の日本軍と同様強力な相手だ。果たして今回はどうなる事やら。
おおざっぱにシステムを説明すると政治支援ポイントなるリソースを用いて行動できるスタックが決められてしまう。政治支援ポイントは政治支援レベルによって各々決定され、それは地べたの支配だったり、工場の保持や奪取だったり、諸外国の支援だったり満州国からの支援だったり、部隊の壊滅だったり様々な要因で増減する。
部隊の補充や増援は装備ポイントというもので管理されており、政治支援ポイントからの変換だったり(日本軍のみ)、諸外国の支援だったり(中国軍のみ)、除去部隊からの回収だったりする。こちらが単純に補充ポイントでないのは例えば戦車や砲兵、航空機、陣地などの支援マーカーであったり、練度の向上、ゲリラの購入、部隊の上位互換、大量に物資を消耗する大攻勢や上陸作戦などの様々なものに使われるからだ。
ゲームの流れは
ランダムイベント→歴史的イベント→海外支援の判定→戦略フェイズ→編成フェイズ→日本軍移動→日本軍戦闘→中国軍反撃→日本軍回復→中国軍移動→中国軍戦闘→日本軍反撃→中国軍回復→ターン更新
となっている。この中で戦略フェイズは装備ポイントをゲットし、部隊の新編再編、支援マーカーの購入にあてられる。国民党部隊はゲットした装備ポイントをストレートに貰えず、腐敗判定で装備ポイントが失われるという当時の横領横流し横行の腐敗した状況をあらわしている。もう一つ編成フェイズとは「兵団」というスタックにまとめ直すことであり、以降の行動はこれら兵団単位となる。
ゲームは1937年(昭和12年)秋から始まる。
日本軍は満州事変とそれに連なる大小様々な事件の末、満洲、さらにはそれを越えて浸食するようになっていた。盧溝橋事件を発端とし日中は戦端を開くこととなったが、現地軍はともかく政府は不拡大路線であった。しかし南の上海でも戦火が挙がり、エスカレートしてゆき北支那方面だけの戦いでは収まらず北支事変から支那事変と改称されるほど戦争は全面化していった。
盤面の状況は熱河と上海に兵力を集中する日本軍。日本軍の補給線の関係上満洲から鉄道線で繋いでゆかねばならないので上海は後回しにして熱河からの侵攻が始まった。
さすがにフルスタック2つの攻撃を阻むものは無く北京・天津を含む河北省は日本軍の地となった。
中国軍は上海・南京のある江蘇省へ兵を送り込み日本軍の津浦線経由の江蘇省攻略を妨害する魂胆だ。
日本軍の補給線は鉄道線に依存し、鉄道線は都市間を繋ぐので都市の攻略が必須となる。日本軍が都市を確保して入るにもかかわらず都市外には中国軍が存在し、省の支配権は中国軍が握っているというようなことも発生する。この点と線の支配が再現されて面白い。
中国軍は政治支援ポイントを稼ぐには省の支配を得ることが重要で、隙あらば取り返すぐらいの気持ちで取り組んだ。とは言え難しいのは国民党軍と共産党軍のバランスだ。日本軍の行動は鉄道線によってある程度方向性が有り、国民党軍が跋扈する地に突進してゆくことには違いない。その足下をすくうのが共産党軍。奥地から正規軍あるいはゲリラを送り込み、日本軍の兵站を脅かすのだ。
しかしこの方法で共産党軍が勢力を伸ばすと国民党軍は大いに政治支援ポイントを減らすこととなる。実は中国軍は国民党軍と共産党軍で政治支援ポイントを別管理しなければならないのだ。
あまりにの日本軍の切れ味に気持ちよくなっているK氏はいつものおきまりのセリフを吐いている。「圧倒的ではないか我が軍は」
日本軍は山東省と隣接する河南省へと侵攻を始めた。山東省は津浦線の河南省は京漢線の路線がある省だ。手っ取り早く江蘇省へと突入したいが側面を一本の鉄道線に委ねるのは非常に不安だからだろう。側面を防護しつつ面で押しているというイメージだ。
京漢線の支線、正太線の終着にあたる山西省まで乱入してきたが、あまり兵力を分派すると主力のパンチ力が失われるので支隊の派遣だったが、山西省の支配までは及ばなかったようだ。
戦争がエスカレートしてゆくと日本軍は莫大な政治支援ポイントや装備ポイントが必要となる。それが足枷となるがポイントを絞った効果的な行動を心がけなくてはならない。
中国軍側もそれは同じで、政治支援ポイントは支配地を確保奪回するという事も大事だが、国民党と共産党とのバランスをも考えねばならない。もっと問題は日本軍との兵質の差を縮める支援マーカーをゲットするためには海外からの支援が必須で、援蒋路の確保と海外支援を成功させなくてはならない。また国民党軍の主力である軍閥にも注意を払わなければならない。彼らの補充は毎ターン必須で全軍閥に漏れなくする必要があり、達成できない場合はペナルティが待っている。
運良くソ連との交渉がまとまり防共協定が締結されたかソ連からの支援を受けられることとなった。
なけなしの装備ポイントは南京に籠城する部隊に陣地マーカーが与えられた。南京付近で激戦を繰り広げられる(ハズ)の中で背後から共産軍が浸透し、補給ラインを断ち切る作戦を実施することに決した。
山西省にはゲリラを浸透させ、綏遠省とチャハル省に共産軍正規軍を前進させ、日本軍の補給ラインの根っこに当たる河北省を脅威に晒す。
うまくいけば南京に集結する日本軍のうち何分かをこちらに振り向けさせ、右往左往させることができるのでは無いか。
