8月山科会(2016年)その2:Sticks and Stones
講談級をプレイし終えた我々は壁に掛けた時計に目をやると、充分に時間があることを確認した。
戦国時代の合戦級では辛口な評点を付ける紙氏も概ね満足したみたいだ。
次にプレイするゲームは本邦ではほとんどプレイ報告を聞かない海外ゲームだ。弊ブログでも都度都度登場するWord at Warシリーズのデザイナーでも有名なMichael H. WalkerがLock 'n Load Publishingを離れてから小型のゲームを出版するTiny Battle Publishingを立ち上げた模様で、そこからWord at Warシリーズの後継に当たるのか後日談的(WW4)なゲームを出版した。
それが今回紹介するSticks and Stonesと言う作品で、よほどお気に召したのか続編でポーランドとハンガリーの戦いを雑誌付録で出版したあと、そのままWW4で続けるのかと思ったらKORIA1950と言う朝鮮戦争物を出してきて続けてIndia-Pakistan War 1965という印パ戦争も出版する模様だ。
気が付いたらシリーズ名が冠されており、Platoon Commanderというシリーズとなっている。India-Pakistan War 1965はバージョン2.0のシリーズルールが適用されるようだが、今までの作品とバージョン2.0との関係は不明だ。
Sticks and Stones (Tiny Battle Publishing)
以前より人柱を募っていたが、身内プレイ用の和訳ができたのでさっそくお試しプレイをしてみた。紙氏がソ連軍を受け持ち、筆者がアメリカ軍を担当した。
状況は進出しているソ連軍の先頭部隊に米軍が反撃をかけるというモノで、米軍は盤面の町を奪回していくという風になっている。カウンターアタックというシナリオだ。
さてこのゲームのシステムはカード併用の戦術級ゲームでイニシアチブ決定→カードドロー→回復→射撃→移動→マーカー除去マーカー移動というターン構成になっている。
戦闘は射撃戦闘と突撃戦闘の二つにCRTが分かれていて、射撃戦闘はファイヤーパワー、突撃戦闘はオッズ式という風になっている。射撃は射撃力から相手防御力を引き、その差を軸に地形やその他の修正用件でコラムシフトさせてゆく。突撃は射撃していないユニットによって行われる。
戦闘は敵味方交互に解決されるが、移動は陣営ごとに解決される。カードは毎ターン1枚供給され、手元に元あるカードを含め1ターンに2枚まで使用できる。
ユニットはWorld at Warシリーズをプレイしたことがある方ならお馴染みの配列で上段は左からAP-防御力、下段はHE-移動力-突撃力である。射撃力のマウントされるボックスの色分けは射程を表し、射程早見表で短中長射程のヘックス数が記されている。中射程では修正は無いが短射程や長射程では射撃の時に正負の修正が付く。
写真のM1エイブラムズであれば対装甲射撃用のAP値は14、赤ボックスなので中射程は8ヘックス、短射程は4ヘックス以下、長射程は16ヘックス以下となる。T-72はオレンジボックスなので10ヘックス先までしか撃てない。この組み合わせではエイブラムスは長射程のペナルティを被るが16ヘックスから11ヘックスまでは一方的にT-72を撃て、10ヘックスに入ればお互いに撃てるがお互いの防御力を引いた射撃力ではエイブラムズが8、T-72では2という圧倒的な大差がついてしまうのでソ連軍が開豁地で接近するととんでもない結果を招いてしまう可能性がある。
移動力の所にある爆発マークは移動射撃ができるか否かの表示で、あれば移動射撃ができる。色分けは移動攻撃のペナルティを表す。
米軍は2カ所に分散配置されソ連軍はその配置を見て配置する。米軍はトンネルを隔てて配置されているので戦力の集中面で過去撃破される可能性がある。
勝利条件的にはマップ手前側半分の町を確保がマストで、向こう側は勝利条件を一段階引き上げてくれる。
ソ連軍は米軍の配意を見て断固として占領を拒否する構えであった。まずは我が軍の行動。見える範囲までに敵軍が入っていないのでこちらから出ていく必要がある。
先ほどの比較にあるように平均的には米軍の戦車はソ連軍に優越している。しかし戦車が戦車に優越しているだけでは戦場を支配することはできない。 装甲車や歩兵に搭載や携帯される対戦車ミサイルの存在が戦場の優越にややこしい状況を生み出してくれる。
ミサイルの射程はほぼほぼ戦車砲の射程に似通っていてまた歩兵相手であれば戦車側は射程の短いHE射撃力で撃たねばならないので逆にアウトレンジされる可能性がある。
我が米軍はまずは戦術的勝利を目指す為、至近の市街への攻撃を目指す。ソ連軍はこの地を守らんとほぼほぼ全力の配置だ。
まずはT-72を撃破することを考えM1を移動させる。伏せられた対戦車ミサイルでさっそくM1が2段階目のダメージを負う。ダメージの段階は混乱→ステップロス→除去なので首の皮一枚で助かった。それでも我が軍は射撃位置につかないとならないので装甲車を前進させる。しかし歩兵の機会射撃や突撃で先頭車両はあっと言う間に消し去られた。
しかもT-72が丘陵に取り付き、射撃を始めた事もあって有力な部隊は射線下に収められるという不利な状況下に。
T-72は自前の射撃力の弱さをカードのファイヤーサポートなどを得てM1の撃破に執念を燃やす。射撃戦はCRTから得られるヒット数を防御側はモラルチェックで最終ヒットを決定するが、こちらの驚異的なモラルチェック力で跳ね返すシーンが多数。
逆にこちらのT-72に対する射撃はカードによるヒット数のキャンセルで応酬する。これらの緊迫したやりとりはなかなか面白い。
元からいる戦車による射撃戦では時間を空費してしまうので、トンネルの向こうにいる車輌も呼び寄せ数で圧倒することを画策する。
機会射撃で足を止められる者もあるが、対戦車ミサイルでT-72を沈黙させる。その間に市街地への前進が始まった。
装甲車を失っているので歩兵部隊の展開が遅れてしまっている。また生き残りの歩兵と戦車も気がかりだ。
市街地への突入を図る米軍。手持ちのカードに火力をブーストしたり、ヒットをキャンセルするカードが無いので至近距離の撃ち合いとなり被害は逃れられない。
よく考えるとこれら敵を撃滅しても占拠できない市街地が存在する為に我が軍の敗北が決定した。
既存のWorld at Warシリーズと比べると大きくプレイ感は変わっているがこれもこれでアリなのかなと感じた。
World at Warシリーズと違って司令部がないが、こちらはフォーカスマーカーとエイドマーカーというマーカーに置き換わり使い勝手が変わった。射撃戦システムもFLANK(側面)やADDITIONAL FIREなどの要素が加わり考え要素が増えた。
ジップロクゲームと言うのもあって全体的にチープな印象を受ける。実際マップの地形表現など何年前のゲームだろうと思わせるところもあったりルールも書き込み足りないところとか想像力や推理を働かせねばならないところもあるけどバージョンが進めば改善されるものと思う。
Tiny Battle Publishingはウォーカー氏のお抱え出版社というわけでなく、Mark StillやBraian Trainなどの名前も見えるところからもタイトルがもっと増えると面白いゲームパブリッシャ-に化けるかもしれない。
話は戻ってPlatoon Commanderシリーズは4タイトル目に突入するわけで、しかもその半分は架空戦でなくて実際にあったヒストリカルベースとなっている。追加シナリオはYaah!マガジンで掲載されるj事も多く今後とも目を離せないようだ。
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