8月山科会(2016年)その2:講談級大坂の陣:大坂夏の陣
葉月のある日、昼休みでよからぬWEB閲覧をしている最中にスマートフォンから呼び出し音が鳴った。
「おう!俺、俺」
「誰?」
「もうええねん。そのくだり」
紙氏からであった。
いつものやり取りを経て要約するとたまたま時間がとれるのでゲームをしてよいと言うことだった。
プレイするゲームは何でもよいと言うことであったが、「それでは秘蔵の...」と切り出すと、「そう言えば、俺、講談級夏の陣プレイしたことないねん。」と言うこともあって、あらかたプレイするゲームが決まってしまった。講談級と言えばそれほどプレイ時間を要しないが、山科会の無印というと遅め時間スタートが多いゲーム会なので、小型のゲームが決まってしまうとおおよそ小物をたくさんプレイするというのに方向付けされる。
今回は元より時間がそれほどかからないであろうゲームをプレイする予定だったので渡りに船だ。
講談級大坂の陣:大坂夏の陣
「大坂方の夢を追いかけるゲーム」というのが本ゲームに付けた名前だけど、このゲームをプレイしたことがある人は頷く人が多かった。そう言う話を聞いてか紙氏も本ゲームに興味を抱いたようだ。
関東方があっけなく簡単に敗れるようでは困る、しかし大坂方が勝利を目指せないようでは困る。ちょうどそんなギリギリの所であって欲しいのが大坂夏の陣に望むところだろう。短時間にプレイできていい線まで行っているのが本ゲーム。
今回は紙氏が夢を追いかけることにし、筆者は関東方でそれを見届ける事にした。
第1ターンは大坂方のみしか動けない。3隊あるチットの内、引きによっては幸村隊しか動けない。うまく行けば幸村隊の露払いを他の2隊がこなし、幸村隊が堂々と突破してゆく。今回は石川隊と真田隊のみであった。
大坂方の前進は第2線まで到達した。我が関東方の猛反撃で石川隊の主将を討ち取り、真田隊の武将3名が討ち取ることができた。その中に雲隠才蔵や猿飛佐助などの行動力12の強力な武将がふくまれていた。接触が予想される第1線第2線を防御態勢にして待ち構えたのが奏功した。
意外に多い損害に大坂方の顔色が曇る。次にターンには関東方の強力な増援が真田隊側面に殺到するのは目に見えている。
第2ターンは苛烈であった。我が関東方の積極果敢な反撃、圧倒的な戦力に裏打ちされた重畳とした連続攻撃の前に大坂方は色を失った。
井伊隊の攻勢で真田隊に大打撃を与え、それに覆い被さるように救援に着た大坂方の毛利隊によって井伊隊と第2線の諸隊が崩壊し、あちこちで主将を失った残余が立ち往生し、突進するあるいは移動しようとする部隊の行動を妨害した。
みるみるうちに真田隊の戦力が失われてゆく。あっと言う間に4ユニットまでに低下した真田隊を見て大坂方がため息をつく。
さらには大軍の松平忠直の隊が動き出したのも悪い知らせだった。遅いとは言え彼らに数倍する軍団が接近しているのは彼らを憔悴させるには充分だった。
ところが!
こんな所でえらいことが起きてしまった。
第4ターンの一つ目の行動チットが真田隊のチットだったのだ。
快速の将が次々と討ち取られたとは言えゲーム上高速の移動力を誇る真田隊の諸将は隙間さえあればスルスルとすり抜けて前進する。
「これは拙い!」
思わず絶叫する筆者。平均的なチット廻りであれば何割かの関東方ユニットが活性化して第3線、あるいは第4線を構築して真田隊の接近を妨害する。その間に何ユニットか撃破できれば突進力が減ぜられると踏んでいた。
そんな想定だったが大きく狂った。願わくば大坂方が変な色気を出すことを願うのみ。
しかしそんな色気を出してしまうかもしれない状況も若干垣間見えていた。
毛利隊だ。毛利隊が全力で残っている状況は家康隊捕捉を確固とする為に毛利隊と真田隊の挟撃が最も望ましい。あるいは追撃する松平忠直隊の撃破を果たすことによって後顧の憂いをたつというのもある。
我が願いはあっけなく裏切られた。すすっと前進する真田隊残余。
旧居とピンチに陥った我が軍は第4ターンは如何に大坂方に遅延を強いるかである。
位置的な問題から真田隊の突進は効率良く行動したとしても徳川隊の外縁部に突入するのみで、家康のいる中心部にはほど遠いだろう。
まずは細川隊で大坂方毛利隊の息の根を止め、これ以上の徳川隊への大坂方の接近を防ぐ事にした。
細川隊の攻撃は毛利隊を撃破できたが雲霞の如くにうごめく各隊の残余が移動の邪魔になっている。
直線的に進みたいが我が軍、敵軍の残余や部隊が邪魔をして移動できない。交通渋滞だ。仕方なく大回りして移動する。
松平忠直の隊もその他の部隊も押っ取り刀で家康隊救援の為に移動する。
徳川家康はシナリオルールによって影武者のルールがあるので仮に撃破できたとしても討ち取りに成功するかはさらなるチェックを経なければならない。
今までに数度の対戦をプレイ、あるいは観戦したがなかなか討ち取りに成功できないみたいだ。
目的を消して見失わなかった大坂方は遮二無二徳川隊に突っ込んでくる。効率良く突っ込んでくる様は鬼神のようでもある。
徳川家康まであと一太刀。
「おれ、マジでガチでリアルにヤバいんですけど。」
「どっちみっち次のターン、また腐るほど関東方のチットがでで逃げられるやん」
そう、ターン始めで他の諸隊にチットが周り、追及する諸隊であればこれを駆逐し、あるいは行く手を遮り、家康隊であれば全力で脱出し再び重畳とした防御陣を引いて待ち受ければよい。
仮に間違って攻撃されることがあっても討ち取りチェックに成功すればよい。
恐れることはない。王者のプレイを見せつけてやれ。
冒頭、関係のない諸隊がでてきた。ドキドキ。
その緊張中、無情にも引かれたのは真田隊のチット。
真田隊の攻撃は目の前にいる徳川家康に攻撃を仕掛けてきた。そして当たり前のように撃破され当たり前のように討ち取られてしまった。あれ?影武者のルールは?と言う展開であった。
まさかの関東方の敗北であった。あまり見られない鮮やかな逆転劇にこのゲームの魅力の一端を垣間見た。
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