また共産軍はゲリラと正規軍の二本立てでゲリラは普通の攻撃でなく対ゲリラ戦の戦闘解決をしなければならず、正規軍は敗北してもステップロスのかわりにゲリラに変えることができる。ちょっと美味しい存在なのだ。
山西省からの突入ゲリラの他に装備ポイントで大量増殖したゲリラは河北の地に大挙して押し寄せた。
日本軍も部隊を新たに投入しこれらの危機に対処する。南京の国民党軍が頑張っている間に山西省を国民党が奪回し、共産軍はゲリラ戦に消耗した所を攻撃するためにチャハル省にも赤軍のスタックを築きはじめた。
気になるのは国民党軍の復旧度。撃破された部隊の後詰めが編成できるほど装備ポイントが余らないので撃破される部隊の数に補充が追いつかない。
その穴を埋めるように共産軍を使うが国民党軍のポイントも下がるので複雑な心境。
「なにこれ?河北にめっちゃゲリラいるやん?コレ満洲来るの?俺死ぬの?」
幸い紳士協定(ルール)で中国軍は満洲ゾーンに入れないという事になっているので近くにいる共産軍や共産ゲリラは満州に入れない。
南京でようやく中国軍を制した日本軍はとって返す刀で共産軍の膺懲に乗り出すことにした。
ほとんど主力の大半を投入しての共産党狩りが始まった。世にマッカーシー旋風という(嘘)
あまりの大馬返しにそれを望んでいた筆者もビックリ。
主力を注ぎ込んでのゲリラ狩りに成果がなかなか上がらないのでK氏はイライラ。
それもそのはず今までの正規軍の戦いではオッズ式で自らの戦力と練度、支援火器の豊富さで高比率なオッズをうち立て、自らの傷を負うことなく敵を壊滅させてきたが、ゲリラ戦ではそれほど効率的に行かず、相手を根絶させずに自らはポロポロと被害が出だしたからだ。
しかもゲリラは敵ユニットの有無にかかわらず移動でき、その地で増殖してしまうのでたちが悪い。
あまりに背後の地にゲリラが増殖してしまったためにあたかも一号作戦で治安師団、野戦師団を根こそぎ動員したために共産軍の浸食を許したかのようになっている。
ゲリラやテロリストなどの非正規戦の難しい所は完全に勢力を殲滅しないと雨後の筍のようにニョキニョキと伸びてくる所。また思わぬ所からぽこっと頭を出してくる所竹にもそっくりだ。
共産党軍に釣られて西へと兵を動かした日本軍は一大共産軍殲滅作戦を開始した。世に言う百団大戦(違うか)だ。
共産軍に手を焼きながらも徐々に成果を上げているものの終わりのない戦いに絶望感漂う日本軍プレーヤー。
「この戦いはいつ終わるんじゃ-」
そんな絶望感に打ちひしがれる日本軍プレーヤーにとどめを刺すかのように国民党軍の攻勢が始まった。治安部隊で手薄となった安徽省や河南省に攻撃!これが成功して彼我の態勢は第2ターンの段階まで戻った。
このまま山東省や江蘇省まで攻撃できれば第1ターンの状況まで時間を巻き戻せるが、残念ながら装備ポイントが枯渇している国民党軍の攻勢は限界だった。
河北省・山東省にゲリラを集中配備して江蘇省攻撃をブロックするという手もあるが、あまり共産軍の勢力が伸びすぎると国民党軍の政治支援ポイントが減殺されるのが痛い所。
が、なんとこのまま中国軍が優位のままゲーム終了まで進むかと思われたが、勝利の女神は日本軍に微笑むことになる!
今までランダムイベントは何かと中国軍に不利なのが連発していたが、ここに来て国共合作が決裂!と言う状況。
国民党軍と共産党軍の危ういバランスの上に成り立っていた中国軍の反撃はここに来て破綻。
間の悪いことに先ほどの反撃で国民党軍が突出した格好になり、増援を注ぎ込んだ日本軍の前に大量の国民党軍が壊滅。
さらに今まで余り冴えなかったゲリラ戦も被害僅少でゲリラ側が殲滅されるという事態が頻発!
部隊の殲滅と土地の失陥は政治支援レベルの低下に繋がる。ただでさえジリ貧傾向だった国民党軍に大ダメージ。あっと言う間に危険ラインの20を下回った。
政治支援ポイントがあまりないと行動機会を失うだけでなくダイス修正が加わる。しかし向こうは気力体力共に充分な日本軍。今までの鬱憤を晴らすかのように共産ゲリラの本拠地目指し攻勢、また国民党の残余も必殺仕事人狩りのように残党狩りに余念がない。
見る見るうちに政治支援レベルが下がり、「0」となると敗北となる。まさしく政治支援レベルのポイントトラックは見る見るうちに下がって行く。
あっと言う間に「0」に達して中国国民党が崩壊し中国軍が敗北となってゲームは終了した。
ちょっと前まで日中戦争の経過など講釈たれていたのに・・・
なかなか興味深いゲームだった。ただし日本軍の移動力がどれだけとか今一わかりにくいとか、中国軍の戦力低下がややこしく不公平感があるとか細かい所で突き抜け感がないが、日中戦争の傾向を所々に見ることができる。初期の侵攻からゲリラ戦に移行する所、日本軍の進行方向が鉄道である程度左右される所、点と線、面の戦いと言う非対称戦である所などなどだ。今回中国軍に与えられる諸外国からの支援が振るわなかったのでアップグレードする中国軍というのは見られなかったが、そうなった時の戦局に与える影響も見てみたいものである。
« 9月の戦い(2011年)その3山科会 | トップページ | 11月の戦い(2011年) »
この記事へのコメントは終了しました。
コメント